オープンゼミナール2021
「絶対に沼る!多文化共生の裏技
〜Tips of multicultural coexistence that will go viral〜」

南川ゼミ(チーム名:ふみーず)
小林 遥水さん、山田 愛弓さん、村上 愛梨さん、菊池 綺乃さん、木寺 野花さん、野村 優衣さん

2021年度国際関係学部オープンゼミナールで「絶対に沼る!多文化共生の裏技」と題して発表を行った南川ゼミのみなさんにお話をうかがいました。

オープンゼミでの発表内容を教えてください。

「インターカルチュラリズム」という考え方に基づいた多文化共生の在るべき形についてプレゼンテーションを行いました。インターカルチュラリズムとは、実践的な姿勢で異文化が積極的に相互作用する状態を指します。これは、マイノリティがマジョリティに溶け込む同化主義でもなければ、多文化社会の中で異文化同士が個別に存在している多文化主義でもない、ということが重要ポイントです。

私たちは、この概念を発表する上で、「インターカルチュラルシティ」という取り組みに注目しました。欧州評議会によって進められているこの政策が目指すゴールは、それぞれの都市において、人々の文化的多様性を脅威と捉えるのではなく、「好機」と捉えることによって、都市全体が成長していくことです。

発表時、私たちは加盟都市の実際の成果を計る「インターカルチュラル指数」がどのような要素によって構成されているのかを説明した後、ポルトガルのリスボン、スペインのバルセロナ、そして日本の浜松市で実施されている政策を紹介した上で、私たちが考える「京都ならではのインターカルチュラルシティモデル」を提案しました。

また、日常生活に関わる5つの参加型クイズを実施し、オーディエンスの方々に答えていただくことで、「インターカルチュラリズムとは何か?」という問いを日常生活の文脈に落とし込んで考えていただくことができたのではないかと思っています。

発表テーマを選んだ理由は?

当初は「外国人技能実習生」をテーマに絞ったのですが、オーディエンスの多くが大学生となることから、興味を引くような身近なテーマを研究したいと考え、変更することに決めました。そこで、今後の日本で外国人と共に生活する状況がますます身近になる中で、どのように関わり合っていくべきかについて焦点を当て、多くの移民と共存しているヨーロッパで始まったインターカルチュラルシティという政策をテーマに選ぶことにしました。

本番を迎えるまでのストーリーを聞かせてください。

まだ日本ではあまり浸透しておらず、馴染みの薄い「インターカルチュラルシティ」や「インターカルチュラリズム」という概念を明確に、そして親しみやすく説明するにはどうすればよいか、メンバー間で話し合いを重ね認識共有を固めました。

また、参加型クイズの作成に関しては、生活をする中で遭遇しうるシチュエーションを設定したのち、それらにおいてどのような行動が「インターカルチュラリズム」的であるかを考えました。

今後少しでも生活の中で異文化について意識する瞬間を作ってもらうために、何を伝えるべきか絞ることにも苦労しましたね。日本でまだ知名度の低いトピックであるからこそ、伝えたいメッセージが多くありましたが、その中でも特に伝えたい内容を絞って明確に伝えられるように工夫しました。メンバーと南川先生と話し合った結果、私たちはすべてのベースにある「インターカルチュラリズム」の理念をわかりやすく伝えることを今回の発表の大きな目的のひとつに置くべきだと判断しました。

オープンゼミナールを通じて学んだこと、今後に活かせることがありましたか?

多文化共生というゼミのテーマへの理解が深まりました。各国で行われている政策は様々であり、ゴールも1つではありません。今回、私たちはインターカルチュラルシティに注目し、調査することで、新たな多文化共生の形を知ることができたと感じています。

また、今回の発表を通じて、多くの人にこのインターカルチュラリズム的な多文化共生の考え方を広めることに貢献できたのではないかと考えています。

さらに、グループで発表に向けた準備を進めていく中で、コロナ禍という状況によって関わりを持つことが困難であったゼミ生同士の仲がとても深まったと感じています。発表準備を進めるにつれ、グループ活動における助け合いや尊重し合う姿勢の大切さを改めて感じることにも繋がりました。

次年度参加チームへのメッセージをお願いします。

オープンゼミナールでは、他チームの発表から多様な視点やものの考え方、研究の進め方を学び、刺激を受けることができます。そのため、発表の休憩時間には、積極的に他の発表を聴きに行くことをお勧めします。

また、オーディエンスから発表についての感想や意見を伺うことで、自身の向き合うべき課題が新たに見つかることも大いにあります。

次年度のコロナウイルス感染症の状況は分かりませんが、どのような状況下であっても、必ずメンバー間で共通の認識・理解を築きながら話し合うことを忘れないでください。一度しかないオープンゼミナールという貴重な学びの機会を存分に楽しんで欲しいと思います。

南川ゼミの魅力を教えてください。

南川ゼミでは、様々な文脈における人種の壁を超えたダイバーシティのありかたについて熟考し、議論をしています。ゼミ生はテーマに関心を持っている学生が多く集まってくる印象ですので皆モチベーションが高いです。

授業は教科書を分担して読み、クラス全体で毎回ディスカッションする形式で進んでいきます。専門的な学びはもちろんですが、人間として今後大切になっていくことを学んでいる実感があります。

南川先生は、様々な立場から物事を捉え、難しい内容であっても生徒が理解しやすいよう例え話を織り交ぜながら分かりやすく説明をしてくれるチャーミングな教授です。クラスのテーマに関連する時事問題があれば紹介し、その問題の背景について解説してくれるなど、私たちの理解を深めるよう工夫して教えていただいています。

ゼミの雰囲気は、授業中は積極的に学び、休み時間は楽しく話せるようなメリハリのある雰囲気が特徴的です。教授やプレゼンをした学生に対して気軽に発言や質問が行き交う良い空気感があり、ゼミ生が一体となって理解を深めていけるような意欲的な姿勢をもつクラスだと思います。

2022年3月更新

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