オープンゼミナール2022
「先住民差別から黒人アリエルに:ディズニーの過去と現在の比較から見る変革」

中本ゼミ(チーム名:チーム多文化)
YEOM Sangunさん、太田真吏伽さん、森井芳明さん、永村ほのかさん、矢吹文香さん、六郎冴良さん

2022年度 国際関係学部オープンゼミナールで「先住民差別から黒人アリエルに:ディズニーの過去と現在の比較から見る変革」と題して発表を行った中本ゼミ(担当教員 中本 真生子先生)のみなさんにお話を伺いました。

中本ゼミについて教えてください

中本ゼミは比較文化論を中心に研究をしています。複数の文化・社会を比較することで社会現象などを分析し、問題の解決・案・改善策を考え出す能力を身に着けることを目標としています。

中本先生は普段はおっとりした雰囲気で、いつも冷静で的確なアドバイスをしてくださるとても優しい先生です。クラスの雰囲気は、女子が多くて全体的に落ち着いています。

また、研究テーマが自由なので、4回生の卒論発表では、スポーツや趣味のことといったことから、環境問題や人種問題など、国際関係学部らしいテーマまで、さまざまな研究について知ることができます。あらゆる見聞を得ることができ、発表に対する皆のコメントも多岐に渡るため、研究の幅を広げることができると感じています。

オープンゼミナールの発表内容について教えてください。

アニメ映画を通して世界の子供たちへ夢を与える企業として親しまれてきたディズニー。そんなディズニーにも過去の作品において人種・性的差別表現が蔓延し、批判を受けてきた歴史があります。そして、あらゆる差別や区別が批判されるようになった昨今、人種差別的表現を除去し、映画に有色人種キャラクター・俳優を取り入れるなど、表現におけるPolitical Correctness(ポリティカルコレクトネス。人種や宗教、性別などについて寛容であろうとする考え方)や人種・性的多様性を重視する動きへと変わりつつあります。

その中でも2023年公開予定「実写版リトルマーメイド」の主人公「アリエル」の配役に黒人女性が起用された件はソーシャルメディアなどで非常に大きな話題になっています。そして、映画の中だけでなく、ディズニーという企業そのものも人種・性的多様性を重視する立場になりました。

人種差別を批判されてきたディズニーが多様性に舵を切るようになった理由、ディズニーの一企業としての現在までの変遷を通して、多様性を重視し、差別の完全撤廃を目指す世界の動きについて考察しました。

なぜこの発表テーマを選びましたか?

春セメスターに宮島喬先生の『多文化であることとは』を3回生の皆で講読し、パートに分けて報告しました。真の多文化社会とは何か、平和的な多文化共生には何が必要なのかをゼミ全体で探求しました。オープンゼミナールでも多文化・人種の共存に関する研究に取り組みたいと思い、最近 「実写版リトルマーメイド」の黒人俳優起用で話題になっているディズニーをテーマに選びました。過去と現在を比較することで アメリカ及び世界の差別に関する認識の流れについて知ることができると思ったからです。

オープンゼミナール当日に寄せられた意見や印象に残ったことはどのようなことですか?

「(米国の成人向けのアンケートで、)人種差別問題を前向きに考えている人が半数以上いることに驚いた」、「社会だけでなく、しっかり経済の側面も踏まえているところが印象深かった」という声をいただきました。

いただいた意見で特に印象に残ったものとしては、ディズニーの過去の作品で人種・差別的表現が蔓延していたことを知らなかった人が多かったことです。何度かマスコミなどで話題になったことでかなり有名な事実だと思いきや、それほど知られていないということがこの発表を通して分かりました。同時に、私たちの調査結果や分析に対する鋭い指摘と意見をいただいたことも印象に残りました。今後の研究活動の参考にさせていただきたいと思います。

オープンゼミナールの準備期間中、大変だったことはどんなことですか?

テーマ決めが大変だったことの一つです。テーマを決めるまでチーム皆で話し合い、ゼミの先輩方や先生からもご意見を頂きディズニーでいこうと決まりました。また限られた時間の中で多くの方々にどの様な話し方をすれば私たちの考えが伝わるのかという点で苦戦しました。この課題を克服するため、事前のリハーサルでは先輩方や先生に客観的な視点から指摘していただきながら調整していきました。発表当日まで講義の合間を縫って最終調整を重ね、本番に臨みました。

オープンゼミナールを通じて学んだこと、今後に活かせることはどんなことですか?

社会全体で多様性が重要視されていること、その多様性の在り方について様々な意見が存在していることを学びました。ディズニー映画のみならず、Black Lives Matterや公民権運動を通して人権やジェンダーに対する意識が世界全体で変化しつつあることは、本研究を通して再確認できたと感じています。また、今後に活かせることとしては、一つのトピックだけでなく、複数の視点から一つの議題について考察することで、筋道を立て、説得力を持たせて分析する力がついたと思います。

次年度の参加チームへメッセージをお願いします!

ゼミによっては、このオープンゼミがゼミのみんなでチームとして取り組む初めての課題だと思います。短い時間でみんなと協力して一つのことに取り組むことで絆が生まれ、仲間とより仲良くなることができ、ゼミという時間がより価値のあるものになります。また、ゼミのテーマと関連したものを深掘りでき、さらに本番でも沢山の方々から様々な意見をいただけるので、より研究テーマへの理解を深めることができます。本当に貴重な機会なので、ぜひ楽しんでください!

2023年1月更新

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