
国連機関で働くことを目指す私にとって「タイ・バンコク国際機関研修」への参加は、問題意識をより身近に感じることができ非常に刺激的でした。
佐藤寿美 さん
国際関係学部 4回生
卒業まで学生生活も残りわずかとなった国際関係学専攻4回生の佐藤さん。国連職員を目指して国際連合開発計画(UNDP)でインターンシップにも参加されている佐藤さんに国際機関や政府の役割について学ぶ「タイ・バンコク国際機関研修」での活動についてお話を伺いました。
「タイ・バンコク国際機関研修」に応募された理由を教えてください。
佐藤将来国連機関で働くことを志しており、持続可能な開発目標への達成に向けて東南アジアにおいて関係省庁、国連機関がどのように具体的に行動しているのかブリーフィングしていただける非常に良い機会であったからです。
バンコクでの各プログラムを通して学んだことや印象的だったことをお聞かせください。
佐藤私が印象的であったのは、持続可能な開発目標の達成に向けてハイレベルからローカルレベルの取り組みまで様々な機関の方からブリーフィングしていただけたことにあります。不平等格差が大きな問題となっているタイにおいて、実際に様々なお立場の方からブリーフィングしていただき、社会に根付く問題を俯瞰的に考察する非常に良い機会となりました。
ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)において非常に印象に残っていることは、イノベーションにおけるGreen Transportationです。SDGsの達成に向けて国連全体が力を入れている分野なので特に関心がありました。しかし、タイで過ごしていると日本と比べてやはり開発レベルは低く、SDGs13への成果はまだまだのように感じました。地下鉄や高速道路は発展しているものの、ローカルレベルでの環境への配慮はあまり感じられず、不平等をなくすという観点からもさらに地域的な取り組みの必要性を感じました。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)においては、私の研究分野であるコンゴ民主共和国を専門とされている方からブリーフィングしていただけるとても良い機会でした。現場で活躍されている方であるからこそ、バラエティ豊かな具体例を用いて国内避難民についてUNHCRの取り組みをプレゼンしてくださり、より理解が深まりました。ワークショップも、自身でロヒンギャとコンゴの国内避難民を救うためのプロジェクトを考案し、UNHCRは中立の立場でどのように支援を集める必要があるのか考えさせられ、大変良い機会になりました。
タイの政府機関においては、国連とはまた違ったプライオリティがあり、そしてよりローカルレベルな取り組みを行っている機関の職員の方からブリーフィングをしていただき多角的な視野を養うことができました。自身が関心のある外務省では、大変優秀な職員の方、引退された職員の方2名とともにブリーフィングを行っていただきました。タイの地域におけるSDGsの取り組みだけでなく、東南アジア、ASEANの開発協力、そして日本の外務省やJICAとの開発協力についても言及されており、アジア全体に対する開発協力に対する理解をより総括的に深めることができました。改めて、国連だけでなく、タイの政府組織に訪問できたのは良い機会でした。
加えてチュラロンコーン大学の学生とSDGsについて議論することができたこともとても良い機会でした。お互いの大学のSDGsに対する取り組みだけでなく、より深くテーマを決めてフラットに話すことができたのは楽しい時間でした。また、政治的な話やタイの文化など文化交流もできたことはタイと日本の若者をつなぐ良い機会でした。
「タイ・バンコク国際機関研修」のおすすめポイントを教えてください。
佐藤それはまさに先生の素晴らしい人脈とキャリアを、私たちのキャリアに結び付けていただける非常に貴重な機会をいただけることにあります。国連職員といっても多様な勤務形態があり、実際に国連で働くまで、自分がどのような形で国連に携わりたいか想像がつきにくいと思います。実際に国連に訪問し、様々な職員の方と実際に交流できることは、国連職員を目指しておられる方にとっては将来の進路決定に非常に良い影響を与えると思います。自身も国連でインターンをしている身として国連は本当に人脈が大切だと思うので、これも人脈作りの一環として、ぜひ積極的に行動してみてください。
「タイ・バンコク国際機関研修」で経験したことは、今後のご自身の活動にどのようにつながるとお考えですか。
佐藤本プログラムにおいて、フィールドワークの重要性を実感しました。日本でSDGsについて学ぶ機会はあっても、身近に感じることはなく、またある程度発展している日本に住んでいては地球規模の問題に対する問題意識が芽生える機会は私自身あまりありませんでした。国連でインターンに参加する前に、途上国レベルは超えてはいるものの、不平等や地域格差の大きいタイにフィールドワークすることができたことで、SDGsに対する問題意識をより身近に感じることができました。また、国連だけでなくタイの政府機関にも訪問することができたことで、東南アジアにおけるSDGsに対する取り組みだけでなく、タイやローカルレベルにおける取り組みも学ぶことができ、全体的な視点を養うことができました。
この研修プログラムを通じ、私は改めて「私は地球規模の利益のために働く国連で働きたい」と思いましたし、現在東京のUNDPでインターンをしていて、国連開発計画での仕事にもやりがいを感じています。また、国連では素晴らしいキャリアを持つ職員の方が多く、大学院やその先の進路の相談など、模範となる先輩ばかりなので、非常に刺激的な日々を送らせていただいています。立命館の国際関係学部の卒業生の中にも国連で活躍されている職員の先輩方は何人かいらっしゃるので、本プログラムを機に、少しでも国連に関心のある人が、将来の進路として具体的に考えるきっかけになればと思います。改めて、石川幸子先生、そしてこのプログラムを企画してくださった国際関係事務室の皆様ありがとうございました。
2023年10月更新
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