日韓関係をより専門的に学びたいという思いから国際関係研究科へ進学。「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」という国際交流基金のミッションは、まさに私の思いを表しています。

益子 理帆 さん
独立行政法人 国際交流基金(2021年度卒業)

2021年3月に国際関係学専攻を卒業後、立命館大学 国際関係研究科に進学し2023年3月に修了。2023年4月から独立行政法人 国際交流基金に入職し、日本語第1事業部事業第1チーム 南アジア地域担当として主に日本語専門家の派遣や助成事業に関する業務を行っている。

現在のお仕事について教えてください。

益子現在私は、独立行政法人 国際交流基金で南アジア地域を担当しています。主な業務は日本語専門家の海外派遣と海外日本語教育機関への支援(助成)です。南アジア地域では、日本語の専門家をインドとスリランカに派遣しています。専門家の先生方の赴任から帰任までのサポートがメインとなりますが、報告会やニューデリー日本文化センター(国際交流基金の拠点の1つ)とのやり取りを通して、現地の様子を知ることができる点は興味深く、楽しい時間です。

近年、インドは世界的に重要な国であるということで、外交的な動きが多く、国と国とのやり取りであるからこそ意見がまとまるのに時間がかかるなど、難しい部分も存在しますが、政治外交に関心の強い私としてはリアルタイムで世界の動きに触れることができる環境に身を置き、外交の一端を担っていると実感できることは、働く上でのモチベーションとなっており、難しい点も含めて大きな学びとして捉えることができています。

また、私は、バングラデシュやパキスタン、ネパールをはじめとした南アジア諸国の方々とやり取りを行っているのですが、インドともパキスタンとも同時に関わりを持っているという点は不思議な体験です。

自分にとって馴染みのない地域を担当することとなり、現地事情も相まって困難な状況にぶつかることもありますが、現在世界的にも重要な南アジア地域をより深く理解できるよう、日々真摯に向き合っていきたいと思っています。

学部卒業後、大学院進学を選ばれた理由や現在のお仕事を選ばれた理由を教えてください。

益子大学院進学は、学部時代に学んでいた日韓関係をより専門的に学びたいという思いから決意しました。

小学生の頃から母の影響で韓国文化に慣れ親しんできたのですが、中学、高校と少しずつ日韓関係の複雑さを知るようになり、韓国旅行中に地下鉄で日本語を話すことが憚られるという思いに駆られたことがあります。こうした経験から、客観的に日韓関係を学び、韓国留学を通して韓国についての理解を深めたいと考えるようになり、国際関係学部に入学したという経緯があります。

学部入学後は、夏休みの平和セミナーで実際に韓国の歴史資料館等を訪れたり、東アジア地域関連の授業を通して少しずつ知識を増やしていきました。小学生の頃から韓国を好きだったということもあり、人よりは日韓について知っているという根拠のない自信があったのですが、大学3回生時に韓国へ留学に行ったところ、まだまだ学ぶべきことは多いと思い知らされました。

こうした経験から日韓関係をより深く学ぶために大学院進学を決意しました。立命館大学の国際関係研究科を選んだ理由としては、学部時代から教授をはじめとした学習支援が手厚かった点が1番大きいです。また、修士は2年間と短いため、新たに適応することに時間を取られたくなかったこともあります。結果、立命館大学国際関係学部・研究科での6年間は本当に学びある時間となりました。

国際交流基金に入職した理由は様々ありますが、就職活動中は、日本と海外の相互理解を促進する仕事がしたいという思いで一貫していました。私が韓国に留学したのは2019年、日韓関係が戦後最悪と言われた時期になります。確かに、不買運動をはじめ、韓国で生活をする中で日韓関係の悪化を身に染みて感じることも多々ありました。しかし、一方で、日本のアニメキャラクターを「(当時の日韓関係とは関係なく)青春の一部だから譲れない」と話す友人や、日本のジブリ作品について日本人の私よりも詳しく、熱く語る韓国人にも出会いました。私がそうであったように、より多くの人に文化を通して日本を好きになってもらいたいと思うようになりました。「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」という国際交流基金のミッションは、まさに、私の思いを表す内容だと言えます。

仕事で役立っていると感じられる国際関係学部での学びや経験を教えてください。

益子学部、修士と日本語に特化した学びをしてきた訳ではありませんが、異文化教育や異文化コミュニケーションの授業を通して、日本語学習者や語学能力の尺度について学んでいたことは、国際交流基金に入職後、日本語に携わることとなった今、とても良かったと感じる部分です。

自分の専門分野以外の学びも仕事に役立っています。私自身、日韓関係の研究を行ってきたため、東アジア関係の授業を多く履修しましたが、(卒業単位取得のため)ある種強制的に履修することとなった、専門外の地域に関する授業が、専門外の地域を担当することとなった今、役立っています。業務に直接活かされる知識でないにせよ、新しく何かを学ぶ必要がある時に、何かしらの接点を持っている状態であることは、大きなアドバンテージだと思います。

また、語学力を伸ばすことができる環境にあったことは、とてもありがたかったと思います。業務上、英語でメールのやり取りを行うことも多く、学部1回生~2回生時に、メールの書き方まで丁寧にご指導くださった英語の先生にはとても感謝しています。

卒業されて感じる国際関係学部の魅力は何だと思われますか。

益子社会人になって感じるのは、様々な分野に多角的に接することは難しいということです。

国際関係学部・研究科では、国際法も社会学もジャーナリズム論も経済学も…、履修の仕方によっては、学科として設立されている(文系)研究分野のほとんど全てに触れることができるのではないでしょうか。関心分野を追求しながら、新たな分野を広げるきっかけに出会えるということはとても貴重だと思います。実際に、卒業単位の関係や、友人の誘いで受けることとなった関心外の授業が、今になって活きてきています。

また、多様なバックグラウンドを持つ仲間と講義を受けることで、自分と異なる解釈に触れることができ、視野も広がります。そして、疑問に思ったことは、すぐに教授に質問に行くことができる環境が整っています。他大学の友人と話すことで、国際関係学部・研究科の教授の学生との距離の近さは当たり前のものではないと気づきました。国際関係学部の一員となった日には、自分の行動次第で多様な学び方が可能な環境を是非、最大限、有意義に活用してほしいです。

後輩学生、国際関係学部を目指す受験生へメッセージをお願いします。

益子振り返ってみると、私自身、受験生の時に大学生活やその先の未来を考えることなんてできていませんでした。けれど、今、自分の納得する道を進めている気がします。それは、自分の好きを追求した結果だと考えています。どんな道に進むにせよ、自分が心から好きなものは、好きでい続けるのだと思います。きっと、道に迷った時に助けになるはずです。国際関係学部では、その好きを追求できる環境が整っていますし、まだ好きがない人にとっては、好きを見つける機会を沢山提供してくれる場だと思います。受験勉強、体調に気を付けながら、自分のベストを出してください。応援しています。

2023年11月更新

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