
オープンゼミナール2023「地域活動継続に関する考察~徳島県上勝町を事例として~」
松田ゼミ(チーム名:上勝の謎を暴き隊)
吾田紗瑛さん、大村日菜さん、横尾洋昌さん
2023年度国際関係学部オープンゼミナールで「地域活動継続に関する考察~徳島県上勝町を事例として~」と題して発表を行った松田ゼミ(担当教員 松田 正彦先生)のみなさんにお話を伺いました。
松田ゼミについて教えてください。
地域開発や農業、東南アジア地域研究を専門とされる松田先生の下で、それぞれゼミ生は環境問題や農業、貧困、教育、アパレル産業など幅広い研究領域を持ち、自身が興味のある分野について研究しています。ゼミの学生それぞれの個性を発揮し、伸ばすことのできるゼミです。
授業では、ゼミ生が卒業論文作成に向けての研究や共同研究の発表を行います。発表内容に対してクラス全員で意見交換やディスカッションを行う中で、発表者へアドバイスや質問、問題点の指摘など積極的なコミュニケーションをとることにより、各々の研究の解像度を上げていきます。これらの議論は、授業時間内に収まらず、授業時間が延長されるほど白熱した議論が展開されることも頻繁にあります。結果、ゼミ生全体が親しみやすく、和やかな雰囲気に包まれているのが特徴です。
松田先生は、どの分野に対しても、的確なアドバイスと+αの情報を提供くださる教授で、新たな視点からの意見にいつもハッとさせられます。まるで生きる辞書のようです。
夏に行かれたゼミのフィールドワークについて教えてください。
ゼミ生と先生で徳島県上勝町を訪問しました。共同研究のテーマである「地域活動継続に関する考察~徳島県上勝町を事例として~」に合わせ、主にゼロ・ウェイストの取り組みに関して、ゼロウェイストセンターや個人宅、町唯一の中学校を訪れ、取材を行いました。
オープンゼミナールの発表内容について教えてください。
地域活動を通じて継続的な地域活性化を行うための方法を上勝町のゼロ・ウェイストに向けた取り組みを事例として体系的に考察し、発表しました。上勝町は四国一小さな町で、少子高齢化、過疎化が進行しているにもかかわらず、「ゼロ・ウェイスト」という世界的に注目される取り組みが継続し、町に活気があることに疑問を持ったことがテーマを決めたきっかけです。
上勝町ではゼロ・ウェイストに向けた取り組みが住民の生活に密接に結びついていました。また、住民自身もごみ分別や生ごみ処理を自分事に落とし込んで取り組んでおり、地域文化として確立されています。
この仕組みがどう形成され、どう継続してきたのかを分析することで、他の地域でも地域活動を地域文化として形成し、地域ブランド化するモデルを確立できるのではないか、他の過疎化地域で継続的な地域活性化を達成する際の一助になるのではないかと考え、このテーマに取り組みました。
オープンゼミナール当日に寄せられた意見や印象に残ったことはどのようなことですか?
一般的に少子高齢化や過疎化に対して地域活性化を促しても成功しづらい、という懐疑的でマイナスのイメージを持たれる方が多い中、今回の発表を通して、全てのオーディエンスが地域活性化に対して前向きな意見を表明し、発表に納得していただいたことに感動し、発表のやりがいを感じました。
企業の方からは、地域活動が地域ブランド化する過程でビジネスチャンスがあるというご意見をいただきました。社会で働かれている方からの視点は大変興味深かったです。また、地域活性化のプロセスを細分化して分析し、他地域への汎用性がある点を考察したことが評価されたことは嬉しかったですね。
オープンゼミナールを通じて学んだことを教えてください。
毎週の授業で頂いたアドバイスを踏まえたうえで、チーム内で研究内容について議論する際、毎回意見がぶつかるのでまとめ上げることが大変でした。毎週2,3回は昼夜問わず、少なくとも3時間程度は議論に時間を費やしたと思います。
こうして時間をかけて話し合う中で、自分の意見を伝え、真剣に議論することの重要性や、チーム内での協調性を学ぶことができました。全員が納得した上で議論を進めていくには多くの困難が伴いましたが、真剣に意見をぶつけあうからこそ、意見がまとまるとチームに一体感が生まれ士気が上がっていく、こうしたチーム運営の面白さも感じることができました。
こうした経験は、今後のグループでの研究や複数人でプロジェクトを実行する際に大変役立つ学びであり、今後もこの経験を活かしていきたいと考えています。また、上勝町の研究で得た知見を活かして、地域活動にも積極的に取り組んでみたいと思います。
次年度の参加チームへメッセージをお願いします!
テーマを決めることが難しかったり、グループ内での意見が食い違ったり、話し合う中でつまずくことも多いと思いますが、協調性や相手を尊重する大切さを深く学びながら頑張ってほしいです!
グループで研究することはめったにない機会だと思います。研究テーマの設定からポスターにまとめるまで、長い時間をかけて議論や推敲をしていくことになりますが、新たな知見が広がったり、自分の意見の質が上がっていくことが実感できたりと、とても濃い時間になると思います。
オープンゼミナールは多くの学生にとって初めて学術的な研究に触れる機会でもあり、本気で意見をぶつけて議論できる環境があります。恐れず全力で取り組み納得のいく発表を仕上げ、楽しい大学時代の思い出を作ってください!
2024年1月更新
MORE INTERVIEWS
-
国際関係学部の魅力は学ぶことや挑戦することに対して一生懸命な人を、決して嘲笑しないこと。学生同士の興味や進路の方向性が異なっていたとしても、互いに尊重できる環境でした。
岡田 二朗
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)ヨルダン事務所 プロジェクト開発・報告担当官(2012年度卒業)2025.1.14
alumni|
-
「人事」のキャリアを積む中で、学生時代の「海外で仕事をしたい」という思いは変わらず、ベトナムで日系企業を人事労務の面からサポートする会社を起業。
豊田 英司
アジアゲートベトナム 代表(1997年3月卒業)2025.1.14
alumni|
-
オープンゼミナール2024「イケメンは正義?」
鳥山ゼミ
(チーム名:イケメンラボ♡)2024.12.17
academics|openseminar|
-
オープンゼミナール2024「そのキラキラ、誰の汗? 〜インドのマイカ採掘と児童労働の真実〜」
渡邉ゼミ
(チーム名:きらりんレボリューション)2024.12.17
academics|openseminar|
-
Peace Studies Seminar 広島訪問を終えて――歴史的な出来事を理解し伝えるためには、感情的なつながりや共感を深めることが大切だと実感しました。
大岡 莉子
国際関係学専攻 3回生2024.12.17
academics|ir_major|
-
国際関係学部での学びは、アフリカの民間セクター開発分野でのこれまでのキャリア、そしてUNDPへの入職を決意するに至った強い動機づけの基盤となりました。
原 祥子
国連開発計画(UNDP)UNDPサステイナブル・ファイナンス・ハブ(SFH)地域事務所(南アフリカ)プログラムアナリスト (2013年度卒業)2024.12.11
international|alumni|