国際関係学部の授業で初めて出会った「日本外交」。学生時代の初心を胸に、外交官として広い世界を舞台に仕事に励んでいます。

青木 瞬 さん
外務省(在カメルーン日本国大使館)(2018年度卒業)

2018年9月に国際関係学科を卒業後、2019年に外務省入省。欧州局西欧課を経て、2021年8月から2023年5月まで語学研修(フランス)。フランス国立行政学院にて国際関係学修士号を取得後、パリ第一大学パンテオン=ソルボンヌにて政治コミュニケーション学修士号を専攻。2023年6月より、在カメルーン日本大使館に勤務。

現在のお仕事を選んだ理由について教えてください。

青木父親の仕事の関係で12歳から17歳までをベルギーで過ごし、当時から漠然ながら、日本人として誇りを持って世界で活躍したいという目標を掲げるとともに、「どうすれば国籍や文化を異にする人々が争いなく協調できるのか」という問いを抱いて生きてきました。立命館大学国際関係学部での、元外務次官 薮中三十二先生による授業を通じて初めて日本外交に出会い、外交を通じて自らの思いを貫けると確信し、外務省を志しました。

一度目の官庁訪問では外務省不採用となったため、就職浪人をして民間就活にも注力したことがあります。その中で、プラスをさらにプラスにしていく民間の世界観にも魅力を感じたのは事実ですが、最終的には、日本を代表して世界の明るい部分にも暗い部分にも正面から向き合う営みである外交に人生を捧げたいと考え、翌年官庁訪問に再挑戦し、採用されるに至りました。

外務省ではどのようなお仕事をされていますか。

青木現在、私は在カメルーン日本大使館で政務担当として勤務しており、その仕事内容は一般的に外交官と聞いたら想像するようなものと概ね一致していると思っています。仕事内容は多岐にわたりますが、第一に、カメルーン政府との交渉や意思疎通が挙げられます。例えば、日・カメルーンの二国間関係のさらなる発展を目指して意見交換を実施したり、本省からの指示に従って、日本にとって重要な国連決議や国際選挙に関する働きかけを行ったりしています。また、当館が兼轄しているチャド及び中央アフリカに出張をして、相手政府との関係構築をすることもあります。

第二に、情報収集です。オープンソースでの情報収集と並行して、政府関係者や他国の外交官、ジャーナリスト、有識者から内政や地域情勢に関する情報を収集し、本省に報告しています。本省はこれらの情報も踏まえて政策決定をすることとなります。

第三に、在留邦人の保護や援助に関する仕事もあります。カメルーン国内に分離独立派が存在するほか、周辺には引き続きテロの脅威が存在しており、近隣諸国においてはクーデターも勃発しています。そのような中、邦人保護の観点から、もしもの時に備えて常に治安情勢をフォローしています。近年国際情勢が激変し、さらに厳しさを増している中、アフリカ諸国の存在感はこれまで以上に高まっています。外交の最前線ともいえるアフリカにおいて、外交官として日本を代表し、これからも任国との関係強化に向けて仕事に励んでいきたいと思っています。

大学での学びが仕事で役に立っていると感じられる場面はありますか。

青木国際関係学部で特に印象に残っているのは、元外務次官である薮中三十二先生の授業です。平和安全法制が大きな話題となっていた当時、「世界で日本は何をすべきか」という先生の問いに答えを出そうとするうちに、「日本を代表し、世界を舞台に働ける外務省での仕事に人生を賭けたい」と思うようになりました。外交の最前線で活躍した先生と近い距離で学び、ディスカッションした経験は、大きな財産となっています。

薮中先生の授業では、第一に、異なる視点やメンタリティを持った相手に対しても、恐れずにロジックを持って自分の意見を発信することの重要性を学びました。これは、外交官として行うあらゆるコミュニケーションに役立っています。第二に、薮中先生が重要視されていた、「世界で日本は何をすべきか」「何が日本ひいては国際社会にとってプラスとなるか」といった大局的な問い立てを、入省以降今日まで常に忘れないようにしています。こういった視点は、戦略的な外交を考えるうえで重要なだけでなく、普段の仕事の本質を見極めることにも繋がり、無駄を省いたより効率的な働き方にも寄与すると考えています。

卒業されて感じる国際関係学部の魅力は何だと思われますか。

青木学生のあらゆるチャレンジを大学側が応援してくれることだと思います。就職浪人の期間も含めて、私が外務省を目指していたとき、国際関係学部の関係者やキャリアセンターが中心となってサポートしてくれたのをよく覚えています。あるべき学生像や目指すべきキャリアパスといったものを押し付けられているように感じたことはなく、学生が伸び伸びと夢を追いかけることのできる自由な空間が大学全体に広がっているような気がします。

今後の展望について教えてください。

青木カメルーンに赴任し、世界の広さを実感するとともに、自分にとって未知であった国・分野における仕事がどれだけエキサイティングなものとなり得るかを知りました。そのため、現在の私はあえて明確な行き先を自分自身に設けておらず、とにかくこれからも広い外交の世界を見ていきたいと思っています。そのうえで、これからどのような国・分野を担当するかにかかわらず、外務省をより働きやすく、魅力的な職場にしたいという目標を掲げています。実際に退職者が増えている外務省を含め、日本政府全体の働き方改革は急務です。これからのキャリアにおいて、少しずつ責任の大きなポストを担っていく中で、そういった変化を生むことのできるリーダーになりたいと思っています。

国際関係学部を志望する受験生・後輩に対してメッセージをお願いします。

青木国際関係学部での学びは、広い世界を様々な角度から覗かせてくれるものであり、まさに「Beyond Borders」という言葉がぴったりの学部だと思います。世界で活躍したいと思っている学生はぜひ、国際関係学部を目指してみてください。広い世界への入口がみなさんを待っています。

2024年5月更新

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