
日本語話者でも、大学でのライティングは“磨く技術”。ライティング・チュートリアルではどんな質問も歓迎、継続的に取り組んでほしい。
半田 あづみ さん
国際関係研究科・博士後期課程 4回生
国際関係学部の学習支援の一つ「ライティング・チュートリアル・プログラム」で、5年以上チューターを務めてきた半田あづみさん。大学でレポートを執筆する難しさや利用学生の悩み、同プログラムの魅力を語ってくれました。
ライティング・チュートリアル・プログラムではどのようなことをしているか教えてください。
半田ライティング・チュートリアルは、レポート作成などのアカデミック・ライティングを1対1で教える学習支援制度です。日本語版と英語版がありますが、私は日本語ライティングのほうに携わってきました。
大学で課されるレポートや論文における論述には決められたルールや作法があり、それらに従い執筆をする必要があります。ルールや作法に基づいた文章を書くことは、技術といってよいです。私たちチューターは、みなさんがそうした技術を身につけたうえで、独自の論理を展開できる自立した書き手となるように、一回あたり40~50分間程度でサポートを行います。ライティングの技術は一朝一夕に培えるものではなく、継続的に取り組むことで磨かれるものだと思っています。
ライティング・チュートリアルのチューターになった理由を教えてください。
半田私は、日本語ライティング・チュートリアル・プログラムが発足された2018年より、チューターとして従事しています。当時は修士課程の院生であり、その時から大学教員としての研究者になりたいと思っています。チューターとなったきっかけには、学部時代の授業で日本は(多くの日本人にとっての)母語で学問を学び修められる数少ない国の一つだという話を聞いたことと、現実には日本語話者でもさまざまな文章を書き分けられるほどの日本語運用力をもっている人が多くはないという事実を知ったことにあります。
半田またチューター活動を継続している動機としては、学部から立命館の国際関係学部に所属していたこともあり学部教育の力になりたかったことと、長い期間在籍しているために国際関係学部生であることを誇りに思っている在校生や卒業生に多く出会ってきたことがあります。
私は、国際関係で学修してきたため国際交流のツールとしての英語や他言語の重要性を理解しています。他方、私たちが世界とかかわるときには日本をある種代表する存在として映ることも理解しています。だからこそ、みなさんが日本語に不得手を感じたままであってほしくはないと思っています。
大学生活において、論文やレポートを書く際に苦労した経験はありますか。
半田はじめは、学術文というものがどういうものであるのか、わかっていませんでした。高校時代に作文や小論文の教育を受けていましたが、学部一回生のときにレポートを書いてみると、学術文ではないと言われました。それから、文章にはいろいろな種類や書き方があることを、本を読むなどして習得していきました。
ライティング・チュートリアルを受ける学生は、論文やレポートを書くにあたり、どのようなことに悩んでいることが多いですか。
半田チュートリアルを受ける学生の悩みは、初期段階では、レポートの書き方がわからない、レポートのルールがわからない、参考文献を探せない等であり、もう少し段階が進むと、問いの立て方がわからない、論理的な文章になっているか不安がある、体裁が整っているのか、構成はこれでよいのか、自分の意見を書くとはどういうことか等が挙げられます。大方は、このようなお悩みです。私たちチューターは、0文字から予約を受け付けているので、基本的にはどのような執筆上のお悩みにも寄り添うことができます。
大学と高校のレポート課題には様々な違いがあると思いますが、大学でレポートを作成するにあたり、重要なポイントは何だと思いますか。
半田高大の違いという観点から、大学でレポートや論文を作成するにあたり重要なポイントは次の2つです。ひとつ目は、学術文は感想文ではないということを知ること、関連してふたつ目は、学問のうえで「考える」とはどういう思考作業であるのかをご自身でよく考えることです。
ふたつ目に、大学生としては、この世の疑問に対する唯一解は存在しないことを理解していただきたいです。大学で扱う問いは、一問一答形式で成り立つような正解がある世界ではないです。人や場所、時代等が変わることで言えることはさまざまです。これらを加味して思考することを「多角的思考」と呼んでいるのだと思います。
半田多くの学生は自分だけでこれらを理解することが難しいので、先生やチューターと一度はお話してみることをおすすめします。また、チューターは国際関係学部で学生生活を送ってきたので、色々な側面でサポートができると思います。たとえば、ゼミ選びに悩んでいる方や大学院進学にご興味がある方にも、余談としてお話しできるかと思います。このように、「国関の先輩と話せる機会」として活用してくださっても構いません。まずはチュータリングの場へいらしてくださることを歓迎しています。
国際関係学部を志望する受験生に対して応援のメッセージをお願いします。
半田世界について学ぶ私たちは、いろいろな国や地域の制度や歴史、文化等を学び、それらを自分の生き方として吸収していきます。自分の生きたい道へ歩めるようにご自身を導いてください。努力することは大変だけれど、努力ができるチャンスには限りがあると思います。自分だけの国関での経験を語る日が楽しみですね。
国際関係学部 ライティング・チュートリアル・プログラムは2024年春学期で終了します。2024年度秋学期からは全学ライティング・サポート室をご利用ください。
2024年6月更新
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