
オープンゼミナール2024「そのキラキラ、誰の汗? 〜インドのマイカ採掘と児童労働の真実〜」
渡邉ゼミ(チーム名:きらりんレボリューション)
中嶋栞音さん、内田都子さん、寺田佑衣さん、藤尾梨衣さん、西村明紗さん、SHIN JEONGHEONさん
2024年度国際関係学部オープンゼミナールで「そのキラキラ、誰の汗? 〜インドのマイカ採掘と児童労働の真実〜」と題して発表を行った渡邉ゼミ(担当教員 渡邉 松男先生)のみなさんにお話を伺いました。
渡邉ゼミについて教えてください。
渡邉ゼミでは主に途上国開発について紛争・文化・貧困・難民・経済など様々な視点から学びを深めています。人によって途上国開発についてのアプローチは様々ですが、クラス内での情報共有やお互いにアドバイスをし合うなど、開発について興味のあることを研究しやすいゼミです。先生も鋭い質問やアドバイスをくださり、より深く質の高い研究ができていると思います。プライベートでは、年末にはクリスマスパーティーを開いたり、春には桜を見に行ったり、学年問わず仲の良いゼミです!
夏に行かれたゼミのフィールドワークについて教えてください。
4回生と教授と共に5日間、タンザニアを訪問しました。このフィールドワークでは、2泊3日のサファリーツアーに参加し、動物の保護環境やマサイ族の生活についての調査を行いました。
サファリでは大自然に生きる動物たちを間近で観察することができ、その迫力に終始圧倒されていました。まさに「動物の世界に人間がお邪魔させていただいている」という感覚でした。宿泊先で夜中にハイエナたちが残飯を漁る姿を目撃し、これほど近くに肉食動物がいるものなのか、と驚かされました。
一方で、予期せぬハプニングも多々発生しました。車のパンクやショート、停電、不当に高い料金を請求されるなど、毎日なにかしらハプニングに見舞われました。しかし、そのおかげでタンザニアの方々の協力する精神「ハクナマタタ(心配ないさ)」という楽観的な姿勢、マサイ族との交流を深めることができました。今回の研修を通じて五感をフルに使って学ぶことができ、想像以上に充実したものとなりました。
オープンゼミナールの発表内容について教えてください。
世界中の化粧品や車の塗装などの身近な製品に多く使われている天然鉱物、マイカ。私たちの生活をより豊かにするマイカの大量採掘の裏側には児童労働の問題があります。今回の発表ではマイカ輸出量世界1位であるインドの児童労働に着目しました。
インドの採掘現状は大体の鉱山が違法に運営されており、子供たちは崩れていく鉱山の中で命を懸けながら仕事し、危険な状況にさらされています。このような児童労働をなくすためにインドや国際機関は法律を作り、色々な努力をしています。それにもかかわらず児童労働の問題がいまだに蔓延している原因を分析した結果、いろいろな要因が存在し、国際社会の介入の仕方を見直す必要があると考えました。
この発表を通じて日本にいるみなさんも無意識のうちに児童労働に加担している可能性があることや、新しい視点からの根本的な社会課題の解決についてお伝えできていれば嬉しいです。
オープンゼミナール当日に寄せられた意見や印象に残ったことはどのようなことですか?
いただいたご意見の中で最も多く寄せられたのは、「何気なく使用している日用品の中にマイカが使用されているとは知らなかった。さらにそれが児童労働を創出する要因となっていることを知り、今後は意識的に商品を選択したいと思った。」といった内容でした。これはまさに、私たちが発表を通してオーディエンスの方々に伝えたかったことの一つです。発表の目的を果たすことができ、達成感を感じられた貴重なご意見でした。
また、私たちは既存の社会問題に対する解決策を提示するだけでなく、これまでにはなかった新しい観点からの着眼点を持ち、その問題自体に疑問を呈することにもこだわりました。これに対して「国際関係学部らしい考え方」との評価をいただき、これまでの学部での学びの会得と今回の探究への適用を実感することができました。
オープンゼミナールを通じて学んだことを教えてください。
多角的な視点を持ち、今までの常識を疑うことの重要さを学びました。私たちは、オープンゼミナールを準備し始めた当初、「児童労働はダメで早急に禁止されるべきだ」という考えを持っており、マイカを知らず知らずのうちに使用している聴衆を啓発するといった方向性で資料を作ろうと考えたこともありました。しかし、調べていくなかで、児童労働を「家族の手伝いであり、家族を支えることができる重要な手段である」と捉える新しい視点や、強制的に児童労働を禁止したりマイカの使用を制限したりすると、彼らの収入源が無くなり、貧困が深刻化する可能性があることを知りました。外部から強制的に禁止・制限をすることは問題の根本的な解決にはならないのです。この経験を通じて、自分自身の価値観を押しつけるのではなく、様々な方向から物事を捉える重要さを実感しました。
国際関係学部の良さはどのようなところだと思いますか?
国際関係学部には沢山の魅力があります!まずは多国籍で多様なバックグラウンドを持った人が多いことです。国内学生は、北は北海道から南は沖縄まで、海外の学生は、アジア圏はもちろん、アメリカやアフリカなど多様な国と地域から集まる人たちと切磋琢磨でき、刺激的な日々を送ることが出来ます!
また、言語だけの視点で据えるのではなく、世界の政治・経済・文化などといった多角的な視点から国際課題を捉える場があるので、日々学ぶ中で視野が広がる楽しさを感じています。加えて一年生時に基礎知識や総合的な学びを身につけた後に、国際問題について興味のある分野をより深く、知見豊かな教授陣から専門的に学ぶことが出来る点も魅力的だと思います。また模擬国際交渉を行うGSGや学びの成果を発表するオープンゼミナール大会など、学びをアウトプットする場があることも国際関係学部の魅力であり特色だなと感じています。
次年度の参加チームへメッセージをお願いします!
オープンゼミでは、チームで研究するので、一人では導き出せない考え方や意見も出てくることがあり、とても楽しい研究期間になると思います!研究を通して、伝えたいことを多くの人に伝えることができる良い機会なので、興味のあることをとことん研究してください!
2024年12月更新
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