2020年度が終わり、2021年度を迎えるにあたり、法学部長として、法学部生の皆さんに御礼の言葉を申し上げます。皆さん本当にありがとうございました。

　2020年2月以降、COVID-19の感染拡大が日本国内でも始まり、立命館大学は、感染拡大を防止するため、卒業式及び入学式も中止せざるを得ませんでした。

　4月期には、当初予定していた講義開始も政府の緊急事態宣言を受け、1か月間の休講措置、その後5月から始まった講義も、オンラインのみとなる状況となりました。大学に入構することもままならず、クラブ・サークル活動、友との交流、アルバイトなど、多くのことが制約される事態となりました。

　交流だけでなく、懇親会やゼミ旅行など、皆さんの年代であれば、一日一日が皆さんの成長にとって貴重なかけがえのない経験と喜びを実感する時間であったはずです。しかしながら、COVID-19感染拡大という非常事態の中、皆さんに、感染予防の行動をお願いし、そのもとで多くの大学生活の制約をお願いしなければなりませんでした。

　皆さんにとって2020年は本当にたいへんな1年であったと思います。

　法学部の教職員も、こうしたかつて経験したことのない事態に手探り状態、試行錯誤の中で教育コンテンツの開発や電子媒体による文献提供システムの構築など、努力を重ねてきました。しかしながら、こうした不測の事態へ対応する教学システムを予め構築しておく等、今後検証すべき課題も明らかになりました。

　非常事態下であったこの1年間の法学部生の行動を見る時、私は法学部長として皆さんを誇りに思わずにはいられません。2020年4月最初の緊急事態宣言下で、COVID-19感染防止の観点から、皆さんに、自粛生活のお願いを呼びかけました。様々な体験の中で限りない成長の可能性をもった皆さんにこうしたお願いをせざるをえなかったことに心苦しさを感じる一方、活動をしたい盛りのみなさんが感染防止を視野に入れた生活を実際に送ることへの困難さもまた正直感じておりました。しかしながら、この一年を振り返ってみますと、皆さんは、こうした非常事態の中でも、冷静に物事をとらえ、行動しておられたと思っております。

　実際、COVID-19に感染した方は本学にもおられました。しかしながら、法学部においては、学内での感染やクラスターはありませんでした。2020年度秋学期から、法学部で基礎演習やゼミ、さらには憲法・民法・刑法といった一部の大規模講義科目を対面型授業で実施しましたが、学内においてクラスターが発生しなかったのは、皆さんの日々の生活において、感染しない・感染させないという心構えとともに、それに基づいた行動が日々実践されていたおかげです。

　辛抱強くこのような生活をされた皆さんを誇りに思い、讃えたいと思います。

　さらに、法学部生の皆さんは、COVID-19禍の困難の中でも、学修に真摯に取り組まれました。日常の学修時間が増え、例年以上に教員への質問や問い合わせを行うなど、積極的な学修活動がみられました。また本学の特徴として挙げられる、学生同士の学び合い・ピアサポートも、1回生が学生生活に困難を抱えていることに思いを巡らせながら、上回生によるサポートの動きも見られました。

　このように困難な状況に耐えるだけでなく、それを乗り越えて前向きに学修に取り組んで学びの楽しさと喜びをつかもうとされ、またそれを個人にとどまらず、仲間に広げようとする積極的な取り組みが行われてきたことにも、法学部長として皆さんを誇りに思い、大いに讃えたいと思います。

　こうした皆さんの頑張りに依拠して、法学部は、2021年度春学期から、基礎演習・ゼミ・外国語などの小人数科目のみならず、専門科目においても、9割を超える授業において、対面型授業に切り替える判断をいたしました。むろん、感染防止対策の観点から施設の関係上、講義科目によっては、まだまだ出席調整が必要なところもあります。しかしながら、臨場感あふれる対面型授業を実感していただけるよう法学部として努力してまいります。他方で、様々な理由で大学に出席することに不安を抱える皆さんもいることも十分承知しております。こうした方のため、オンタイムのオンライン配信も併用して実施することとしております。

　COVID-19感染予防対策は、ワクチン投与が始まったとはいえ、まだまだ継続しなければならない状況です。法学部としても、教職員一同一丸となって、今後も感染予防対策に気を緩めることなく取り組み、またCOVID-19禍の中で取り組んできた学修環境の改善を踏まえつつ、皆さんが少しでもより快適な大学生活を送れるよう努力することをお約束いたします。

　法学部生の皆さんの辛抱強い感染防止対策への取り組みに改めて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
　４月に皆さんとキャンパスでまたお会いできることを楽しみにしております。
　
　立命館大学法学部長　德川 信治