教員紹介
Yu KAMON
嘉門 優
- 専門
- 刑法
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
刑法は犯罪と刑罰を対象とした法律ですが、その刑法が社会で果たすべき役割について研究しています。2017年に強姦罪(現・強制性交等罪)や強制わいせつ罪といった性犯罪が改正されました。しかし、被害者保護の観点からは、ジェンダーフリーが叫ばれる現代において、「性被害」という概念のとらえ方が古いのではないかといった指摘がなされています。他方で、密室で行われることの多い性犯罪については冤罪(えんざい)の危険性もあります。これは行為者の視点からの問題意識ですね。
このように、社会にいる多様な人の立場を想像し、それぞれの利益を尊重できるようにするためには、ただ「重く処罰する」というだけでは問題は解決しません。なるべく多くの人たちと意見交換したり、国際的な状況も参考にしながら、刑法のあるべき姿を日々研究しています。
どんな学生時代を送っていましたか。
どちらかというとおとなしい学生で、片道2時間の通学時間や講義前後の休憩時間には、読書ばかりしていたように思います。そのような毎日が変わったのが、3回生で所属したゼミでした。それまでは本や講義から知識を得るだけの毎日でしたが、毎回、3時間以上にわたって行われる議論のなかで、自分の意見が批判されたり、思いもよらなかった意見を主張するゼミ生の存在に、歯がゆい思いを感じつつも、知的な興奮を覚えました。先生やゼミ生に、自分の世界を広げてもらったと感謝しています。
現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。
法学部を選んだ理由は、ありがちですが、なんだかカッコよさそう程度のものでした。その後、しだいに講義内容を理解できるようになるにつれて、どの法律学も、社会をよりよくしようと、問題解決のために、みんなが知恵を出し合って議論していることが魅力だと感じるようになりました。とくに、刑法学は、犯罪という、社会問題のなかでも目を背けたい部分ではあります。しかし、そういう問題こそ、多くの人がアイデアを出して解決する必要性が高いのではないか、その役割を自分も果たせたら……と思ったのがきっかけだったように思います。