教員紹介

Shinji TOKUGAWA

德川 信治

德川 信治
専門
国際法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

国際社会がどのように秩序だっているのかを研究する「国際法」が私の専門ですが、その中でも、憲法の分野で学ぶ「人権」の問題と、国際社会が関心を持つ「平和」がどのように関連しているのかを研究する「国際人権法」を専門的な研究分野としています。

私は、国際連合が1948年に採択した世界人権宣言から国際人権規約、そしてその後の国連の人権の取り組みについて研究をするとともに、国際社会で最も注目されているヨーロッパ人権裁判所の機能について研究をしています。この裁判所は、言論の自由や拷問の禁止など自由権のみを扱いますが、ヨーロッパ48か国の人権問題を扱う点でヨーロッパの人権秩序の構築に大きく寄与している機関です。これらの研究を通じて、私は国際社会における人権問題がどのように展開しているのか、それを前進させる国際社会の力・ルールはどういうものなのかを検討しています。

どんな学生時代を送っていましたか。

大学生の時は、講義に出席をしつつも、他学部・他大学の興味のある講義にも潜っていました。また夕方からは生活費等を稼ぐため家庭教師や病院当直・往診のアルバイトをしていました。

講義の合間での友人との語らいや勉強・教えあいは言うまでもなく、アルバイトの中で世代の異なる方々・病気を抱えて不安になっている方との触れ合いは、世の中を多面的に見ていくことの大切さを教えてくれました。

3回生から始まったゼミは、国際経済法秩序を扱うものでしたので、私は発展途上国の自立を促進する法秩序に関する研究に取り組みました。ここで、国家間に「平等」があるのか、平等を実現するためにはいかなる法理論が組み立てられているのか、を研究していました。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

もともと法曹志望で法学部に入学したのですが、大学1回生の時、友人とつくった自主ゼミの中で国内裁判の判決を読んだことが国際法に関心を持ったきっかけです。そこで扱った事件が、1963年12月東京地方裁判所で下された下田事件というもので、広島への原爆投下が国際法に違反するか否かが争われた事件でした。私が広島市出身であったこともあり、あの原爆投下を規律する規範があること、3人の著名な国際法学者がこの裁判で原爆投下の国際法違反性に関する鑑定書を提出しており、その論理展開をみて、国際社会にも、とりわけ戦争にも明確なルールがあるんだと感動したことがきっかけでした。

受験生のみなさんへのメッセージ

法学に基づく論理的思考と行動は、グローバル化社会の中では、世界のビジネスや交渉で必ず求められる基礎的能力です。その力を身に着けて日本でそして世界で活躍してください。また、そのためには学生時代に、失敗を恐れず何事もチャレンジし、ものの見方・価値観の異なる人々と多く交わること、触れ合うことが大切です。世界の人々が集い、世界に誇る学問・文化・芸術の街・京都で、そして立命館大学で、それを実現しませんか。

おすすめの書籍
国際法と共に歩んだ六〇年―学者として裁判官として―小田 滋(東信堂)

経歴・業績について