卒業生の声

2019

公務員

夢を現実に―憧れだった外交官として国際舞台で活躍する

2016年卒業

広島市立基町高等学校

外務省 総合外交政策局 新安全保障課題政策室

私は幼い頃からトルコで働く叔父の話を聞き、文化・価値観が異なる異国の地で仕事をすることへの憧れを持っていました。始めは外国への憧れから、大学で国際法ゼミに所属し、模擬裁判を通じて、国際社会における政治・社会情勢及び法律の違いから生じた様々な紛争とそれらを規律するルールについて学びました。その中で、国際社会で日本を代表して各国と調整を行う外交官に憧れを持ち、在学中に外務省専門職の試験を受験しました。しかし、実力及ばず不合格となり、卒業後は国税専門官として勤務いたしました。非常にやりがいのある仕事ではありましたが、外交官として働くことを諦めきれず、再挑戦し、2018年採用通知をいただきました。
現在は“研修生”として、研修言語であるアラビア語を学習しながら、経済、技術、サイバーその他の事項に関する新たな安全保障上の課題に関する業務を所掌する部署で働いております。また、2019年は「即位の礼」の業務にも携ることができました。研修生の立場ではありますが、日本外交の一端に携ることができているのは非常にやりがいがあります。
私は卒業論文で、「サイバー空間における既存の国際法の適用」をテーマに書いたのですが、幸運にも初めての配属先が「宇宙・サイバー政策室(*現在は機構改革により、「新安全保障課題政策室」)」という部署でした。自分が研究した分野で、実際の現場に携ることができるのは非常に感慨深いものがあります。国際法模擬裁判にも熱心に取り組みました。2年生の後期に国際法模擬裁判サークルに加入し、模擬裁判大会の答弁者として参加させていただくこととなりました。ただ、急ごしらえの知識では、太刀打ちできず非常に悔しい思いをしました。それからは、様々な教科書、論文に当たり、理論を組み立て答弁を行う一連の作業を自主的に行うことで、自分が興味関心のある分野を研究することの喜びを知ることができました。模擬裁判の準備では、事実の認定、規範定立、事例に対するあてはめを論理的に行います。(現在でも満足できるレベルではありませんが、)そうした中で身につけた論理性は、私にとって非常に重要な財産です。
今後、本省での研修、アラビア語圏で在外研修を終えると、在外公館での勤務と本省勤務を繰り返すこととなります。研修を終えた時点で求められるレベルは、アラビア語の通訳官として十分に業務をこなすことができることが目安となります。在外公館は、外国と外交を行う上で重要な拠点ですので、職責を全うするためにも初心を忘れず常に向上心を持ちと自己研鑽に励みます。
法律は、私たちの生活のありとあらゆる分野を規定しており、紛争解決の一手段に過ぎない一方で、社会の中でその必要性がなくなることはありません。現実社会と密接に結びついている規範について学ぶことで、世の中で起こっていることをより深く知ることができます。また進路についても、外交官を始めとした行政機関、司法、民間企業の法務部、会計士、税理士など様々なフィールドに開かれています。大学で何をやりたいかまだ決まっていない人にこそ、法学部で自分が関心のある分野を見つけ、そこからさらに知識を深めていただければと思います。

取材:2019年

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