教員紹介

Katsuya AOKI

青木 克也

青木 克也
専門
労働法・社会法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

総務省の統計によれば、2024年12月時点での日本の就業者数は6800万人以上にのぼります。それほど多くの人が働く中では、当然、法によって解決が図られるべき労働問題がたくさん生じます。

もっとも、働く人が労働法によって保護されるためには、基本的に、その人が法律上の「労働者」に当たることが前提条件として必要とされます。その判断は、客観的に見て独立的な働き方をしているか、それとも従属的な働き方をしているかという観点を中心に行われます。

実際、働く人が「私は労働者に当たる」と主張し、働かせる側が「いや、あなたは労働者ではない」と反論する訴訟はたくさん起こっています。働き方が多様化・複雑化する現代では、この「労働者性」がますます重要なテーマになってきています。

どんな学生時代を送っていましたか。

大学の中では、野球サークル、剣道サークル、法律相談部に所属し、それぞれ楽しく活動していました。3回生のときには学部で最もハードな民法ゼミに入り、そこで研究のイロハを習得することができました。

学外では、地域の民間団体や学生団体に所属し、ホームレス状態にある方々の支援活動を行ったり、奨学金・ブラックバイトの問題に取り組んだりしていました。

大学の内外で様々な学びを得ることができましたが、唯一の後悔は、海外留学をしなかったことです。他国の社会を肌で感じることや、自分が外国人になる体験をすることは、その後の思考や行動の幅を大きく広げるきっかけになると思います。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

大学に入るまでは、シミュレーションゲームが趣味の、学校とクラブ活動以外ではあまり外に出ない子どもでした。学生時代に貧困問題・労働問題を知り、大きな衝撃とすばらしい人々との出会いを経験しました。そこで、労働と社会保障の問題に取り組む仕事をしていこうと決めました。

また、コンビニで夜勤のアルバイトをしていたときに、本部とのフランチャイズ契約で24時間・年中無休の営業を義務づけられている加盟店の大変さを知りました。そのことがきっかけとなって、フランチャイジー(コンビニのオーナーや塾の教室長など、フランチャイズに加盟する個人・小規模事業者)の労働者性をテーマとする博士論文を書き上げました。

受験生のみなさんへのメッセージ

私は、2020年から、弁護士として労働事件を中心に様々な法律上の紛争を扱ってきました。その間も研究への意欲を持ち続け、2025年に本学部に研究者教員として着任しました。授業の中では、弁護士活動の中で得た知見も最大限に活かし、具体的でわかりやすいご説明を心掛けます。また、教科書に書かれていない有益な知識・情報などもご提供できればと思います。

世の中には学生のうちから社会で華々しく活躍している人もおり、それはそれで素晴らしいことです。もっとも、学生時代に将来の展開の基礎となる地力をつけることは、それ以上に大切だと思います。足腰をしっかり鍛えるほど遠く高く跳べますので、色々なことにチャレンジしつつ、焦らず着実に力をつけていきましょう。

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