教員紹介

Madoka SHIMIZU

清水 円香

清水 円香
専門
商法

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

専門分野は商法です。商法分野はさらにいくつかの領域に細分化され、私はそのなかでも会社法を専門としています。

会社法は、会社の利害関係者の利益を調整することを目的とする法です。会社の利害関係者の例として、会社の出資者(株式会社なら株主)と会社債権者(例えば、会社に融資をした金融機関)を挙げることができます。両者の利害は対立することがあります。例えば、会社が事業活動により利益をあげ、会社財産が増大すると、出資者は配当として会社財産の一部の分配を受けることができます。出資者としては、多くの配当を得たいと考えるでしょう。しかし、配当金の源泉は会社財産ですから、配当額をあまりに大きくすると、会社財産から返済を受けるべき会社債権者が不利益を被るおそれがあります。このような利害対立が、会社法がその調整手段を提供している状況の一例です。

現代においては、多くの会社が企業グループを構成する一企業として存在しています。しかし、会社法は、必ずしも、ある会社がグループ構成会社であることを捉えて規律していません。私は、会社が企業グループを構成する会社である場合に、会社法の規律をどのように修正する必要があるか、諸外国の会社法を参考にしつつ研究しています。

どんな学生時代を送っていましたか。

様々なことにチャレンジすることを学生生活の課題として、常に忙しく過ごしていました。専門分野の学業のほか、語学、部活、アルバイト、留学、旅行、習い事、ボランティア等に取り組みました。

なかでも最も打ち込んだのは学業です。嫌いだった受験勉強から解放され、好きな分野に「学問」として取り組めることを嬉しく思いました。
様々なことに挑戦してみることで、自分の視野も人間関係の幅も広がったのはもちろん、自分自身が本当に関心を持っているのはどういった活動なのかがよくわかりました。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

小学生の頃、東西冷戦が終結せんとする時期で、その報道が多くあり、自然と国際問題に関心を持つようになりました。高校生になり、世界史の授業で東西冷戦の歴史への理解を深めるなかで、国際機関で働きたいと考えるようになり、法学部への進学を決めました。当初は、国際法や国際政治を中心に勉強したいと思っていたのです。

ところが、そういった分野を志していても、初めは、法学の基礎科目である民法や刑法を勉強しなければなりません。興味がないのに…と思いながら授業を受け、勉強してみると、法学における論理的な物の考え方が非常に心地よく感じられました。さらに勉強を進め、2回生の後期に商法・会社法に出会いました。取引の円滑や会社経営の効率性といった独特の価値観も有する商法・会社法分野に強い関心を抱くようになり、大学在学中に志す方向を変更することとなりました。

受験生のみなさんへのメッセージ

高校までの勉強においても、日常生活においても、一定の期間内にできるだけ多くの物事を完遂することが良いとされる場面が多かったかと思います。大学での勉強は必ずしもそうではありません。たとえば、1回のゼミのプレゼンのために何週間もかけて準備しますし、4回生の卒業論文の執筆に際しては、一つのテーマを何か月もかけて調査・研究します。大学は、じっくり時間をかけて一つの物事に取り組める数少ない場所です。

みなさんがその関心の対象に心行くまで向き合うお手伝いができるのを、楽しみにしています。

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