Feature #02
副総長×図書館長対談
今ここで、できること
コロナ禍で学ぶという挑戦
入学時の価値観と卒業時の
価値観が大きく変わること
=大学で学ぶ意義
新型コロナウイルスの影響は当面続きます。学生自身が描く大学生活と現実の間にギャップが生じている学生に対して、学生生活を少しでも豊かにするための大学図書館の活用方法について、アドバイスをお願いします。
重森留学をしたいと準備してきた学生たち、フィールドに出て人と会って現場を見て研究したい学生も多いと思います。それらがままならない状況下で、悔しさは計り知れないと思います。世界中のありとあらゆる人が挫折したり、なにかをあきらめなければいけなかったりと、世界が同時に同じ状況に陥っていることに、目を向けてほしいと思います。
よく、大学に入学してどういう意義があるのかといった問いかけがありますが、私は、入学時の価値観と卒業時の価値観が大きく変わっているということが、大学で学ぶ意義ではないかと考えます。所属する学部や専門分野がどこであれ、今回のコロナを、自分の成長、すなわち、価値観の転換にどう結び付けられるのかという観点で、今一度ニュースを見、新聞を読み、図書も読み、自身の関心や興味を広げていくチャンスと捉えていただければ、みなさんの人生において、意味のある時期になると思います。
図書館は、みなさんの挑戦を
最大限サポートするところです
松原学部生のみなさんにとっては今回のような思わぬ事態との遭遇は、想像を超えるインパクトなのであろうと思います。中世のペストや100年前のスペイン風邪並みの世界史的な事件に私たちは今立ち会っています。何十年後かに、だれかから証言を求められるような稀有な出来事に遭遇しているのです。
新興感染症は、これからも頻繁に出現するだろうと言われています。また近年では、ヨーロッパでの干ばつ、アメリカでの山火事、日本でも猛暑や豪雨など、激烈な気候変動に世界が悩まされています。
人類はたびたび危機に遭遇してきたのですが、これからは少し違った次元での経験を地球に住む者として余儀なくされるかもしれません。悲観的な言い方かもしれませんが、そういった中で人間は生きていくのでしょう。私たちが知らないだけで、実は想像を絶するような苦難を生き抜いた人たちがこれまでもいて、そういった人たちの経験に学んでいくということも増えるのではないでしょうか。
「そんなことには出会いたくなかった。もっと平穏な時に大学生でありたかったよ」とほとんどの人が思うでしょうが、大学時代というのは、長い人生の中でみたときには、自由に伸びしろを広げられる時間でもあるはずです。大人たちがコロナの対策で右往左往している今こそ、若者にとってはチャンスです。「正解」がない中「こうしとけ、ああしとけ」と言われることに対して「それは本当に正しいのでしょうか」と言いやすいタイミングだと思います。「正解があるはず」、「こういうことがいいに決まってる」と決めつけずに、チャレンジしてほしいと思います。
図書館はみなさんのチャレンジそのものの「答え」はもっていません。みなさんそれぞれが「挑戦」に向かう時に、灯台になり、追い風になり、目の前に魚をぽとんと落とすカモメになって、大海原にでていくみなさんのサポートをする役割を図書館は果たします。
図書館としては、みなさんの探求をサポートするために、サービスをどう展開していけばよいかについて、リアルもバーチャルも追求していきたいと思います。
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