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平和人権フィールドスタディ「減災まちづくりプログラム<大船渡・夏祭りチーム>」 ~準備、運営、片付けを通して「七夕まつり」の担い手に~
教養科目「平和人権フィールドスタディ」は、教員の指導のもと、現地におけるフィールドワーク・講演・討論などを通して、平和な世界づくりに貢献する「地球市⺠」を育てようとする正課の教学プログラムです。
東日本大震災から14年となる今年度も、平和人権フィールドスタディ「減災まちづくりプログラム<大船渡・夏祭りチーム>」の受講生(13名)は、サービスラーニングセンターの正課外プログラム「大船渡盛町七夕まつりサポートプロジェクト」の参加者(18名)とともに、8月3日(日)~9日(土)の7日間、「盛町灯ろう七夕まつり」(以下、七夕まつり)の準備から運営、片付けまでを地域の方々と共に行う活動を行いました。
七夕まつりは、盆前に先祖の霊を迎える神事として盛町地区にて約300年前から続いてきたとされる伝統行事です。地域のお祭りとして盛町の住民を中心に執り行われてきましたが、東日本大震災をきっかけに、国内外からボランティアが集い、今では復興支援で訪れた人々と地域住民が交流を深める機会となっています。
関西から盛町までは航空機や新幹線で主要都市に移動した後、電車やBRTを乗り継いでおよそ10時間かかります。プログラム初日は移動にあてられるため、到着翌日から本格的な活動が始まります。
8月4日(月)は、短冊などを飾り付けた高さおよそ13メートルの竹を商店街沿いに一本ずつ立てかけたほか、吹き流しの設置などを行い、その後は、配属された各町に分かれて山車の準備なども行いました。
翌5日(火)の午前中には渕上清市長の表敬訪問のため大船渡市役所を訪れました。まず、市職員から東日本大震災以降の復興のあゆみなどについて説明を受けたあと、グループに分かれて意見交換などを行いました。グループワーク終了後には、説明をしてくださった市職員の方を取り囲み、熱心に質問する学生も見られ、復興支援やまちづくりに対する関心の高さをうかがい知ることができました。
そして、七夕まつり当日の6日(水)には道中踊りが、7日(木)には灯ろう七夕山車の運行が行われました。さかり中央通商店街を約1.5kmにわたって練り行く道中踊りでは、事前学習Ⅱ(7月12日にキャンパスプラザ京都で開講)および現地活動中に3曲の振りを練習した上で、「立命館」の法被に身を包んで参加しました。配属された町ごとに地域の方々と制作した山車は6日の道中踊りの後と7日の午後から夜にかけて商店街を中心に運行され、学生たちは綱を引いて「よぉい、よいどう」の掛け声を上げる他、お囃子の役を担いながら、地域一体でのお祭りを盛り上げました。
お祭りの余韻と心地よい疲れがまだ残る8日(金)は、午前中から後片づけが行われました。商店街沿いに立てかけた竹を一本ずつ外し、短冊などを取り除く作業は想像以上に体力を要するもので、学生たちの若い力がもっとも発揮される場面の一つとなりました。
そして、最終日の9日(土)は、お世話になった地域の方々へ想いをこめて作成した色紙をお渡しし、現地学習は終了となりました。お見送りに来てくださった方々と「また来年も来ます!」と言葉を交わす姿も見られました。
なお、現地活動期間中、町での活動がない自由時間は、災害伝承施設や震災遺構への訪問の時間に当てられました。中には2025年2月に発災した林野火災の現場(綾里地区)を訪れる学生もおり、受講生がそれぞれに学びを深める時間となりました。
このあとは、事後学習、活動報告会と続き、現地学習での体験を言語化します。また、有志の学生により、現地活動を通した学習の延長として毎年実施している立命館大学大阪いばらきキャンパスでの大船渡直送サンマの炭火焼は今年度も現地から焼き師をお招きしつつ、11月2日(日)開催の「Global Week」に出展を予定しています。
<震災支援の歩み>
本学園では、2011年3月の東日本大震災発災後に「災害復興支援室」(2011年4月20日常任理事会)を設置し、学内外の諸機関と連携・調整をはかりながら、様々な形で復興支援活動を継続してきました。岩手県大船渡市とは2012年4月に「災害復興に向けた連携協力に関する協定」を締結、2016年度にはさらなる連携を見据えて「包括連携協定」を締結しました。多様な取り組みを協働で行うなか、「大船渡盛町七夕まつりサポートプロジェクト」は、復興支援の一環として2012年度に学生オフィスが主体となって始まりました。2020年度および2021年度のコロナ禍においては七夕まつりは中止となったものの、オンライン同窓会や過去10年間の活動写真展の開催などに形を変えてプロジェクトを継続的に実施し、これまでにのべ200名を超える学生が七夕まつりの担い手として参画してきました。
<参考>
大船渡盛町七夕まつりサポートプロジェクト -a story in 2024-