高校生の皆さまへ

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高校生の皆さまへ

矢野先生からのメッセージ

立命館大学の考古学・文化遺産専攻は、学部生100人以上、大学院生10人以上の大所帯です。男女比はほぼ半々です。学生は日本全国各地からやってきます。3回生から4つのゼミに分かれますが、同じ共同研究室で、ゼミを越えた交友関係が継続します。卒業生も全国各地で活躍しているので、各地の博物館などで卒業生と出会う機会も多くあります。立命館大学は、幅広い地域や時代にわたって考古学や文化遺産を専門的に学ぶことができる点、充実した教育・研究環境にあります。ここでは、何万年も昔の遠い過去から今生きている現在にいたる道筋を考古学的視点から見通すことができます。遠い未来を見通すために、共に考古学を学び、新しい歴史を発見しましょう。

私のおすすめ図書

中村豊 教授

小畑弘己2015『タネをまく縄文人』吉川弘文館 歴史文化ライブラリー 416、1,870円(税込)

 縄文時代は長く狩猟採集社会といわれ、農耕は弥生時代に始まったというのが一般的な理解でした。縄文時代にも農耕があったのではないかという仮説はかなり古くからあったのですが、決定的な証拠が見られないままに長い時間が経過しました。1990年頃から土器にみられる凹みにシリコンを流し込んで電子顕微鏡下で観察する研究法が、丑野毅さんが発明し、その後縄文時代に農耕がおこなわれていた証拠が次々に明らかになってきました。  これらの成果を積極的に評価することも大切ですが、農耕の起源と展開については、生業だけではなく多方面から検討し、どのような要因が決定的となって社会全体に変化をもたらしたのかをあきらかにしていかないといけません。まだまだわからないことが沢山あるという視点で本書を批判的に読んでいくこともまた重要です。

長友朋子 教授

サリー・グリーン著、近藤義郎・山口晋子訳1987年『考古学の変革者』岩波書店、2700円

ゴードン・チャイルドは「考古学の父」ともいわれ、遺跡や遺物からヨーロッパ全体を見渡して体系的に先史時代の歴史として編み上げた初めての考古学者として高く評価されています。この本は、ゴードン・チャイルドが書いた歴史書ではなく、ゴードン・チャイルドの生涯をたどることによって、どのように思考し研究を積み重ねていったのかを現した本です。考古学に興味のある皆さん、是非手に取って読んでみてください。

新田和央 准教授

山田菜の花2026年著『3.11復興ふるさとの記憶を残す 希望の文化財』淡交社、1800円+税

考古学が研究対象とする資料の多くは地中に残された遺物であったり、地上に痕跡をとどめる遺跡であったりといった、文化遺産と総称されるものです。そのため考古学の研究は、文化財・文化遺産の保護とまったくの無縁でいることはできません。数多くの立命館大学考古学・文化遺産専攻出身者も文化財保護行政の現場で活躍されています。現在、その文化財・文化遺産の中には将来に残していくことが難しい状況となっているものもあります。過疎化などに伴う担い手の不在、収蔵庫の不足など、その理由は様々です。この本では、東日本大震災という未曽有の災害とその復興に際し、文化財を残す意味が問われ、それでも残すために取り組んだ事例が読みやすい文章で描かれます。将来、文化財、文化遺産を伝えていく仕事をしてみたいという方におすすめしたい本です。

岡寺良 准教授

中井均著1997『近江の城―城が語る湖国の戦国史―』サンライズ出版、1,200円+税

中井均著1997『近江の城―城が語る湖国の戦国史―』サンライズ出版、1,200円+税

中世山城の置かれた歴史・立地・構造(縄張り構造)から語られた近江地域の戦国時代を紹介したものです。山城という遺跡を考古学的に解明することによって、何が明らかになるのか、どのような歴史像を描くことができるのかについて、長年近江の戦国城郭を研究してきた中井均氏(滋賀県立大学名誉教授)によって著されています。
本書の特徴は、個々の城郭を紹介するばかりではなく、そこからどのような地域史を描くことができるのかという点にあり、一般読者向けて分かりやすく書かれています。九州の事例では、岡寺2022『九州戦国城郭史 大名・国衆たちの築城記』(吉川弘文館・歴史文化ライブラリー)もありますので、こちらも併せて一読をお勧めします。

濱田耕作1922『通論考古學』大鐙閣(雄山閣・岩波文庫から復刻あり)900円+税(岩波文庫)

濱田耕作1922『通論考古學』大鐙閣(雄山閣・岩波文庫から復刻あり)900円+税(岩波文庫)

濱田耕作(青陵)は、日本で初めて考古学講座が置かれた京都帝国大学考古学研究室の初代教授でした。濱田はこの書の中で「考古学は過去人類の物質的遺物(に拠り人類の過去)を研究するの学なり」として初めて考古学を定義するとともに、考古資料の性格と種類や調査研究法など、当時最先端のヨーロッパの研究法を取り入れた内容にふれ、今日の考古学研究の礎となっています。また考古学の調査研究のみならず、博物館にも言及しており、博物館を単なる収蔵庫(倉庫・陳列所)ではなく、遺物を保存し、「学術研究の目的と社会教育に資するを旨とす」とあり、今日の日本の博物館の在り方にも大きな影響を与えました。やや文語調で読みにくいところもありますが、考古学を志そうという人にはぜひ一読をお勧めします。