気象予報士の一員として
立命館大学の地域研究学域の地理学専攻では、主に2つの種類の地理学を学ぶことができます。1つ目は人文地理学、2つ目は自然地理学です。その中でも私は後者の自然地理学に内包される気象学を専門としており、卒業論文については気象学の中でもエルニーニョ、ラニーニャを主題とした研究を軸として現在執筆しております。
私が気象学に興味を持ったきっかけは、小学校低学年頃から視聴している朝の関西ローカル情報番組に気象予報士として出演されている、正木明さんの影響が強かったです。正木さんの天気予報を毎日登校前に視聴していくうちに、気象学について関心を抱き、気象予報士に将来なりたいといった感情が芽生えたのであろうと考えられます。小学校卒業時には、自著の卒業文集の題名を「未来の予報」とし、文集の内容の約3分の2を「気象予報士になる」といった決意表明で埋め尽くすほど、気象予報士に対する思いは強くなっていました。その後中学校2回生の理科で気象について学び、さらに知見を深め、大学1回生の秋頃から本格的に気象予報士試験合格を目指し、3度目の受験において合格を勝ち取ることができました。そして現在気象予報士として、気象会社で業務に励んでおります。
独学での気象予報士試験合格にあたって、気象に関する一般、専門知識の日々の限られた時間でのインプット、アウトプットの繰り返しを重要視していました。インプットとは私の場合では電車、バスの中で気象学の参考書を読み込み、内容を理解することを指しています。空き時間を有効活用し、できるだけ毎日気象学に触れるように心掛けていました。アウトプットとは過去問を解くことを指しています。しかしただ過去問を解くことを指しているのではなく、家にいるときでも起きてアルバイトに行くまでの隙間時間などで勉強していました。せっかくの大学生活ですので受験生のように朝から晩まで勉強するということは一切していませんでした。恐らく1日約4〜5時間ほどが勉強の上限時間で、平均すると2時間ほどだったと考えられます。しかし、その勉強時間でも合格できました。この経験から私が考えたことは、重要なのは質の良い効率的な時間をどれだけ日々の空いた隙間時間で増加させていくのかといったことでした。
気象予報士試験は理系最難関試験と言われていますが、文系の私でも突破できました。大学生活の中には皆さんの好きな学問を突き詰められる環境が整っています。文系、理系の枠に囚われることなく皆さんが取りたい資格があるならば、懸命にそれについて追求することはこれからの人生の財産に必ずなります。しかしそれは遊びなどを通して、愉しさが溢れた大学生活を前提として、各々の勉学に励んで欲しいと考えています。
私にできることを考えて―過疎山村の防災研究―
私は現在「過疎山村における避難行動の現状と課題」というテーマで卒業論文を書くため、熊本県の南東、宮崎県との県境の山地にある槻木集落を対象に調査をしています。その地域は人口100人ほどでそのほとんどが高齢者である、「限界集落」です。一方で地域活性化に積極的に取り組んでおり、住民の方々もいきいきと暮らしています。そんな地域に防災の面から貢献するため、令和2年7月豪雨時の避難行動について研究しています。
研究を始めたきっかけは、集落への憧れでした。集落は祖母の地元であり、祖母から集落での不思議な体験や特有の価値観について聞かせてもらっていたため、幼い頃から興味を持っていました。中学生の頃、念願叶って一度だけ訪れたことがありました。車で4、50分程山を登ると、豊かな自然が広がっておりそこで人々が自給自足に近い生活を送っていました。中学生だった私にとって集落は映画の中の世界のように見え、強く惹かれました。
地域研究学域では1年生の夏休みに自由研究があるのですが、私はここぞとばかりにその集落に向かい、生活維持に関する聞き取り調査を行いました。そこで、「映画の中の世界」ではない実際の生活を知ることができました。特に印象的だったのは食料調達の手段でした。基本的に農業によって自給自足に近い生活を送っており、足りないものは週に一回、集落唯一の商店の方が買い出しに行っていると知りました。欲しいものがすぐ手に入る世の中で暮らしている自分からは想像もつかない生活で、衝撃を受けました。
生活に驚く一方で、住民の方々や槻木での生活の尊さを感じました。「槻木の高齢者は他の地域より10歳若い」と言う住民の方がいらっしゃいました。全くその通りで、槻木では80歳以上の高齢者の方であっても自分で農業をし、厳しい自然の中で元気に強く過ごしています。都市にはない「自分の生活を自分で営んでいく」という意識を感じ、強く惹かれました。こうした価値観や生活は山村特有のものであり、守っていくべき尊いものだと感じました。そこで取り組もうと思ったのが防災でした。槻木は全域が土砂災害の危険区域である上に、災害弱者と言える高齢者が住民のほとんどを占め、災害に対して脆弱だとも言えます。そのため防災の研究をすることで槻木での生活を守ることに貢献できるのではないかと考えました。その後、令和2年7月豪雨により同じ熊本県内で人的被害が起きてしまったことや、槻木において集落と町を繋ぐ唯一の道が崩落し「陸の孤島化」してしまったことをきっかけに、私は防災の研究をすることを決めました。
今後は主にアンケート調査を中心に研究を進めていく予定です。コロナ禍では地域的に非常に困難な研究とも言えますが、区長さんを中心とした地域の方々のご厚意により何とか研究を進められています。卒業までの短い時間ですが、悔いのないように研究をやりつくし、少しでも槻木に貢献したいと思っています。
本年度の学びに向けて
立命館大学に入学し、3度目の春を迎えました。いよいよ大学生活も折り返しに入る今、これまでを振り返りつつ、本年度の学びについて考えてみようと思います。
私が文学部地域研究学域に入学しようと思った理由は、地域と人の関係性について学び、地元を活性化させたいと考えたからです。私の地元は現在、産業・観光の振興が不十分であり、地域住民及び観光客が楽しめるイベントが少ないという問題を抱えています。しかし、高校1年生の時に参加した地元のボランティアで、実際は地域住民や観光客が地域の魅力に気づけていないことが最大の問題だと感じました。ボランティアへの参加を通して、1つのイベントの中にもたくさんの地域住民の方々の思いと地域の魅力が詰まっていることに気づきました。例えば、「ジュニア囲碁」のボランティアでは、主催している人の「囲碁の魅力を伝えたい、地域の子どもたちのために貢献したい」という思いを知りました。そして、その活動を支える人々、その活動によって支えられる人々がいるからこそ、地域貢献が成り立つのだと学びました。
大学入学後は、地域研究学域で地理学をベースとし、多角的な研究視点・手法を交えながら、現代的な諸問題に関する学びを深めていきました。2回生では、地域観光学を専攻し、地域住民・観光客・観光関連事業者どうしの関わり方について考えるなど、主に観光学の視点から地域に対する理解を深めていきました。それに加え、「人文学特別研修」という授業を履修し、1か月の海外インターンシップにも挑戦しました。具体的には、マレーシアにあるユネスコ世界遺産に登録された「ジョージタウン」という街で、歴史的町並みや建造物の保存運動に取り組んできたNGOにて、世界遺産の管理・維持に関する業務の補助などを行いました。最終的には、他の履修生とも協力しながらモデルツアーの考案及びパンフレットの作成も行いました。研修では、現地の人々と積極的に交流しながら、短期間の観光では見えてこない、マレーシアの魅力や課題について知ることができました。この研修は、私の価値観を大きく広げると同時に、人間としても成長させてくれました。
これまでの経験や学びを生かし、本年度も多くのことに挑戦しながら、積極的な姿勢で学びを深め、卒業研究につなげていきたいと思います。そして将来的には大学での学びを、地元をはじめとする地域の創生や、地域の魅力をより多くの人に発信していくために生かしたいです。
フィールドワークを通じて得られること
私は小学生の頃から地図を眺めたり、旅行に行くこと、歴史を学ぶことが好きで、日本を代表する歴史的な観光都市である京都にて、4年間の学生生活を送ることを選びました。
そのため入学した当時は観光学に興味がありましたが、様々な講義で学んでいくうちに地理学な側面から地域のことを分析していくことに面白みを感じ、河原ゼミで卒業論文を執筆しました。。
河原ゼミでは3・4回生の2年間かけて自分の興味があることは何か、実際にどの地域で研究を進めていくかをまずはじっくりと考えました。私は地域研究学域の授業以外においても、東日本大震災などの被災地でボランティアや地域活動に関わらせていただくこともあり、地域で活動をすることには抵抗はありませんでした。しかしながら活動するだけでなく、フィールドワークを通じて研究を進めていくことは、当初非常に苦労しました。
その中で私が大切にしていたことは、まずはフィールドワークを行い、現地の方々と話したり、実際に歩いて自分なりの視点で分析していくことです。文献や事前に地図等で想像していた様子とは異なることも多く、特に現地の方々とお話することで、口承で伝わってきたことなど、巡検することでしか得ることができない貴重な内容を研究に反映していくことができました。
またゼミにおいても先輩方の研究内容や、同級生と相談し合いながら切磋琢磨していく時間は非常に有意義でした。自分の研究対象地にはない要素や、同級生が感じたことを自分の研究にも活かすことができないかなど、1人ではたどり着くことができない部分を補完し合えたことは大きな支えになりました。
学生の皆さんにはまずは様々な講義で自分の興味は何か、学んでいきたいことは何かを明確にしていただき、卒業論文ではぜひ何回も現地に足を運んで、文献からは得られない自分だから知り得た情報・想いをまとめてほしいです。その時間はきっとかけがえのない時間になるでしょう。皆様の学生生活が充実したものになるようお祈りしています!