佐藤 亜美(さとう あみ)さん

卒業年月2018年3月

卒業論文カナダ・バンクーバー華人の「中国」意識

所属ゼミ宮内肇ゼミナール

卒業後進路学校法人立命館



中学3年生の時にアメリカに2週間留学したことがきっかけで英語圏への留学に興味を持つようになりました。英語圏への留学に憧れを抱いていた私が進学先に文学部東洋研究学域(現・東アジア研究学域)を選んだのは、英語圏ばかりに目を向けるのではなく、日本との繋がりが深い「中国」「韓国」のこと、また、同じ東アジアに生きる人々の生活・文化・言語・考え方について学びたいと感じたからです。さらに、所属学域にとらわれず様々な分野を学ぶことができる点、留学プログラムや外国語学習が充実している点も文学部を選んだ理由のひとつです。

入学後は学域の受講推奨科目だけでなく、異文化コミュニケーションや英語学概論、多文化社会概論なども受講し、留学に向けての準備を進めました。3回生から始まる専門演習では自分の学びたいテーマを見つけ2年間かけて卒業論文を執筆しますが、私は2回生の終わりまで学びたいテーマが見つからなかったので、2回生の春休みにテーマ探しも兼ねて「中国イニシエーション実習」に参加しました。広州・深圳・香港でのフィールドワークや現地の大学生との交流を通して、中国本土と香港とでは文化や言語、考え方が少しずつ異なることを体感しました。同時に、香港に住む人々は中国本土に対して、どのような考えを持っているのだろうと感じたことを覚えています。


UBCジョイントプログラム修了式での集合写真】

3回生の秋学期から「UBCジョイントプログラム(現・立命館・UBCアカデミック・イマージョン・プログラム)」に参加し、カナダ・バンクーバーにて約8か月間過ごしました。多文化都市であるバンクーバーでは、様々なバックグラウンドを持った人々が生活していました。私はそのなかでも中華系カナダ人に興味をもち、カナダで生まれ育った中華系カナダ人は「中国」に対し、どのような意識を持っているのか、卒業論文を通して考察していきました。研究を通して、同じ中華系カナダ人であっても家庭環境や学校・社会などの外的要因によって、「中国」に対する考え方や中華系カナダ人としてのアイデンティティが異なることがわかりました。


 

【佐藤さんが卒業論文で利用したリン・パン『世界華僑エンサイクロペディア』(左)と、佐藤さんがみずから行ったカナダ華僑への聞き取り調査(インタビュー)のメモ(右)】

現在は、お世話になった母校で大学職員として働いています。現在の配属先では学生と接する機会が多いのですが、学生と接する際は、学生の話をよく聞き、1人ひとりのバックグラウンドをきちんと理解することを心がけています。安易に人や物事を一括りにして考えず多角的な視点をもつ姿勢は、大学での学びで得たことだと感じています。

社会人になってあらためて大学時代を振り返ってみると、大学での学びや出会い、失敗、全ての経験が「人生の糧」になっていると感じます。学生の皆さんには、大学でしか経験できないことに失敗を恐れず積極的にチャレンジしていってほしいです。私も大学職員として学生のみなさんをもっともっとサポートできるよう頑張ります!

(2020年9月寄稿)