教員紹介

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現象学、現代哲学

「私と他者との関係」を考えたいという思いから哲学を志しました。大学では、当時注目を集めていたサルトルを学び、さらにメルロ=ポンティに関心をもちました。大学院では、彼らの哲学に基礎を与えたフッサールに引かれ、またハイデガーの存在論に視野を広げました。その後、デリダやフーコーにも興味をもつようになりました。
こうした経緯から、今は「私」と「他者」と「存在」とのあるべき関係を模索しています。

主な著作

  • 『これが現象学だ』(講談社現代新書)
  • 『意識の自然』(勁草書房)
  • 翻訳:フッサール『ブリタニカ草稿』(ちくま学芸文庫)
  • フッサール『内的時間意識の現象学』(ちくま学芸文庫)

倫理学、カント哲学、応用倫理

価値観が多様だとされる現代社会にあっては、個人の自由が尊重されると同時に、逆にそれが原因となってさまざまな争いが起きているといってもよいでしょう。
そうしたなかで、善悪や正義といった問題を、いかなる根拠によって語りうるのかという問題に、カントの道徳哲学および現代においてその系譜に属する倫理学説、さらにそれに対抗する倫理学説を手掛かりにして取り組んでいます。

主な著作

  • 『なぜ悪いことをしてはいけないのか』(共著・ナカニシヤ出版)
  • 『生命倫理の現在』(共著・世界思想社)

英語圏を中心とした近現代哲学

人間の精神的な側面と、他の生き物と共通する生命活動の側面との関係を、モンテーニュ、デカルトからヒュームにいたる近世哲学者の著作や、現代の人間論や生命論を参照しながら考えています。 
2011年から12年にかけて、ヒュームの哲学的主著である『人間本性論』の第2巻「情念について」、第3巻「道徳について」の共同訳を出版し、「道徳について」の解説を執筆しました。

主な著作

  • 『ヒューム読本』(共著・法政大学出版局) 
  • 『知識と実在』(共著・世界思想社) 
  • 『イギリス哲学・思想事典』(項目執筆・研究社)
  • 翻訳:ヒューム『人間本性論 第2巻 情念について/第3巻 道徳について』(共訳・法政大学出版局)

フランス哲学、フランス現代思想

フランスの哲学者メルロ=ポンティを研究しながら、知覚、身体、他者、言語の問題も視野に収めつつ、「芸術の現象学」についての考察を行っています。
ここ数年はメルロ=ポンティの講義録の翻訳(共訳)を刊行しましたが、今後も翻訳などを中心に研究を進めていきたいと考えています。

主な著作

  • 『哲学の歴史12』(メルロ=ポンティの章・中央公論新社)
  • 『自然の現象学』(晃洋書房)
  • 『沈黙の詩法』(晃洋書房)
  • 翻訳:メルロ=ポンティ『コレージュ・ド・フランス講義草稿1959-1961』『自然 コレージュ・ド・フランス講義ノート』(共訳・みすず書房)

フランス哲学、現代思想

「脱構築」の思想を生み出した、フランスの20世紀後半の哲学者ジャック・デリダを主に研究しています。 
デリダ哲学の成り立ちや背景を探るために、フッサールやハイデガー、レヴィナスなどの哲学も視野に収めながら、研究を進めています。 
これまでの研究では言語と他者、時間と歴史、暴力と正義といった問題に出会い、今も格闘しています。
これからも、現代の思想状況に刺激を受けながら、デリダ思想の意味を明らかにし、その可能性を追究していきたいと思っています。

主な著作

  • 『デリダ 歴史の思考』(法政大学出版局)
  • 翻訳:『デリダ、脱構築を語る』(共訳、岩波書店)
  • マーティン・ジェイ『うつむく眼』(共訳、法政大学出版局)
  • ジャック・デリダ『ハイデガー 存在の問いと歴史』(共訳、白水社)

倫理学、応用倫理、政治哲学

20世紀米国の哲学者ジョン・ロールズの正義論を中心とした規範倫理学や政治哲学、ならびに生命倫理・スポーツ倫理等の応用倫理学を研究しています。研究対象となるトピックは多種多様ですが、これらの多くに共通するのは公平性への関心です。例えば、社会制度のあり方は人々の人生の見通しを生まれながらにして大きく左右します。では、どんな社会が公平な社会でしょうか。そもそもどのような社会が望ましい社会なのでしょうか。また、勝利のためならどんなに汚いプレイも厭わないというスポーツ選手は、反則さえしなければフェアプレイの精神に則っているのでしょうか。こうした重要だけれども曖昧な倫理の言葉の意味を具体例に即してひとつひとつ解きほぐして行く点に、私の研究の面白さがあります。

主な著作

  • 『入門・倫理学』(共著・勁草書房)
  • 『入門・医療倫理III—公衆衛生倫理』(共著・勁草書房)
  • 『応用倫理学事典』(スポーツ倫理分野の編著・丸善)
  • 翻訳:サンデル『完全な人間を目指さなくてもよい理由―遺伝子操作とエンハンスメントの倫理』(共訳・ナカニシヤ出版)

現象学、ドイツ哲学

エトムント・フッサール(1859–1938)の現象学を中心とした、近現代のドイツ哲学の研究に取り組んでいます。
特に私が関心をもっているのは、「他者」というテーマです。フッサールは、自己と他者の意識の隔たりを指摘した上で、それにもかかわらず私が他者に出会っているという事実を「他者経験(Fremderfahrung)」という言葉で表現しました。この「他者経験」には、目が合う、手が触れ合う等の身体的な経験から、声を聴く、手紙を受け取る等の言語的な経験に至るまで、さまざまな形態が考えられます。こうした多様な他者経験を記述するために、現象学という方法論を彫琢していきたいと思っています。

主な著作

  • 『フッサールの他者論から倫理学へ』(勁草書房)