国立研究開発法人国立環境研究所、国立大学法人茨城大学、国立大学法人京都大学、芝浦工業大学、国立大学法人筑波大学、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人農研機構、立命館大学などの研究グループは、パリ協定で定めた2℃目標を含む複数の異なる温室効果ガス排出の将来見通し、並びに異なる人口やGDP といった社会経済の将来状況の仮定の下での大規模なシミュレーションを実施し、地球温暖化によって生じる経済的な被害額の推計を行い、成果を論文として公表しました。
最も悲観的な将来の仮定の下では、21 世紀末における地球温暖化による被害額は世界全体のGDPの3.9~8.6%に相当すると推計された一方、パリ協定の2℃目標を達成し、かつ、地域間の経済的な格差等が改善された場合には被害額は世界全体のGDPの0.4~1.2%に抑えられるという推計結果が得られました。また、特に開発途上国においては社会経済状況の改善が被害額(対GDP 比)を小さく抑える効果があることも分かりました。これらの結果は、温室効果ガスの排出削減等の地球温暖化対策の取り方や社会経済状況の変化といった、我々人類が選択しうる要因が将来の地球温暖化によって生じる被害の大きさに対して、大きな影響力を持つことを示唆しています。
この研究成果は、気候変動分野における学術誌Nature Climate Change に9 月25 日付(現地時間)で掲載されます。
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