国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所、会津大学および立命館大学は、小型月着陸実証機(SLIM)電力回復後の観測画像を公開します。SLIMに搭載したマルチバンド分光カメラ(MBC)は計画当初予定していた10バンド分光観測を順調に終えることができ、対象は当初期待していたより多く観測できました。
MBCはSLIM電力回復後、333枚のフルスキャン画像を波長を変えて2回、岩石やレゴリスの高解像度10バンド観測を13カ所の観測対象に対して実施しました。得られたたくさんのデータをもとに、月の起源の謎にせまる岩石の判別と鉱物の化学組成の推定の解析を進めています。
科学的成果が得られ次第、発表させていただきます。
【佐伯和人 立命館大学宇宙地球探査研究センター(ESEC)センター長のコメント】
SLIM着陸後の電力不足から熱い月の昼を乗り越えての復活と、まるでジェットコースターに乗っているような目まぐるしい状況変化でしたが、SLIMチームがそれぞれの専門の知恵を結集して対策を練っていく様子は、まるで一本の映画を見ているようでした。もちろん、MBCチームも一丸となって、SLIMの状態を推定する解析データの提供や、電源復旧の際の観測計画の修正に知恵を絞りました。
MBCは大変複雑な装置なのですが、さまざまな状況を想定した運用訓練を積んだことが功を奏しました。特に若手メンバーが機転を利かして変化する状況に即応してくれたおかげで想定以上の観測ができました。また、休憩の際にはSNSに流れる応援メッセージを見て元気をいただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。
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