• 2019/10/01
  • タンパク質のかたちが壊れるメカニズムを解明 〜タンパク質の産業応用や創薬研究を加速させる技術〜
  • 立命館大学広報課
  •  立命館大学薬学部の北原亮教授とオーフス大学(デンマーク)のフランス・モルダー准教授らの研究グループは、タンパク質がかたちを変えて壊れていく様子(変性)を捉える手法を開発し、DNAウイルスであるT4 ファージのタンパク質T4 リゾチームについて、その詳細な変性過程の解明に成功しました。

     今回の研究では、生命科学研究では特徴的な技術である「圧力」と、分子運動の検出に優れたR 2 緩和分散NMR 法と水素/重水素交換NMR 法を併用することにより、酵素機能に関わる速い分子運動(マイクロ秒)から、かたちが壊れ変性する遅い分子運動(秒)までの広範囲の運動を捉えることに成功しました。研究対象としたT4 リゾチームは、約160 アミノ酸からなる小さな酵素ですが、少なくとも3つの壊れかけのかたち(変性中間体)があることがわかり、天然状態とそれら変性中間体のエネルギー差や体積差も併せて解明されました。
     現在、様々な酵素が産業利用され、抗体をはじめタンパク質医薬品も増えつつあります。タンパク質の構造安定性の理解と品質管理は、それらの産業利用、安全使用において最重要課題です。本手法は、NMR 測定が可能なあらゆるタンパク質に応用でき、タンパク質の産業応用や創薬研究を加速する可能性があります。

     ※本研究成果は、2019 年10 月1 日(日本時間)にアメリカ科学アカデミー紀要(オンライン版)に掲載されました。

     プレスリリース全文は以下をご覧ください。
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