この問題、あなたならどうする?
気候変動を防ぐために行動しようと言われるけど、自分が努力しても意味が無いのでは?
省エネ行動などに取り組むことによって、気候変動の原因となる二酸化炭素の排出を減らす必要があります。しかし、気候変動は地球規模の大きな問題で、一人ひとりが行動する意義を感じにくいですね。みんなが排出削減に取り組むようにするには、どうしたらよいのでしょう。
- 問題背景
-
地球の平均気温の上昇傾向が続いており、気候変動によるさまざまな悪影響があらわれつつあります。これ以上の気候変動の深刻化を防ぐために、日本を含む世界各国は、今世紀後半までに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を掲げています。しかし、これまでのところ世界全体での排出量は増加の一途をたどっています。
このような気候変動問題について多くの人びとが認識し、危機感を持っていますが、それに対処する責任を感じているとは限らず、特に日本では、気候変動に対して自分たちの行動が必要だと感じる人の割合が世界的にみて低いという調査があります(注1)。また、やや古い調査ですが、多くの国の人びとが気候変動対策について生活の質を高めるものと考えるのに対して、日本人は、むしろ生活を脅かすものと考える傾向にあるようです(注2)。
世界あるいは日本全体の二酸化炭素の排出に対して個人が及ぼす影響は確かに小さいかもしれませんが、世の中は何ごとも一人ひとりの行動の積み重ねでできています。大きな課題への対応だからこそ、全員が力を合わせることが望まれます。
- 思考のヒント
-
二酸化炭素排出量の削減に向けて「自分が努力しても意味が無い」という考え方は、どこからくるのでしょうか。他の人びとが削減に取り組んでくれれば自分は行わなくても影響が無いと思ってしまう、取り組んだとしても効果を実感できない、とにかく行動するのは大変で面倒くさいと感じる、などのさまざまな原因がありそうです。
原因を把握したら、次に、それらへの対策を検討します。上に述べたような人びとの考え方を変えて、行動に移してもらうような仕組みです。身近なところでは、立命館大学のキャンパス内にマイボトル用給水機が設置されています。給水機の側面には、ペットボトル飲料を購入する場合と比べたときの二酸化炭素の排出削減効果が表示されています(ペットボトルもマイボトルも製造や廃棄の過程でエネルギーを消費し二酸化炭素を排出しますが、マイボトルは繰り返し使うので相対的に排出量が少なくなります)。マイボトルの持参を面倒だと思っていた学生さんもいたと思いますが、いまでは多くの学生さんが給水機を積極的に利用し、排出削減に貢献しています(注3)。
国や地域という、もっと広い範囲でも基本的には同じで、人びとの意識と行動を変えるような仕組みづくりが重要です。排出削減に取り組むのが得だと思える制度をつくったり、削減への貢献度を分かりやすく可視化したりする。さらに、そもそもエネルギーを浪費し二酸化炭素を多く排出するような製品やサービスを提供しないという制度もありえます。また、このような仕組みを実際に導入するためには、その必要性を多くの人びとに理解してもらわなければなりません。
- 政策科学部での学び
-
政策科学部には「環境開発」「社会マネジメント」「公共政策」の3つの学系があり、気候変動をはじめとする環境問題の基礎や対応のための考え方については、「環境開発」学系のさまざまな科目で学びを深めることができます。他方で、環境問題の発生やその防止対策は個人や組織からなる社会の活動と密接に関わり、互いに影響しあいます。また、対策の実施に向けて国や地域で法制化するプロセスなどを理解する必要もあるでしょう。つまり、3つの学系を横断的に学ぶことによって、環境問題を理解し、それが生じている原因を突き止めて、対策とその実施方法を考える、という問題解決への道筋を研究することができるのです。
注
1 イプソス(2026)『「人類と気候変動」レポート 2026』https://www.ipsos.com/ja-jp/ipsos-people-and-climate-change-2026(2026年6月18日閲覧)
2 科学技術振興機構(2015)『世界市民会議「気候変動とエネルギー」開催報告書』https://www.jst.go.jp/sis/archive/items/wwv-result_20150709.pdf(2026年6月18日閲覧)
3 大阪府(2026)『カーボンフットプリント(CFP)活用事例集「脱炭素を“伝わる”に変える』https://www.pref.osaka.lg.jp/o120020/eneseisaku/cfp/cfp_project.html#zireisyuu(2026年6月18日閲覧)