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2013.11.08
立命館大学政策科学部開学20周年記念式典を挙行しました。
記念式典では、校歌斉唱の後、政策科学部同窓会「洋洋会」の新井弘徳会長(1期生)より開会の挨拶が行われました。挨拶では、開学当時の政策科学部を振り返り、最先端のコミュニケーションツールの活用や阪神・淡路大震災における学生主体のボランティア活動などの先進的な取り組みを挙げ、20年間で5,800人を超える卒業生を輩出してきたことに触れながら、同窓生の交流活動の充実とそれを通じた政策科学部のさらなる発展への期待が述べられました。
挨拶の後、重森臣広政策科学部長(第11代)が「政策科学部の教育理念とポリシー」と題して式辞を述べました。式辞では、まず政策科学部が開学した1994年度の社会の出来事を回顧し、それから20年間の社会の変化にカリキュラム改革や国際化の取り組みなどを通じて対応しながら、5,855名の学士課程卒業生、504名の博士課程前期課程修了生、54名の博士課程後期課程修了生を送り出し、また78名の専任教員が所属してきたことを述べました。そして「予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ」という中央教育審議会答申に触れ、模範解答のない問題の解決を学問する政策科学部の掲げてきた教育理念とポリシーが時代に先駆けていたことを述べ、政策科学部は2015年開設の大阪いばらきキャンパスへの移転を機会としてさらに新たなステップを踏み出すことが語られました。
式辞の後、来賓で第6代政策科学部長の川口清史立命館大学学長より祝辞が述べられました。祝辞では、政策科学部が立命館大学の長期計画の中で社系学部のあり方を問いなおす野心をもって開学し、基礎演習や研究入門フォーラムといった小集団演習科目を通じて取り組んできた、「教わる」ばかりでなく「自ら学ぶ」教育への質の転換が、現在では全学に、さらには日本全体に広がりつつあることに触れ、これまでの実践を裏付けとして、大阪いばらきキャンパスへの移転を新しいステップとすることへの期待が語られました。
続いて、来賓で第3代政策科学部長の石見利勝姫路市長より祝辞が述べられました。祝辞では、政策科学部での9年間の在職時代を回想して、学生が非常に活発で教育を意気に感じ、また学部長を務めては教職員に盛り立てられた充実した教員生活だったと振り返り、在学生に対して、センサーの感度を高め、アンテナを高くして学生生活を送ってほしいと激励されました。
祝辞の後、山田順一初代政策科学部事務長からの祝電が読み上げられ、同窓生と教員の記念写真の撮影が行われました。
小休憩を挟み、「政策科学の20年と、今後への期待」と題した記念対談が行われました。記念対談は、川口清史立命館大学学長、石見利勝姫路市長、同窓生代表として谷内博史七尾市まちづくりコーディネーター(1期生)を迎え、佐藤満政策科学部教授を進行役として行われました。対談では、石見市長が姫路市長としての実際のまちづくりの工夫を紹介し、川口学長とともに、そのような現実の問題の解決に関わることのできる研究と人材の育成を目指す政策科学部の開学以来の理念について語らいました。谷内さんは熱気に満ちあふれた開学当時の政策科学部の様子を振り返りながら、決して正解があるわけではない問題の解決を模索する政策科学部での学びが、まちづくりコーディネーターとして市民と行政の間に立つかたちでの実践につながっていることが語られました。
対談の後は、フロアとの質疑応答が同窓生や重森臣広政策科学部長をまじえて活発に行われました。最後に対談者からそれぞれ在学生と同窓生に向けて激励のメッセージが述べられ、川口学長が政策科学部第2の創業となる大阪いばらきキャンパスへの移転事業への応援を要請して締めくくりました。
在学生と教員の記念写真撮影の後、中川記念会館レストラン「カルム」へ移動して祝賀会が催されました。祝賀会は、在学生、同窓生、教員が入りまじり、和やかな雰囲気で行われました。
(写真提供:立命館大学新聞社ほか)
2013.11.05
豊田准教授が日本地域学会 田中啓一賞(博士論文賞) を受賞しました
受賞についてのインタビューです。
聞き手)受賞おめでとうございます。どのような研究をなされたのでしょうか。
豊田)人口流動期における都市部のコミュニティ避難計画に関する研究です。
聞き手)人口が流動する時代とはどのような時代なのでしょうか。
豊田)日本は人口減少に伴う都市部における人口流動期にあり、災害の世紀と呼ばれている21世紀において、更なる猛威が予測されている自然災害に対処する方策が求められています。そこで博士論文では、このような予想されるリスクを軽減し、大震災からの生存確率を高めるための地域コミュニティにおけるコミュニティ避難計画モデルを構築しました。
聞き手)人口が減っている地域コミュニティに固有の防災の課題はどのようなものですか。
豊田)まず、これまでの大震災時の地域コミュニティにおける安全な避難の教訓を整理して、地域コミュニティのより安全な避難のために、防災まちづくりの手法が着目されているものの、防災まちづくりには社会関係資本(住民の地域との関わり〔信頼、規範、ネットワークなど〕)が重要です。一方、都市は定常状態にあるのではなく、常に変動しています。今回受賞した博士論文では、特に、人口減少や少子高齢化という社会変化に伴う今後の都市変容の有力なコンセプトである都市のコンパクト化に焦点を当て、コンパクト化に必然的に伴う人口流動によって社会関係資本が希薄な新住民の割合が都市部において多くなることを大規模調査データより予測しました。これは先に述べた防災まちづくりにとって深刻な課題となります。
聞き手)防災を意識したまちづくりでは、どのように避難計画を立てれば良いのでしょうか。
豊田)私は「コミュニティ避難計画モデル」を提案しました。このモデルは先ほど問題視した社会関係資本の醸成を前提としておらず、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを援用した「コミュニティ避難システム」の「構築」、「(事前)評価(アセスメント)」、そして「補完」という三段階から構成されています。そして、将来予測される都市と共通の特徴をもっているという共通性、防災まちづくりの効果を測定しやすいという優位性から、本モデルを検証するための対象地域として、地震リスクが存在する地区を設定しました。
まず「コミュニティ避難計画モデル」の第一段階に基づき住民参加型防災(避難)マップづくり、および作成したマップの不参加住民への配布によって、「コミュニティ避難システム」の構築と有効範囲の拡大を検証しました。ここでは「コミュニティ避難システム」の構築を確認するとともに、避難場所に集まり安否確認や救出・救護活動、消火活動などの支援という「コミュニティ避難システム」が有効に作動できるような情報に関する認知の、不参加者への拡大を一定程度は達成できることを示しました。そして、「コミュニティ避難計画モデル」の第二段階「システム評価」と第三段階「システム補完」の検討を行いました。「コミュニティ避難システム」の評価手法として、コミュニティ避難システムの再現性と安全性、そして失敗を含む学習モデルから、ゲーミング・シミュレーションが評価手法として有効なことを理論的に論じ、開発した「避難シミュレーション訓練」を当該地区において実施し、各町内の住民名簿作成および避難場所の追加というリスク対策の決定と実施(リスク・マネジメント)を行える(踏み切る事ができる)ことを示すことに成功しました。
聞き手)コミュニティの避難モデルを作成することが重要であることが分かりました。
豊田)このようにこの研究は、都市中心部において社会関係資本が希薄な新住民が増加し、避難時共助(住民間の助け合い)の発現機会の低下という脆弱性の増大期に入りつつある日本において、避難時共助の発現機会を増加させ、震災後避難時における生存確率を向上することが期待できる介入可能な行動体系によって構成される「コミュニティ避難計画モデル」を設計し、その有効性を明らかにしました。
この研究では地域住民のみを対象にしているため、今後は「コミュニティ避難計画モデル」を進化させて、行政やNGO、大学など多主体による防災まちづくりを促進するための方策を検討していきたいと考えています。
2013.10.30
土地家屋調査士の寄附講座(政策科学特殊講義 (PC))の表彰並びに講評会
土地家屋調査士はたとえば、土地の境界が分からず、近隣とトラブルになっている際、実際に現地に赴いて解決する、問題解決型の仕事です。また、測量の技術的な知識だけではなく、法律の知識なども要求される学際的な業務でもあり、政策科学の実践例と言えるでしょう。
今回、講師の土地家屋調査士の先生方のご依頼により、成績優秀者の表彰、講評会を2013年10月24日に実施しました。講評会では、授業の内容・進め方についての活発な議論がなされるとともに、学生は講師の先生方から将来に関する貴重なアドバイスをいただくなど、非常に有意義な表彰会・講評会でした。
最後に、寄附講座の講師をしてくださった土地家屋調査士の先生方、また土地家屋調査士会近畿ブロックの皆様にこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。
2013.10.30
政策科学部20周年式典について(政策科学部出身者・本学関係者対象)
2013.10.23
政策科学部キャリア企画「PSTeN 10年後の私」が開催されました。
企画は、講義・グループトーク・フリートークの3部で構成し、学生時代の話から現在の仕事についての話など幅広くお話していただきました。学生からは様々な質問が飛び、先輩方と熱い議論を繰り広げていました。先輩方は時には冗談で場を和ませてくださり、学生も話しやすい雰囲気で企画を進めることができました。13時から17時まで4時間という長丁場の企画でしたが、とても有益な時間を過ごすことができたのではないかと思います。
この企画は全回生を対象としていますが、やはり就職活動を控えた3回生の参加が最も多く、就職活動中の話や興味のある業界の先輩に現在の仕事について真剣に話を聞いている姿が多くみられました。1・2回生の参加者も多く今後の学生生活をどのように送るかということを考えるきっかけにもなったと思います。
企画後のアンケートで、学生からは「貴重なお話を聞けた」「就職活動や仕事について具体的なイメージを持つことができた」といった意見があり先輩方からは「後輩とざっくばらんに話ができてよかった」「学生の関心の高さを実感した」といった意見をいただきました。学生のみならず先輩方にとっても充実した企画になったのではないかと思います。
今後PSTeNは、全政策科学部生に向けて先輩方のお話をまとめた事後冊子を作成し、また次年度よりよい企画にしてもらうために企画・運営等の反省を行いたいと考えています。
最後になりましたが、本企画にご協力いただきました先輩の皆様、ならびに洋洋会の皆様に御礼深く申し上げます。
2013.10.09
研究入門フォーラム・政策科学特別実習 ハワイプロジェクト現地調査
今回の調査実習の目的は、前期に実施した文献調査を通じて、ハワイの経済、文化等、多面的な政策課題の活性化を検討するために、より具体的な知見を得ることです。13名はサブ・テーマ別の4つのチームに分かれて、調査を行いました。チームは1)盆ダンス、2)フィルム・ツーリズム、3)ウェディング、4)食生活です。
現地での調査手法はサブ・テーマ毎に随分異なりました。例えば、食生活チームは、ハワイ大学の研究者へのインタビュー調査に加えて、各地のファーマーズ・マーケットやレストランを訪れ、実食を重ねました。ハワイの多くの人々が抱える肥満の問題を解消するための食のあり方を、フィールドワークを通じて考察することができました。
(写真1) (写真2) (写真3)
また、盆ダンスの調査では、マノア、モイリイリの2地区を中心にアンケートと現地調査を行いました。また、現地の盆踊りに参加することで、日本とハワイの違いを肌で感じることができました。具体的には、早朝のファスト・フード店や喫茶店に集まっている日系の中高年の方々に話しかけ、事前に作成していたアンケート調査に協力いただきました。100名を超える方へのアンケート調査を通じて、盆ダンスの練習への参加や、地元寺院への訪問、さらには予定していなかった盆ダンスへの参加など、貴重な情報と経験を得ることができました。
(写真4)
研究入門フォーラムにおける訪問調査はまさしく、アクティブ(能動的)に学ぶ場としての貴重な機会であったと確信しています。結果として得られたものは、研究のために得られた情報だけではありません。前期には英語でのコミュニケーションに躊躇していた学生も、実習期間中は積極的に英語を話し、現地の人々との意思疎通を試みていました。また、先行研究の調査が難しく、準備が思うように進んでいなかったチームは、現地に到着してから夜を徹して議論をし、インタビューの準備に取り組んでいました。彼らは研究入門フォーラムの目的の一つである、チームワークを学ぶ貴重な体験をしました。
(写真5) (写真6)
最後に、インタビューを快く受けていただいた皆様にこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。
(写真1)
ハワイの食文化がひとつにつまったプレートランチは、さとうきび労働者として各国からやってきた移民が、それぞれの国のおかずをもちよって、ひとつの食卓を囲んだことからはじまったといわれています。この日はハワイの伝統食のひとつであるロミ・サーモンやラウラウ、現地で多く食されるアヒ(マグロ)のグリルなどを全員で味わいました。
(写真2、3)
全米で唯一セリが行われているホノルル港のフィッシュオークションを見学しました。
日系人の大谷松治郎が創業したUnited Fish AgencyとNPO法人のHawaii Seafoodが共同でセリ市のエデュケーショナルツアーを手がけています。ツアーでは、ハワイの延縄漁の仕組みや新鮮なマグロの選別方法などを学びました。
(写真4)
盆ダンス写真
Windward Community Collegeでの盆ダンスフェスティバル
ハワイでは6月から8月の間、各地で先祖を供養するための盆ダンス(盆おどり)が開催されており、民族や世代を超えて多くの来場者で賑わいます。
(写真5、6)
ハワイのロケーションツーリズムを調査しているメディアチームは、オアフ島から島内便で30分のカウアイ島へ渡り、映画「ファミリー・ツリー」をケーススタディとして、映画が観光業にもたらす効果や、どのような映画が観光効果に結びつくのかについて調査を行いました。カウアイフィルムコミッショナーのアート・ウメズ氏には、インタビューの他フラダンスのレッスンを体験する機会もいただきました。
2013.10.08
2014年度研究入門フォーラム 受講の手引きが発刊されました
2013.09.30
政策科学部 CRPS(Community and Regional Policy Studies)専攻 新入生歓迎会
学部長のご挨拶、乾杯の後、新入生の自己紹介と担当の先生方からのお言葉をいただきました。新入生からは、都市、環境をはじめとした政策課題や日本の文化・社会などに対する関心が示され、盛況のうちに閉会しました。
CRPS専攻の新入生を得て、グローバル化した政策課題に対する問題意識の深まりや、日本語基準学生と英語基準学生の相互交流などを通じて、政策科学部の一層の活性化が期待されます。
2013.09.30
政策科学部が韓国の国民大学校社会科学大学と学生交換の協定を締結
立命館大学政策科学部は、英語基準専攻(CRPS専攻)の設置(2013年9月)を中軸とする国際化をすすめ、コミュニティの政策課題をグローバルに比較することを通じて学ぶ「コミュニティ・エクスチェンジ型学習」を促進するため、世界各国の大学と連携を深めています。その一つが、韓国の国民大学校社会科学大学です(「大学」は日本の「学部」に相当)。
国民大学校は1946年に創設され、1981年に総合大学となり、韓国各界に卒業生を送り出しています。日本との交流も深く、社会科学大学の国際学部には日本学専攻がおかれています。社会科学大学は、国際学部の他に行政政策学部、言論情報学部から構成され、中国、ロシア、日本をはじめ多くの留学生を受け入れています。
このプログラムに参加する政策科学部の学生は、交換留学制度を利用し、国民大学校社会科学大学(学部に相当)の韓国語、日本語あるいは英語による正規科目を受講できます。あるいは、オプショナルで国民大学校で韓国語を学ぶことも可能です。帰国後、取得した単位が認定されれば、4年間で大学が卒業できます。政策科学部からの最初の派遣は2014年3月を予定しています。
国民大学校社会科学大学の学生は、政策科学部に交換留学生として半年あるいは1年間在籍し、政策科学部の日本語あるいは英語による科目を受講できます。政策科学部への最初の交換留学生の受入は、2014年度からです。
これまで政策科学部は、研究入門フォーラムで韓国海洋大学や淑明女子大学の学生と交流を続けてきました。また2014年度入学生より始まる新しい政策科学専攻のカリキュラムでは、Koreanを外国語として選択することができます。Koreanを学び、「コミュニティ・エクスチェンジ」の学習を通じて韓国の政策課題を研究する学生が増えることを期待しています。
(写真)国民大学校初代学長申翼熙氏の像の前で、張悳俊国民大学校社会科学大学長(右から3番目)ならびに立命館大学政策科学部重森学部長(右から4番目)をはじめ両大学関係者で記念撮影(2013年9月12日 国民大学校撮影)