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バンコク郊外のスラムが直面する退去問題について調査 (グローバル/ローカル・オンサイト演習II〔タイ・プロジェクト〕)
8月21日より9月1日にかけて、グローバル/ローカル・オンサイト演習II(タイ・プロジェクト)の一環としてタイ・タマサート大学建築計画学部でワークショップを開催しました。ワークショップには教員2名(豊田祐輔准教授、ションラウォーン・ピヤダー助教)の引率のもと、本科目受講生の6名(政策科学部専攻4名、Community and Regional Policy Studies専攻2名) が参加しました。
ワークショップの前半はタマサート大学教員や現地の行政(国家住宅公社、コミュニティ組織開発機構)、NGO(ドゥアンプラティープ財団)による講義、そして改善されたスラムを訪問し、現在のスラム改善のためのプログラムや成功要因などについて学びました。さらに、バンコク郊外のスラムを事例としてインタビュー、そしてアンケート調査を通じて改善策を提案しました。
今回の事例は、水路沿いの行政が所有する土地に不法占拠する住民に対して、洪水対策へ向けた水路の整備に伴う強制退去が大きな問題でした。本事例の課題は、住宅を購入するための行政ローンの申請にはコミュニティが一体となって貯蓄をする必要がありますが、所属格差のため貯蓄額に格差が生じ、一致団結できていない地域です。また、行政などへの不信感も大きな課題です。受講生は、他事例の教訓や本事例での調査をもとに、行政が立ち退きにあたって金銭的保障をすること、移転先として提案されているフラットをより住みやすいものとすること、そして立ち退きに伴う環境の変化が子どもの就学意識に悪影響を与えることといった、問題発見ならびに政策提言を行いました。今後は他国の事例や貧困のサイクル(貧困が次世代の貧困を再生産する)に関わる理論的側面から本事例を捉えていくことが課題です。
また、来年度より政策科学部と1セメスターもしくは1年間の交換留学を開始するマヒドン大学教養学部との学生交流や小学生への折り紙教室など、交流活動も積極的に行いました。 本ワークショップはタマサート大学建築計画学部の主催により開催されたものです。ウェルカム・パーティでの歓迎や調査へご協力いただいた先生や学生をはじめ、関係者各位にこの場をお借りして深く感謝の意を表します。
ワークショップ時の光景

タマサート大学建築学部による
ウェルカム・パーティの様子

国家住宅公社での講義

改善された元スラムの視察

マヒドン大学教養学部と共同で実施した
小学校での折り紙教室