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海外・国内特定プロジェクト(GLO演習)ベトナム

政策科学部2回生の小集団演習科目である海外・国内特定プロジェクト(GLO演習)では、2015年度にベトナム研究プロジェクトを設定しました。ベトナム研究プロジェクトは、今年度で3年目になりますが、GLO演習として新しいスタイルで出発しました。演習の研究テーマとして、「ベトナム・ホーチミン市における環境汚染の現状と改善」を設定し、1年間に渡り研究するとともに、「グローバル言語科目」(LGA: Languages for Global Actions)として、ベトナム語を学んで参加しました。1986年に行われた「ドイモイ(刷新)政策」により急速に発展を遂げたベトナムの大都市ホーチミン市では、近年、都市化・工業化による環境汚染の問題が深刻化しています。ホーチミン市の「水質汚染」、「廃棄物問題」、「大気汚染」の3つの環境問題に焦点を当て、環境汚染問題の根本的な解決には市民の環境に対する意識の向上が不可欠であると考え、“市民への啓蒙”を主とした環境政策的提言を研究目的としました。7名の受講生が2015年9月7日~13日に渡り、引率教員の仲上健一政策科学部特任教授、田原洋樹立命館アジア太平洋大学准教授とともに、ホーチミン市、カントー市を中心に訪問調査を行いました。以下に調査日程に従って、調査内容と研究成果を紹介します。これまでのベトナム調査では、ハノイ・フエ・ホーチミンと長期間にわたるものでしたが、今回はホーチミンを中心としたメコンデルタ地域調査に焦点を当てました。毎日ハードなスケジュールでしたが、実り多い楽しい調査でした。

  1. 9月7日に、関西空港からホーチミンのタンソンニャアット空港へ、6時間のフライトで無事に着きました。市内中心部のRoyal City Hotelにチェックイン後、アオザイの仕立に出かけました。すっかり、ベトナム気分に浸り、いよいよ調査開始です。ホテルは、ホーチミンの中心街で、ベトナムの中で最も輝いている観光拠点です。
  2. 8日は、メコンデルタの都市ミトーに向けて、バスでホテルを7:00に出発しました。メコン河クルーズでメコンデルタの河川流況・植生・観光・人々の生活について実感できました。ミトーからバスでカントーに移動しましたが、途中、スコールで、カントーに着いた時には道路が冠水していました。9月はベトナムの雨季です。
  3. 9日は、6:30にカントー大学の国際課職員NGUEN THI HUYENさんのご案内で、メコン河のクルーズを行い、日本のODAで建設されたカントー橋を船上から視察し、水上市場、農場など訪問しました。ベトナムは、豊かな農業国家であり、その中心都市がカントーです。今、ベトナムでは農業の重要性が再認識されています。 カントー大学LE VIET DZUNG副総長以下、各学部長のご参加のもとで、学生による研究発表が行われました。立命館大学学生による瑞々しい英語による研究発表と真摯な発表態度に共感を持たれ、本来なら20分程度の会見予定が、2時間弱に渡る熱心な議論の場となり、様々な研究提案をいただきました。副総長は、北海道大学出身で、日本についての知識も豊富で、研究テーマとしてホーチミン市の環境問題だけでなく、メンコデルタ地域及びカントー地域の環境問題(騒音・地下水等)にも関心を持ってほしいと学生を励ましてくださいました。
  4. 10日は、ベトナム南部のビンズオン省において,下水道システム(管渠・中継ポンプ場,下水処理場(17,000立方メートル/日)等)の整備・拡張について、下水処理場整備等のコンサルティングサービスに携わっておられる(株)日水コンの勝木隆昌氏を訪問しました。LE VAN GON副所長による挨拶と、ビデオによる下水道プロジェクトの概要の説明がありました。ホーチミン市の中心を流れるサイゴン川の水質環境保全のために重要なプロジェクトであり、日本のODAの重要性を認識するとともに、運営の会社であるBIWASEについて関心を持つことができました。 勝木氏より下水道工事の現場視察、ご高話を頂き、サイゴン川の環境保全の重要性を認識しました。また、勝木様には、海外で働くことに意味について、学生に情熱をもって語られ、学生も感動を覚えていました。
  5. 11日は、トン・ドゥック・タン大学(ホーチミン市第7区)を訪問しました。大学の代表として、TRAN TRONG GIANG先生の歓迎を受けました。引き続き、国際部職員による大学紹介の後、立命館大学学生による研究発表、学生発表に対して、トン・ドゥック・タン大学の学生との個別ディスカッションが行われ、英語による活発な意見交換とともに交流も行われました。その後は、トン・ドゥック・タン大学の学生による学内施設(図書館)の案内があり、交流が深まりました。午後は、在ホーチミン市日本国総領事館を表敬し、三宅妙子領事を囲んで勉強会を行いました。まず、三宅領事より、ホーチミン領事館の活動内容の紹介があり、その後学生は「自分が見たベトナム」について報告を行い、三宅領事より一人ずつの報告に対して、懇切丁寧なコメントを頂きました。午後3時30分から6時15分の165分にわたる充実した報告会でした。最後に、三宅領事から、外交官として働く意味を話していただき、学生の意識も大いに高まりました。
  6. 12日は、クチ・トンネルを視察しました。たんなる観光ではなく、クチはベトナム戦争の意味を考える意味でも重要な拠点です。ベトナムの環境問題を考える場合、ベトナムの歴史とりわけベトナム戦争の意味について学びました。帰りにホーチミン郊外のイオンを視察しました。日本以上に素晴らしい施設や商品内容で、今日のベトナムへの印象が変わりました。
  7. 13日の最後の日は、ホーチミン市中心部でアオザイ記念写真を撮影し、市内を観光しました。

今回の訪問調査先は受講生たち自身で決めた研究テーマに合わせて決定され、日本における文献調査と調査デザインを踏まえた明確な目的意識をもって現地調査に取り組みました。文献による学習だけでなく、現地を見ることにより、その実態を直接認識するとともに、大学教授、学生、そして領事による最新の動向と考えに触れ、秋からの研究意欲の盛り上がりを感じる調査旅行でした。全員が研究発表ではベトナム語で挨拶することにより、一気に距離が縮まり、研究だけでなく、人間的な触れ合いもできました。さらには、英語によるディスカッションにより、専門研究を深めることができました。語学の重要性を再認識することができました。学生同士の議論の中でメールの交換もあり、後期の研究展開に弾みがつきました。

訪問受け入れにご協力いただいた現地の大学、大使館、企業の皆様、また、準備にあたってご支援いただいた、政策科学部執行部・事務職員並びに担当していただいた旅行社の方々には、この場所を借りて厚く御礼申し上げます。最後に、ベトナム調査研究の訪問するにあたって、プラン作成の段階から、現地とのコーディネート、現地指導をしていただいたAPUの田原洋樹准教授にお礼申し上げます。

メコンクルーズ

カントー大学訪問

ビンズオン省下水処理場視察

トン・ドゥック・タン大学訪問

トン・ドゥック・タン大学における学生との意見交換

クチトンネル

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