福井 毅勇助教 FUKUI Kiyu
- 所属学科
- 物理科学科
- 研究室
- 物性理論研究室
- 学位
- 博士(理学)
経歴概要
2016年3月 早稲田大学先進理工学部応用物理学科 卒業 2018年3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程 修了 2021年3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程 修了
研究について
- 研究分野・テーマ
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強相関系における特異な量子多体状態の理論的解明
- 研究キーワード
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量子多体系、電子相関、量子磁性、非従来型超伝導
- 研究概要
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物性物理学の中でも強相関系と呼ばれる系の理論的研究を行っています。そこでは膨大な数の電子などの量子力学的な構成要素が強く相互作用を及ぼし合うことで、高温超伝導や量子スピン液体などのように、元の構成要素だけからは全く予想のつかない特異な量子多体状態が発現します。そのような系の取り扱いは一筋縄ではいきませんが、だからこそ未知の機能性と新展開へのブレイクスルーが豊富に眠っていると思います。強相関系の種々の物質が示す多彩な性質とそれらの発現機構を量子多体問題の観点から解き明かし、物質・材料を通して世界を変革していくことが目標です。非従来型超伝導体や量子スピン液体で発現する特異な準粒子が次世代の量子コンピュータへの応用につながるように、強相関系で創発する新奇な量子多体状態の解明が、将来的にSDGsやSociety5.0の実現といった世界や日本の抱える社会的課題の解決にもつながると確信しています。
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インタビュー
研究者になったきっかけ
きっかけは曖昧ですが、高校生の時には言語学の研究者になりたいと思い、英語以外のいくつか外国語の独学に手を出していました。結局、数学が面白くて理系に進み、高校3年生の時にマクスウェル方程式を知り、電磁気学がたった4本の方程式に美しくまとまる様に雷に打たれたような衝撃を受けました。それが主なきっかけで物理系に進学し、統計力学を勉強した際に、ミクロな法則からマクロな物質の性質が計算できることに感銘を受けて物性物理を志しました。大学院では、リーディング大学院プログラムの合宿に参加した際に、深夜2時ぐらいに露天風呂で有名な物性実験の先生と遭遇し、進路についての雑談の中で「君たちが日本の物質科学の将来を担わないでどうするんだ」と発破をかけていただいたことが強く印象に残っています。飲みの席の後でお互いほろ酔いでしたが、当時将来に悩んでいた私は酔いが醒めるほどスッキリし、一気に視界が開けました。