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2024.04.24 education

「スポーツ教育学特殊講義」において、オーパルオプテックス株式会社所属江口貴彦様に特別講義をしていただきました。

 4月23日2限に開講された「スポーツ教育学特殊講義」において、招聘講師として、オーパルオプテックス株式会社所属で、びわこ環境体験学習、カヌースクールなどのアウトドアアクティビティを運営・教育支援をされている江口貴彦様を招いて「野外教育実習計画立案における注意点、リスクとハザード、安全確保」と題し、講義をいただきました。

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 立命館大学出身でもある江口様より、環境体験学習および、野外教育実習を実施する際に、実施側が留意しておく必要がある事項について、実際のご経験をもとに講義いただきました。本講義では、実際に琵琶湖をフィールドとして、カヌーで横断する野外教育プログラムの立案・準備・実施を、受講生で協働しながら行うこととなっているため、江口氏からのリスク・ハザードの判別について、人的要因、物的要因さらには、自然環境といった環境要因、特に琵琶湖の風、雨、波、気温、水温などの特徴についても説明され、危機管理マニュアル、緊急連絡先と連絡網の作成などの具体的留意点について、具合的事例を紹介いただきながら講義をいただきました。


 受講生は、将来スポーツプログラムの指導者として知っておくべき、リスク、ハザードの知識を理解するとともに、野外教育活動の指導における工夫についても併せて江口様に質問をするなど学びを深めていました。


 今学期本講義において行う野外教育学習(カヌー琵琶湖横断実習)においても、オーパルオプティクス株式会者様にサポートをいただき、実施されることになっています。

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2024.03.07 education

GATプログラムキャリア形成セミナーを開催!ウィスコンシン大学ラクロス校 からギブリン奈央子先生をお招きしました。

 2024年3月5日(火)開催されたGlobal Athletic Training (GAT) Programキャリア形成セミナーでは、ウィスコンシン大学ラクロス校 (University of Wisconsin-La Crosse、以下UWL) エクササイズ&スポーツサイエンス学部・大学院にて准教授としてアスレティックトレーニング教育に携わっておられるギブリン 奈央子(Dr. Naoko Giblin)先生をお招きしました。
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 ギブリン先生には, ①アスレティックトレーナーを目指したきっかけ、②UWL にて展開されているアスレティックトレーニング教育内容やアドミッションプロセスについて, ③CAATE認可のアスレティックトレーニングプログラムに進学するにあたって準備しておくことや心構え、④研究者としての歩み、および⑤ギブリン先生の研究テーマをについて英語にてご講演いただきました. ギブリン先生は、UWLで実際に行なっている講義のようにセミナーを展開していただきました。GAT学生にとって、米国の大学院に進学後、どんなふうに学ぶのかイメージを膨らませる貴重な機会となりました。ギブリン先生のお話は、臨床経験に関する素朴な疑問からどのように研究テーマを構築するか、エビデンスを臨床経験にどのように活用するか、スポーツ外傷・障害へのアプローチの仕方などについて多岐にわたり、非常に理解しやすくかつユーモアに富んだ内容でした。GAT学生は、ギブリン先生のお話からは多くの示唆を得ることができました。
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 ギブリン先生は、最後に「CAATE認可のアスレティックトレーニングプログラムに進学した後は、厳しく大変な世界が待っている。誰もが簡単に乗り越えられる世界ではないからこそ、得るものがたくさんある。志高く、くらいついていきましょう!」と学生にメッセージ送っておられました。ギブリン先生、貴重なご講演ありがとうございました!
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2024.02.01 education

本学総合科学技術研究機構客員協力研究員・塚本敏人先生が本学部教授・橋本健志先生らと取り組まれた研究成果が「Scientific Reports」に原著論文として掲載されました。

 本学総合科学技術研究機構スポーツ健康科学研究センター客員協力研究員・塚本敏人先生(早稲田大学スポーツ科学学術院講師)が、本学スポーツ健康科学部教授・橋本健志先生らと共に取り組まれた研究成果が「Scientific Reports」に原著論文として掲載されました。

https://www.nature.com/articles/s41598-023-48670-9

 運動誘発性疲労の原因など、「乳酸」は悪役として誤認されてきました。近年では一転、運動時の重要なエネルギー基質であり、運動の健康増進効果をもたらすエクサカイン(運動をした時に、様々な臓器が産生する生理活性物質の総称)でもあるといった乳酸の好適な作用(用量依存)が明らかにされています。本研究では、静的休息を挟んで運動を反復したとき、運動によって増加する血中乳酸濃度がどのような影響を受けるのか検証しました。
 一般的な運動処方として、1日の中で数回に分けて運動を行うことが推奨されています。しかしながら本研究では、静的休息を挟んで同じ中強度の有酸素性運動を反復した場合、1回目の運動と比較して、2回目の運動によって増加する血中乳酸濃度が低くなることを明らかにしました(研究1)。これは、運動時に供給される乳酸が好適に作用する臓器(脳や心臓など)において、その運動効果を減弱化させる生理現象であるかもしれません。
 健康増進のための運動処方として、体重減少などを目的とする有酸素性運動と筋量増加などを目的とするレジスタンス運動の双方の運動様式に取り組むコンカレント運動プログラムがあります。我々は、研究1の知見を受けて、有酸素性運動を実施した後にレジスタンス運動を行うと、レジスタンス運動によって増加する血中乳酸濃度も低くなるのではないかと仮説を立て、その検証を行いました(研究2および3)。もしこの仮説通りであれば、コンカレント運動の実施順序(有酸素性運動→レジスタンス運動、あるいは、レジスタンス運動→有酸素性運動)が、血中乳酸動態に影響すると考えられました。しかしながら、レジスタンス運動前に有酸素性運動を実施してもしなくても、レジスタンス運動によって増加する血中乳酸濃度は同じ水準でした。なお、有酸素性運動前にレジスタンス運動を実施してもしなくても、有酸素性運動によって増加する血中乳酸濃度も同じ水準でした。つまり、コンカレント運動のように、異なる様式の運動に取り組む場合、運動を繰り返しても乳酸産性能には影響しない可能性を明らかにしました。
本研究は、一般的な運動処方の良い効力を少しでも引き出す理論構築のための基礎研究として、重要な意味を持つと考えられます。

The lactate response to a second bout of exercise is not reduced in a concurrent lower-limb exercise program
Tsukamoto H, Suga T, Dora K, Sugimoto T, Tomoo K, Isaka T, Hashimoto T.
Scientific Reports. 13, 21337, 2023.
doi: 10.1038/s41598-023-48670-9

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2024.02.01 education

本学総合科学技術研究機構客員協力研究員・塚本敏人先生が、コペンハーゲン大学教授・Niels Secher先生や本学スポーツ健康科学部教授・橋本健志先生らと共同で取り組まれた国際共同研究成果が「Medicine & Science in Sports & Exercise」に原著論文として掲載されました。

 本学総合科学技術研究機構スポーツ健康科学研究センター客員協力研究員・塚本敏人先生(早稲田大学スポーツ科学学術院講師)が、コペンハーゲン大学(デンマーク)教授・ニールスセッカー先生や本学スポーツ健康科学部教授・橋本健志先生らと共に取り組まれた国際共同研究成果が「Medicine & Science in Sports & Exercise」に原著論文として掲載されました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38115226/

 運動をすると、様々な臓器から生理活性物質が生成されます(エクサカイン)。各臓器(骨格筋や心臓、脳など)で生成されたエクサカインは血液に放出され、全身を循環することで別の臓器などに供給され、運動による様々な生理変化をもたらします(臓器間のクロストーク)。エクサカインの反応性は、運動の取り組み方(強度や時間、頻度、様式など)によって異なることがあり、それによって生体にもたらす運動の効果も変わってきます。愛情ホルモンとして知られているオキシトシンは、抗うつなどの生理心理的作用だけに留まらず、血管機能や脂質代謝などの改善作用もあることが知られています。本研究は、全身を循環するオキシトシン濃度が高強度インターバル運動によって増加することを明らかにしました。
 エクサカインは、静的休息を挟んで運動を反復すると、1回目の運動と2回目の運動でその反応性が異なることがしばしば観察されます。そこで、静的休息を1時間ほど挟んで、強度も時間も同じ高強度インターバル運動を反復し、その運動前後の血中オキシトシン濃度を検証比較しました。その結果、血中オキシトシン濃度は、1回目の高強度インターバル運動と2回目の高強度インターバル運動で同じくらい増加しました。つまり、全身を循環するオキシトシン濃度は、数時間内に実施する運動の回数に影響を受けず、その運動の都度増加することが明らかとなりました。
 また、オキシトシンは主に脳で作られることで知られていますが、本研究では、高強度インターバル運動によって増加した血中オキシトシン濃度が、脳のオキシトシン放出と関連しなかったことも報告しました。そのため、高強度インターバル運動によってオキシトシンが増加するメカニズムは明らかでなく、運動時には他の臓器(骨格筋や心臓、精巣など)が主にオキシトシンを分泌している可能性があります。

Circulating plasma oxytocin level is elevated by high-intensity interval exercise in men
Tsukamoto H, Olesen ND, Petersen LG, Suga T, Sørensen H, Nielsen HB, Ogoh S, Secher NH, Hashimoto T.
Medicine & Science in Sports & Exercise. オンライン先行公開中.
doi: 10.1249/MSS.0000000000003360

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2024.02.13 education

「スポーツ健康科学と未来」の授業にて、株式会社日立製作所Lumada Innovation Hub TokyoのChief DX Producerである浅見真人氏をお招きしました。

 2024年1月9日(火)、「スポーツ健康科学と未来」の授業にて、株式会社日立製作所Lumada Innovation Hub TokyoのChief DX Producerである浅見真人氏をお招きし、「日立のDXの取り組み」について特別講義をしていただきました。
 まず、日立製作所についてお話しいただきました。日立製作所は、地球環境を守りながら人々が生活できるために、優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献することを企業理念に掲げています。現在、「製品の提供」から「サービスの提供」へ、そして「競争」から「協創」へ方針を変更し、社会イノベーションを創出しています。
 次に、日立製作所のDX戦略についてお話しいただきました。DXにおいてまず重要なことは、社内の人々が「やばい」と思うことである、とおっしゃっていました。例えば、工場などの現場で働いている人はいつもどおりの作業をこなしているため、ミスをすることが極めて少ない状況にあります。しかし、その中で気づかずに損失を生んでしまったり、さらに効率化できる作業があったりする場合があります。このような状況を打開するためには、トップダウン活動・ボトムアップ活動が極めて重要になってきます。このような活動をすることで、関わる従業員全員が「やばい」を認識することができ、トランスフォーメーションすることが可能となります。また、日立製作所では、デジタルを活用して人間の行動を科学することを行っています。人間の行動を科学するためには、身体・動作、位置・移動、コミュニケーション状態など様々な情報が必要ですが、多くの情報を取ったとしてもそれを活用できるとは限りません。そこで、仮説を立てることが重要になってきます。スポーツ健康科学部に所属する1回生も今後、卒業論文を執筆するにあたって仮説を立てて研究を進めることは極めて重要になってきます。そのため、この考え方は大変勉強になりました。また、このようなDXには人間を中心としたデザイン思考が重要であるともおっしゃっていました。
 最後に、well-beingと人間関係についてお話しいただきました。Well-beingとは心身ともに満たされた状態を表す概念です。このような状態を保つためには「三角形の関係性」を構築する必要があるとおっしゃっていました。縦のつながり、横のつながりだけではなく、斜めのつながりを構築することが重要です。斜めのつながりとは、後輩や先輩で、仕事以外のたわいもない話ができる人と関係を構築することです。これは、部活やサークルの活動でも応用することができ、大学生のwell-beingにも応用できるお話であると感じました。ご講演ありがとうございました。
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2024.01.22 education

株式会社Learning in Contextより、名川祐人先生・空田真之先生がゲストスピーカーとして登壇してくださいました。

 株式会社Learning in Contextより、名川祐人先生・空田真之先生がゲストスピーカーとして登壇してくださいました。
 授業では、学生たちは、4つの問いを枠組みに自分のスピーチを組み立てました。①どんな社会にしたい? ②自分はどういう人間でありたいか? ③自分はなぜそういう社会と自分にしたいと思うのか?④そのために何を学んでいくか? どういう活動に取り組むか? という4つの問いです。
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 受講生一人一人が自分なりの考えをスピーチしてくれました。詳細をご紹介できないことが心苦しいですが、次のような素敵なスピーチをしてくれました。

 自分を受け入れられて自分を表現しやすい社会にしたいというビジョンを語ってくれた学生がいました。
これまで発言できない、したいことが言えない、目標が言えない自分だったけれど、スピーチの最後にATになりたい、インカレに出場したいという目標を発表してくれました学生もいました。
スポーツ競技者としてレベルアップしていきたい、そのときに感動や影響を人に与えられるよう人間としても成長していきたいとのスピーチもありました。
一歩踏み出すことの大切さ、運動やスポーツの笑顔あふれる楽しさ、一人ひとりを見て指導できる人間になるといった力のこもったスピーチをしてくれました。
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 ゲストスピーカーの名川先生と空田先生には、前もってご自身の経験を語ってもらい、かつ4つの問いを枠組みとして提示してもらいました。お二人が自己開示をしてくれたおかげもあり、この日まで、受講生たちは自分自身と向き合う時間を積み重ねることができました。当日は、一人一人にあたたかい激励とさらなる挑戦課題を指摘してもらいました。お二人自身が、受講生から学ぶ姿勢をもっており、その姿勢が学生たちに響くといういい循環が生まれていると感じています。授業の一コマを人生にして、学生たちの挑戦はこれからも続きます。今後の挑戦と成長がとても楽しみです。

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2024.01.12 education

2024年1月9日のスポーツマネジメント特殊講義の授業において、HOS株式会社代表取締役の山澤氏に特別講義をしていただきました。

 2024年1月9日のスポーツマネジメント特殊講義の授業において、HOS株式会社代表取締役の山澤氏に「英知を事業化する民間フィットネスクラブのスポーツ振興とタウンマネジメント」という演題にて、特別講義をしていただきました。HOS株式会社は、びわこ・くさつキャンパスのフロントゾーンにある「スポーツ健康コモンズ」の管理・運営を担っており、また山澤氏は、本学の校友でもあることから豊富な資料を提示いただきながら、学生に対して熱心な講義をして下さいました。
 講義の主眼は、「指定管理」に置かれ、山澤氏は、「指定管理者制度」の初歩的な知識から丁寧に説明してくださり、民間フィットネスクラブのような民間事業者が「指定管理ビジネス」になぜ参入するのかということについて、「許可権限制」と「利用料金制」の制度とともに、収入源や民間事業者のビジネスチャンスについて解説されました。とりわけ、HOS株式会社が手掛ける「花園中央公園エリア官民連携連携魅力創出事業」における「Park-PFI」を事例に取り上げ、「公共施設」の賑わい創造やまちの魅力創出に資する取り組みとして、花園ラグビー場を用いたフラダンス教室、スタジアム内でテントを張ったキャンプの実施、eスポーツ大会の誘致、フリーマ-ケットや移動動物園の開催、72年ぶりとなるアメリカンフットボール競技の試合開催、またスタジアム内でのお化け屋敷、さらには、花火と音楽の祭典の開催など、公共施設に対する固定観念を払拭するような様々な取り組みや事業展開に関する事例を紹介されました。加えて、Park-PFI事業を進めるにあたって、行政機関における多様な部局との折衝や複雑な調整が必要であることや、公園内にスポーツ施設とスーパーマーケットの複合施設を設置することにより、公園利用者に豊富な飲食を提供するだけでなく、近隣住民にとってまちの魅力創出につながるようなユニークな仕掛けや事業展開をしている様子について、公共施設の管理運営から公園マネジメントへと発想の転換が求められる状況で、ビジネスの可能性と魅力、またそのような事業を手掛ける民間企業で働くことの「面白さ」などについて、説明されました。
 学生は熱心に講義に耳を傾け、講義の後、限られた時間ではあったものの、活発な質疑応答が交わされました。
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2024.01.12 education

スポーツ生化学のゲストスピーカーとして、産業技術開発研究所の木戸先生(立命館大学スポーツ健康科学部の1期生)にお越し頂きました。

 スポーツ生化学のゲストスピーカーとして、産業技術開発研究所の木戸先生(立命館大学スポーツ健康科学部の1期生)にお越し頂き、運動と糖代謝について講義して頂きました。
 糖質の種類や体内への取り込みについての基本的な講義の後、糖尿病がどのような機序で起きるのか、また運動を実施することでどのようにして糖代謝が改善するのかを分かりやすく講義頂きました。
 特にインスリン感受性の変化と骨格筋内のたんぱく質であるAMPKの活性がどのように関与しているかを丁寧に講義頂きました。運動がどのように生活習慣病予防に繋がるかについて、生化学的な観点から受講生も理解を深めたと思います。
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2023.12.26 education

呼吸循環生理学において著名なJames Fisher博士を招いての研究会を開催しました。

 今月、呼吸循環生理学において国際的に著名なニュージーランドのオークランド大学准教授のJames Fisher博士を招聘し、研究会を開催しました。

https://www.researchgate.net/profile/James-Fisher-17

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 Fisher博士からの鋭い質問に対する応答といったトレーニングや、とても建設的なコメントをもらうなど、貴重な機会となりました。また、学部低回生からも活発な質問が飛び交い、大変有意義な研究会となりました。
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 これからもこのような国際交流の機会をどんどん提供できればと思います。
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2023.12.25 education

立命館大学スポーツ健康科学研究科修了生の道羅絢斗さん(現在東洋大学理工学研究科博士後期課程2回生)が、立命館大学スポーツ健康科学部教授・橋本健志先生、味の素株式会社らと共に取り組まれた共同研究が 「Scientific Reports」 に原著論文として掲載されました。

 立命館大学スポーツ健康科学研究科修了生の道羅絢斗さん(現在東洋大学理工学研究科博士後期課程2回生)が、立命館大学スポーツ健康科学部教授・橋本健志先生、味の素株式会社らと共に取り組まれた共同研究 「Essential amino acid supplements ingestion has a positive effect on executive function after moderate-intensity aerobic exercise」 が 「Scientific Reports」 に原著論文として掲載されました。

 有酸素性運動は認知機能を改善することが明らかにされています。また、骨格筋に対して好適な効果を有する分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取は、認知機能を亢進します。したがって、有酸素性運動前のBCAA摂取は、骨格筋のみならず認知機能に対する運動効果も高める可能性があります。そこで、我々は、主にBCAAで構成された必須アミノ酸(EAA)サプリメントの摂取が、有酸素運動後の認知機能の亢進効果を高めるか否かについて検討しました。
 その結果、プラセボを摂取した条件に比べて、EAAサプリメントを摂取した場合、有酸素性運動後の認知機能の亢進がより高まることが明らかになりました。また、運動後の認知機能の亢進は、脳内で神経伝達物質を合成する基質となるアミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、フェニルアラニンなど)の増加と有意な相関関係が認められました。骨格筋量や筋力の低下および認知機能の低下は相互に作用することで、生活の質の低下を加速させます。従って、有酸素性運動とEAAサプリメント摂取の併用は、骨格筋および認知機能の双方を維持・向上することで、健康増進を効果的に推し進める運動・栄養処方となる可能性があります。

Essential amino acid supplements ingestion has a positive effect on executive function after moderate-intensity aerobic exercise
Kento Dora, Hayato Tsukamoto, Tadashi Suga, Keigo Tomoo, Asuka Suzuki, Yusuke Adachi, Masamichi Takeshita, Yumiko Kato, Mika Kawasaki, Wataru Sato, Akira Imaizumi, Sachise Karakawa, Hirohisa Uchida & Takeshi Hashimoto
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2023.12.18 education

株式会社アリストル代表取締役CEOの宮崎学氏をお招きし、「総合型スポーツクラブのDX戦略」について特別講義をしていただきました。

 2023年12月5日(火)、「スポーツ健康科学と未来」の授業にて、株式会社アリストル 代表取締役CEOの宮崎学氏をお招きし、「総合型スポーツクラブのDX戦略」について特別講義をしていただきました。
まず、総合型スポーツクラブの業態と市場トレンドについてお話しいただきました。総合型スポーツクラブは、トレーニングジムやプールなどの身体を鍛える設備だけでなく、サウナや温泉、マッサージルームなどが1つの施設内に全て整備されていることが特徴です。そのため、主要都市の駅付近を中心に所在することが多くなっています。現在、新型コロナウイルス感染症の拡大を経験し、スポーツクラブ業界では多様化が進み様々な形態が登場しています。また、癒やしニーズの増加に伴い、リトリート施設やサウナ施設が全国で急増しています。このような背景から、スポーツクラブの会費は高額化と低価格化の二極化が起こっているとのことです。
 次に、総合型スポーツクラブの経営戦略についてお話しいただきました。地域における総合型スポーツクラブの経営戦略として、物量や規模・価格で効率的に展開し市場全体のシェアを取る、いわゆる強者の戦略が効果的です。また、展開する地域によって競合環境が異なるため、店舗ごとに最適化することも重要とのことです。加えて、総合型スポーツクラブの強みは「何でも取り揃えている」ことです。そのため、顧客の好みに寄り添って価値を提供することが可能であり、今後は「パーソナライズされた体験価値を提供すること」が求められます。
 最後に、総合型スポーツクラブのDX戦略についてお話しいただきました。株式会社アリストルは、パーソナライズされた体験価値を提供するためには、顧客理解を促進するためのデータウェアハウスによる統合と、最適なソリューションを提供するためのクラスタリング・レコメンド技術が重要であると考え、これに関連したサービスを提供しているとのことです。これにより、顧客に対してはパーソナライズ体験を通した個人最適化経営の実現、従業員に対しては個人最適化経営を通した人時生産性の改善と採用力の向上、そして企業に対しては個人最適化経営を通したSDGsリーダーとしての地域貢献を行っているということです。
 スポーツ健康科学部の1回生は、スポーツを扱う企業に就職したいと考えている人が多いですが、本講義は総合型スポーツクラブの現状と未来について詳しく知ることのできる貴重な機会となりました。ご講演ありがとうございました。
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2023.12.18 education

2023/12/13 本学部3回生 木下百花さんと助教 前大純朗先生の研究が「Frontiers in Physiology」に掲載されました。

 本学部3回生 木下百花さんと助教 前大純朗先生が共同筆頭著者として、本学部教授 伊坂忠夫先生、本研究科博士課程後期課程1回生 永原悠利さん、博士課程前期課程2回生 小林友都さん、博士課程前期課程 修了生 小野宗隆さん、佐藤真人さん、本学総合科学技術研究機構助教 杉山敬先生、鹿屋体育大学学長 金久博昭先生と取り組まれた研究「Triceps surae muscle hypertrophy is greater after standing versus seated calf-raise training」が、「Frontiers in Physiology」に掲載されました。
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 下腿後部に位置する下腿三頭筋のうち、腓腹筋内側・外側頭は膝関節と足関節をまたぐ二関節筋であり、膝関節伸展位でより伸ばされます。本研究では、下腿三頭筋の筋長と膝関節の角度との関係に着目し、腓腹筋がより伸ばされる立位姿勢での足関節底屈トレーニング(通称:カーフレイズトレーニング)は、座位姿勢で行う場合と比較して、下腿三頭筋全体の筋肥大の程度がおよそ2.7倍大きいことを明らかにしました。抗重力筋である下腿三頭筋は、他の筋と比べ、トレーニングをしても肥大しづらいことや、不活動による筋萎縮の程度が大きいことが報告されています。これらを踏まえたうえで、本研究の結果は、下腿三頭筋を効果的に鍛える方法の提案として、スポーツ現場でのトレーニングやリハビリテーション、さらには日常生活での隙間時間に行うトレーニング方法など、多様な場面で活用されるものになると考えられます。

Journal website:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2023.1272106/full

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2023.12.15 education

本学客員教授の速水徹氏に「『見えない身体』が広げる視野:ブラインドサッカーをめぐる対話から」という演題で、特別講演をしていただきました。

 去る2023年12月7日に、元朝日新聞論説委員で、本学客員教授の速水徹氏に「『見えない身体』が広げる視野:ブラインドサッカーをめぐる対話から」という演題で、特別講演をしていただきました。
 速水氏は、「ブラインドサッカーの選手になる上で、大前提とされている条件とは?」といった15の問いを学生に投げかけ、この競技にかかわる様々な人々からのインタビュー調査に基づきながら、ブラインドサッカーという競技が有する魅力について話をされました。またそれ以上に、この競技の本質を捉える「見えない身体」というキーワードを手がかりに、「競技スポーツ」「障がいのある人」「自立と依存」「自由と不自由」、また「共生社会」や「インクルージョン」といった言葉や事象に対する視角について、学生の固定観念や既成概念を覆すような講義をされました。
 特に印象に残ったのは、ブラインドサッカーの選手が視覚に制約を受けながら、ピッチを自由自在に走り回ることができるのは、監督、ゴールキーパー、コーラーと呼ばれる人たちの存在によるものであり、彼ら彼女らの存在によって、「見えないところが見えてくる」と選手に言わしめるようなチームの一体感や競技の奥深さでした。また「障がい者=依存=不自由」という考え方について問いただされ、私たちが認識している「依存」という言葉には、ともすれば、ネガティブな印象を抱きがちですが、熊谷(2016)の文献を引用しながら、「『自立』と呼んでいる状態とは、実は依存していない状態(independence)などではなく、多くの(中略)依存先に依存できており(multi-dependence)、結果として、特定の依存先から支配される可能性が低く維持されている状態」と考えるのならば、「障がい者=依存=不自由」ではなく、「障がい者=依存=自立=自由」という発想を持つことによって、健常者と障がい者を対立的に捉えるのではなく、両者の対等な関係をベースにした社会のありようを考えるべきだと説明されました。
 学生は、講義資料にメモを取りながら、熱心に講義に耳を傾けており、有意義な機会を得ることができました。
1215_1長積先生ゲストスピーカー①

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2023.12.11 education

エグゼクティブレクチャーⅠでミズノ株式会社の山田先生・柴田先生に3週連続の講義をして頂きました。

 エグゼクティブレクチャーⅠでミズノ株式会社の山田先生・柴田先生に3週連続の講義をして頂きました。

 新規の商品・事業開発を想定し、グループワークを通してアイディアを練り、プレゼンテーションを行うという流れで3週間の授業を行って頂きました。山田先生・柴田先生が取り組まれている最先端のトピックについてもお話しをして頂きました。

 スポーツ建康科学研究科・スポーツ建康科学部の学生さんの多くが、将来スポーツメーカーの研究開発職に就きたいという希望を持ったことがあるのではないでしょうか。その分野の最前線にいらっしゃるお二人から多くを学ばせて頂く事ができたと思います。

 山田先生、柴田先生、誠に有難うございました。

1211_1エグゼクティブレクチャー



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2023.12.08 education

日本スポーツ産業学会主催のスポーツ政策学生会議で本学部学生が特別賞を受賞しました。

 2023102829日に日本スポーツ産業学会主催のスポーツ政策学生会議(Sport Policy for Japan :SPJ)が明治大学(和泉・駿河台キャンパス)で開催され、スポーツ健康科学部3回生の芝山 幹治さん、西澤 尚弥さん、橋本 海斗さんのグループが特別賞を受賞しました。


~受賞者のコメント~

 この大会では、学生同士でスポーツ政策やスポーツビジネスについて議論しました。審査は、それらに関わる研究者・実務家により、発表資料(提言要旨論文・発表スライド・発表内容)に基づき行われました。

 2023年度春学期に受講した「スポーツ政策論」をきっかけに、この大会に参加しよう決意しました。活動期間は約3ヶ月で、夏休みから10月末にかけて資料作成や発表練習に取り組み、我々3回生3人が参加し、研究発表を行いました。

 発表は、「学生アスリートの競技パフォーマンス向上における環境格差を、情報の力で解決する」という主案に基づき行いました。

 

「競技パフォーマンスの向上に、情報を活用できないか?」

「学生アスリートにもっと主体的になってほしい!」


 そういった思いを発表に込め、社会に対する提言として発表しました。

 他大学の発表や交流会を通じた関わりから、非常に多くの学びを得ることができ、刺激に溢れた2日間でした。

 立命館大学としてこの会議に参加するのは、今回が初の試みでした。発表が評価され、「特別賞」もいただけたことで、大学としても新たな道を切り開くきっかけになったと思います。

 興味を持っていただけた方の来年の参加を期待しています!!

1208_1学生インタビュー①

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2023.12.07 education

2023年11月23日(木)のスポーツ栄養教育学の授業にて、日清食品株式会社 ビヨンドフード事業部事業部長の矢島純さんをお招きしました。

 2023年11月23日(木)、スポーツ栄養教育学の授業にて日清食品株式会社 ビヨンドフード事業部事業部長の矢島純さんをお招きし、日清食品株式会社 ビヨンドフード事業部のお仕事並びに「完全メシ」開発の経緯や目指す食の未来について特別講義をしていただきました。
 日清食品は世界NO,1のカップ麺販売会社であることは誰もが知ることながら、乳製品やお菓子など多くの食品を扱う企業です。「完全メシ」に始まり、長い歴史で培った技術や経験を1つの商品から他の商品に活かすなど、商品ができ社会へ出るまでの過程をお話いただきました。
 商品に詰まる想いを感じ、日清食品が目指す食の未来に可能性を感じました。また、身近な商品から健康や環境のためにどのように貢献できるかを考えられ、様々な取り組みをされていることを新たに知る機会となりました。                                                       
 「EARTH FOOD CREATOR」を理念に掲げ、新たな食文化を常に作り出し、食を通して世界中に夢を与える企業でありたいという熱い想いがうかがえる授業となりました。
時間一杯ご講演をしていただき、学生からの質問が相次いでいました。様々なご経験から貴重なお話をお聞きすることができる有意義な時間となりました。ご講演ありがとうございました。
1207海老先生ゲストスピーカー①

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2023.12.07 education

2023年12月4日(月)に開催されたGlobal Athletic Training (GAT) Programキャリア形成セミナーにて、アメイジア株式会社の岩田康裕さんをお招きしました。

 2023年12月4日(月)に開催されたGlobal Athletic Training (GAT) Programキャリア形成セミナーでは、アメイジア株式会社にて通訳や様々なイベントのリエゾンスタッフとしてご活躍中の岩田康裕さんをお招きしました。
 本キャリア形成セミナーは前半・後半の2部制で実施しました。前半では、岩田さんが大学在学中にご経験された異文化交流や留学に関するお話、日本国内における英語力向上の方法、および現在に至るまでのご経歴を具体例や写真を交えてご紹介いただきました。岩田さんは、通訳としてだけではなく、国際的なスポーツイベントやライブショーなどの大規模イベントで、様々なマネージャーやスタッフ同士の円滑なコミュニケーションをサポートするコーディネーターやリエゾンスタッフとしてもご尽力されています。
1207GATキャリア形成セミナー③
 後半では、学生から様々な質問が寄せられ、英語でのコミュニケーション方法や、英語に訳しにくい日本語の訳し方、キャリアに関する悩みなどに対して、岩田さんはお仕事でのご経験や実践例を交え、一つ一つ丁寧に回答してくださいました。また、アスレティックトレーナーとして働く上でも共通する、様々な人と人を繋ぐ橋渡しとしての役割のあり方や、何事にも準備することの大切さ、多種多様な職種や人種の皆さんとコミュニケーションを円滑に取る方法、状況に応じた適切な判断の仕方などのアドバイスもとても参考になりました。
 岩田さんのお話は、文化や言語の違いを超え、英語を活用して会社やチーム間の相互理解を深め、Win-Winの関係を築く方法についての示唆に富んだものでした。GAT学生にとって新しい視野を広げる素晴らしい機会となりました。岩田さん、貴重なご講演ありがとうございました!
1207GATキャリア形成セミナー②

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2023.11.24 education

エグゼクティブレクチャーIでHPSC松林先生に2週連続の講義をしていただきました。

 今年度から博士課程前期課程・後期課程ともに新カリキュラムがスタートしております。この秋学期、博士課程前期課程院生対象のエグゼクティブレクチャーIを、主に身体運動科学領域の1回生対象に実施しています。この科目は、スポーツ健康科学に関わる地域・企業・行政等の第一線で活躍している業界のスペシャリストによる講義を聴き、さらにディスカッションを通して、社会で活躍するための知識、経験、思考を学びます。特徴として、学外から講師を招き、講義内容を踏まえながら、受講生中心の討論形式で行うものとなります。
 今月に入って2週連続で、ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)・国立スポーツ科学センター(JISS)の松林武生先生に講義をしていただきました。松林先生は、主に陸上競技の支援(日本が誇る、400 mリレーでのバトンパスをはじめ、トップアスリートの支援を実践されています)やフィットネスチェックの運用などの業務に携わっておられます。
 1週目は、HPSCの概要紹介、JISSの活動内容紹介がなされました。どのような支援と研究を実践しているのか、選手強化の流れの中で効果的な支援を達成するためにはどのようにすればいいか、心掛けを含めてお話いただきました。また、レース分析やフィットネスチェックの実際について、具体的事例を交えてお話いただきました。
1124エグゼクティブレクチャー①
 最前線で現場支援と研究を往還して実施されている先生のお話に、受講生も惹き込まれていました。

 2週目は、1週目に出された課題に対するグループ発表です。課題はオリンピック・パラリンピックに関する競技やフィットネスチェックなど4つあり、いずれも複数の選手のデータを想定した資料を分析して、いかに選手にフィードバックするか、グループで検討し、発表するものになっています。グループからの発表に対して、他の受講生は選手になったつもりで質問を投げかけます。
1124エグゼクティブレクチャー②
1124エグゼクティブレクチャー③
 各グループのいずれも、様々に議論して、多面的な分析を実施していました。もっとも、初めての経験であり、分析には苦労したようですが、講義後の感想では、選手目線でどのように現場に還元するか、新たな視点に気付くと共に、そのような仕事のやりがいと責任感について、多くの学びを得たことが受講生から伺えました。
 また、本講義は、スポーツ庁「先端的スポーツ医科学研究推進事業」 https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=3044外部リンクの若手人材育成の一環として実施いたしました。当該事業で掲げている研究成果の競技現場への実装と次世代の中核を担う若手研究者の育成に対して、今回の松林先生の講義は本当に実りのあるものであったと思います。
 松林先生、お忙しい中、素晴らしいご講義をいただき、心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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2023.11.20 education

2023年11月17日の健康施策論の授業にて、滋賀県保健医療福祉部医療政策課長の切手俊弘さんをお招きしました。

 本講義では、県単位の健康施策を具体的にお話ししてもらうことを目的に、滋賀県保健医療福祉部医療政策課長の切手俊弘さんにお話をしていただきました。
 まず、切手氏が現職についた直後に発生した新型コロナウイルス禍について、お話をされた。2020年4月ことからの最初の1か月はほとんど自宅に戻れないくらい忙しかったこと、滋賀県独自の“5分の1ルール”を策定し、感染の予防を行ったこと、医療関係者、クラスター発生による人権侵害が発生したことの経験を受けて、“正しく理解し、正しくおそれる”重要性を“ものをこわがらなさ過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなか難しい”という寺田虎彦の言葉を引用して、今後、そのような事例が発生しないようにするための方策が必要であると話された。
 次に滋賀県の平均寿命や健康寿命のデータを示され、今後の滋賀県の運動・食事・禁煙・歯周病という観点から健康施策についてお話しされた。高齢者のウエルビーイング向上に関して既存の介護保険サービスでは高齢者を支えられない状況にありつつなかで、「地域の力」を活用しながら高齢者を支えていく地域包括ケアシステムについてお話しをされた。高齢期におけるウェルビーイングに大きな影響を与えるサルコペニア、フレイル、オーラスフレイル、ロコモティブシンドロームの予防策についてお話があった。
1120_1健康施策論①

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