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「SSPピア・サポーターによる主体的な学び合いの仕組みづくりとその展望:「私たち」の成長と気づきのきっかけ作り」(SSPピア・サポーター発表)

 ピア・サポーター有志による発表、「SSPピア・サポーターによる主体的な学び合いの仕組みづくりとその展望:『私たち』の成長と気づきのきっかけ作り」の発表を公開します。

 この発表は、202031()に大学コンソーシアム京都「第25FDフォーラム」にてポスター形式で発表する予定でしたが、コロナ禍による影響で大会が中止となり、発表する機会を失っていたものでした。今回、103()にピア・サポーター研修が開催され、その中で改めて発表することができました。

 しかし、対外的に発表・公開する機会がないため、このページで本発表の資料と当日説明の全編を公開いたします。なお、研修はオンラインで行われたため、本発表資料はポスターをスライドに編集し直し、内容を研修に合わせて少し練り直したものになりますことをご了承ください。

 

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それでは、「SSPピア・サポーターによる主体的な学び合いの仕組みづくりとその展望」というタイトルで発表します。衣笠キャンパスから、中村・三谷・辻、BKCから坂之下が代表として発表します。
 最初に発表する辻俊成です。お願いします。

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本日の流れはこのようになっています。「SSPの概要」については、コーディネーターから説明があったので、ここでは、学生としての視点から、今考えていることをお伝えします。次に、それを実践する場としてピア・サポーターが携わっていることについて、「SSPピア・サポーターの役割」のパートでお話しします。そして、二人の代表者から、活動を通して学んだことを発表してもらいます。

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先ほどコーディネーターさんがおっしゃっていたのはこの黄色いパンフレットのことですね。こちらの説明は割愛します。

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学生の視点から考えるSSPの位置づけとはどのようなものでしょうか。こちらの図をご覧ください。立命館大学には多くのピア・サポート組織があります。例えば、オリターやエンター。この団体は主に各学部の初年次教育に携わります。ESTAについては各授業に付き、教員や学生のサポートを行います。その他、留学生、障害学生支援・図書館など、それぞれの分野に特化した形のサポートを行っている団体がいくつもあります。それに対してSSPは守備範囲が広いと言えるでしょう。何かに特化したサポートを行うと決まっているわけではありません。幅広い学生に幅広く対応することが求められます。

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ではそんな中で、我々はどのようなアクションを起こせばいいか。学生にできることにも限界があると思います。そこで、今日のキーワードである「成長」と「その気づき」を意識することでヒントが得られるでしょう。そうして、サポーター自身が「成長し」そこでの気づきを他者にシェアすることがSSPピア・サポーターなのではないかと感じています。


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SSPピア・サポーターの役割について紹介します。役割は大きく3つあります。経験・学びなどを基にした交流を行う、学部別相談アワー。コーディネーターによるセミナーの支援を行う、ワーク等のサポート。ピア・サポーターが独自に企画を行う、セミナーの開催の3つがあります。


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経験・学びなどを基にした交流を行う、学部別相談アワーでは、「論述が書けないんだけどどうやって書けばいいですか?」、「どこからどうやって勉強を始めたらいいのかわからない」、「試験前の勉強の仕方どうやっていますか?」といった相談を受けました。


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コーディネーターによるセミナーの支援を行う、ワーク等のサポートでは、「経験者のアドバイスがとてもよかった」、「同回生とも話せてよかった」、「自分一人ではやらなかったことも相談しながらできたのでとても良かった」という感想をいただいています。

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ピア・サポーターが独自に企画を行う、セミナーの開催は、私の所属する衣笠キャンパスでは、大学生活のライフハック等を紹介する内容を行いました。そこでは、「僕だったらこうする」の例がよかった、「答案の書き方や試験勉強の仕方を聞けてとても良かった」、「カバンが軽くなりそうな有意義な講義でした」という感想が寄せられました。

では次から、実際にピア・サポーター活動を通してどのようなことに気づき、何を得たのかについて、話していただきます。

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こんにちは。これから事例1「ピア・サポーターへのFOUR×STEPS」の紹介をさせていただきます理工学部3回生の坂之下蒼人と申します。2019年の秋から約1年間、SSPピア・サポーターとして勤務しています。よろしくお願いします。

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 今回、事例として、私がSSPピア・サポーターになる前となった後の変化を大きく4段階に分けてお話ししたいと思います。

まず、SSPピア・サポーターを志望するきっかけとなった「起」の部分です。2回生の春に「ピア・サポート論」という授業を受け、授業の中でSSPピア・サポーターという活動があることを紹介されました。そして、春学期が終わった後にSSPピア・サポーターの新規応募を見つけたので、授業を通して学んだことを活かしたいという強い思いから応募しました。

次に、SSPピア・サポーターを始めた直後である「承」の部分です。SSPピア・サポーターには具体的なマニュアルなどが無く、自分自身で考えて行動する場面が多いので、最初はどのように取り組めば良いかとても悩みました。SSPピア・サポーターの活動の1つとして、履修のことや学習計画など、学生からの相談を受け付ける「よろず相談所」という取り組みがあります。この取り組みを行う上で私は、自分の意見を押しつけるのではなく、相手の気持ちにより添いながら言葉をかけることが大切であると思います。様々な学生がいるので、柔軟な対応が求められ、応え方に悩むことばかりでしたが、先輩などに助けられながら徐々に慣れ始めました。

次は、活動に段々慣れてきた時期である「転」の部分です。立命館大学には、ピア・サポートに関する活動が数多くありますが、SSPピア・サポーターとして活動していく中で、自分も大学のサービスを利用しないともったいないと感じました。普段は、SSPピア・サポーターとして活動を行っていますが、ときには人に頼ることも大切であると感じ、大学の様々なサービスを利用者の立場で活用する機会も増えました。

最後は、SSPピア・サポーターとしての活動を通して、普段の生活においても大きな変化が生じた「結」の部分です。SSPピア・サポーターの活動で様々な経験をすることで、普段の生活においても活かされることが数多くあります。その中でも1番大きいのは、相手のことを思いやった言動です。大学の友達やサークルの先輩後輩など、様々な人と話すときは、相手の気持ちをよく考えてから言葉をかけるようになりました。現在、私は3回生で就職活動を行っていますが、自分のアピールばかりではなく、周りの方の気持ちも考えて行動することを心がけており、活動を通して学んだことがかなり活かされています。また、SSPピア・サポーターとしては、今まで教えられることが多く、受け身でしたが、新たな後輩も増えたので、助けてもらいつつも、積極的に活動を引っ張っていくことを心がけて何事にも取り組むようになりました。

以上がSSPピア・サポーターの成長過程を事例の1つとして示したものであります。私の発表はここで終わらせていただきます。


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それでは、事例の2について私から発表します。

まずは自己紹介からですね、中村圭歩です。産業社会学部の3回生で、ピア・サポーターデビューは二回生の秋でちょうど去年の今頃に入ったのですが、一年たった今も、学ぶことが多いなと感じているので、まだまだフレッシュな気持ちで頑張っていきます!


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 私の場合は、ピア・サポーターを始める前と後で、ピアの活動以外の活動にどのような影響があったか、について話します。

私は、現在もですが、先ほどの紹介があったようなEducational Supporter という後輩の授業のサポートに2回生の時から入っています。その活動を始めた頃は、SSPに入る前で、「明らかに支援を求めている人」や「支援が必要だとこちらが判断した人」に対して主に声をかけていました。

それから、その秋にある先生にSSPをやってみないかと薦められて、入った後に私自身が初めてSSPのセミナーを受ける機会がありました。「タイムマネジメントの方法」がテーマだったのですが、自分の感覚としては「学校生活をする上で、タイムマネジメントには困っていない」と思っていました。受けてみると、自分とは違う方法があり、新しい発見をすることができました。この時に、「外からの働きかけで、いろんな人に成長のきっかけづくりができるのではないか」と考えるようになりました。支援をする対象を支援する側が決めつけてしまうことは多いですが、実は支援される側も支援する側も固定ではなくて、どちらにもなりうる可能性があります。

その後、今年の春セメスターで、対面授業が中止になった際には、一回生の不安なことが人間関係の構築だったので、オンラインでの交流会の企画をしました。この悩みを全員が持っていたかはわかりませんが、自分も他者の立場になったらどうだろうと考えた結果の案でした。

今後も、この考え方を忘れずに活動し、様々なニーズに対応できるサポートをしていきたいと思っています。では、まとめを三谷さんからお願いします!


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「おわりに」ということで、テーマにも入っている「主体的な学び合いの仕組み」とは何だったのか、ということに触れておきます。

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中村さん、坂之下さん2名の事例から、「主体的な学び合いの仕組み」として言えることは何か?ということになります。きっかけは様々ですが、「『支援』される側とする側の境界が曖昧になっていったこと」とまとめられるのではないでしょうか。自分はされる側(する側)である、から、する側(される側)にもなれるということに気付くということは、まさしくピア活動が「『学びのコミュニティ』で『互いに切磋琢磨しながら成長する仕組み』」として機能している、と言えるのではないでしょうか。これは立命館が掲げるピア活動の根幹とも言える考え方です。ここに出した図は、PDCAサイクルのようにシステマチックなものではなく、常に「支援」や「成長」をする側、される側が共に問い直しながら、同時に常に入れ替わりながら、その時描いている将来の自分を実現するために、今何をすべきかを考えるための思考回路のようなものです。

こういった思考回路を作り、また深めるための活動の1つに「SSP」があれば、ピアとして「活動していて良かった」と思える瞬間の1つなのではないでしょうか。

 発表は以上です。ご清聴ありがとうございました。

 

 

中村圭歩・坂之下蒼人・辻俊成・三谷舜・木原宏子・辻田奈保子・平野莉江子(2020)SSPピア・サポーターによる主体的な学び合いの仕組みづくりとその展望:『私たち』の成長と気づきのきっかけ作り」立命館大学2020年度SSPピア・サポーター研修内発表




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