【大学紹介】立命館大学国際平和ミュージアムを訪問しました
立命館宇治が大学附属校としての情報発信を強めていこうということで附属校教員による大学取材企画を連載していきます。今回はその第一弾として、立命館大学国際平和ミュージアムを訪問しました。4月末には本校中学生の訪問も予定されています。事前に施設の理念や学びのかたちを知りたいと思い、ミュージアムの運営に携わる亀田直彦さんにお話を伺いました。
答えを教える場所ではなく、考える場所
「平和」という言葉は大きく、人によって捉え方が異なります。亀田さんは、「このミュージアムは、特定の価値観や正解を示す場所ではありません」と語ります。「もし一つの強い解を掲げてしまえば、それと異なる立場の人はここに来なくなる。それでは対話が生まれません。大切なのは、多様な価値観を持つ人が集い、交わる場であり続けることです」展示のテーマも戦争だけに限りません。環境、格差、ジェンダーなど、現代社会のさまざまな課題を「平和」という視点で考える構成になっています。「戦争ミュージアムではなく、平和ミュージアムでありたい」という言葉が印象的でした。
生徒が自分の言葉で考える仕掛け
展示を一周すると、最後に「問いかけ広場」という白い空間があります。「あなたにとってのピースのかけらは何か見つかりましたか?」という問いに対して、生徒たちが付箋に自分の思いを書いて壁に貼っていきます。そして、このメッセージが次の来館者の目に触れ、「なるほど、でも自分ならこう思う」という新たな思考が生まれる。来館者同士の静かな対話が、自然とつながっていく仕組みです。
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「問いかけひろば」入口 |
来館者によるメッセージ |
ガイドのスタイルもユニークです。一列に並んで説明を聞くのではなく、各ゾーンに学生スタッフや市民ボランティアガイドスタッフが立ち、自由に見学する生徒に「ここ、興味ある?」と声をかけるところから対話が始まります。昨年度は41名の学生スタッフが在籍し、留学生も含まれています。年齢の近いお兄さん・お姉さんとの対話は、中高生にとって親しみやすい学びの入口になっています。
訪問を終えて
亀田さんの「受け入れられなくても、理解するところまではたどり着ける」という言葉が心に残りました。それぞれが歩んできた人生や環境、経験が異なる以上、時には互いに受け入れられない価値観が錯綜することも起こり得ます。異なる価値観であっても、対話することにより、その人がそこに至るまで懸命に生きてきたという事実への敬意――そこに一つの到達点があるとの思いを語っておられました。「対話」は、これが国や公の機関であれば「外交」に置き換わるような営みです。何かを教え込む場所ではなく、生徒が自分自身で感じ、考え、言葉にする場所。それがこのミュージアムの姿でした。 4月末の中学生訪問では、生徒たちがここでどんな言葉を紡ぐのか、とても楽しみにしています。 立命館で学ぶ人・働く人は入館無料です。まだ行ったことのない人はぜひ一度、足を運んでみてください。
1階エントランスホールに設置されている「わだつみ像」と「火の鳥((株)手塚プロダクションご提供)」
