IBコース3年 中村南風さんの研究論文が国際学術誌に掲載
IBコース3年生の中村南風さんによる研究論文 "The Association Between Telomere Length and Alzheimer's Disease" が、アメリカを拠点とする学生向け学術ジャーナル The Curieux Review に掲載されました。
The Curieux Review は、アメリカ・カリフォルニアを拠点とする学生主導の非営利学術誌で、高校生・中学生による優れた研究成果を査読を経て出版しています。中村さんの論文は Issue 6 Part 2(April 2026)の65ページに収録されており、同誌ウェブサイト( https://www.curieuxreview.com/spring-summer-2026 )から閲覧することができます。
今回掲載された中村さんの論文は、「テロメアの長さとアルツハイマー病との関連性」という、現代医学・生命科学において重要なテーマを扱っています。アルツハイマー病は認知症の最大の原因であり、脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積して老人斑を形成すること、またタウタンパク質が異常にリン酸化されて神経原線維変化を引き起こすことが主な病理として知られています。一方、テロメアとは染色体の末端にあるキャップ構造で、細胞分裂のたびに少しずつ短くなることから「細胞の老化時計」とも呼ばれています。
中村さんの論文は、このテロメアの短縮がアルツハイマー病の進行にどのように関わっているかを、メタアナリシス(複数の研究を統合的に分析する手法)や臨床データ、分子レベルの研究など多角的なエビデンスをもとに検討したものです。アルツハイマー病患者ではテロメアが健常者より有意に短いこと、記憶に関わる脳領域でテロメアの損耗が顕著であること、酸化ストレスやDNA修復機構の障害がテロメア短縮を加速させていることなどを整理し、テロメアの変化が単なる老化の結果ではなく、病態そのものに能動的に関与している可能性を論じています。さらに、テロメラーゼ活性化剤や遺伝子治療といった治療戦略の展望にも触れつつ、それらの限界やリスクについても慎重に考察しています。
大学の学部課程でも扱いの難しい分子生物学的知見を正確に理解したうえで、一貫した論理構成のもとに英語の学術論文としてまとめ上げた力量は高く評価されるものです。結論を安易に断定せず、エビデンスの限界を見極めながら主張を慎重に組み立てる姿勢には、IBが育成を目指す批判的思考力がよく表れています。
専門的なテーマに主体的に向き合い、英語で研究論文としてまとめ、その成果が国際的な学術誌に掲載されたことは、中村さんにとっても大きな自信につながったようです。日々の探究活動を積み重ね、世界に向けて自らの研究を発信した中村さんのさらなる活躍を期待しています。
