憲法の観点から労働関係を見直す

最近何かと話題の格差社会。その原因の一つに雇用主と労働者の関係の不平等が考えられます。憲法は、思想・良心の自由なども含め人間らしく生きる権利を保障しています。しかし、現状は雇用主の契約の自由が重視され、労働者は雇用主の決める採用決定・労働条件に従わざるを得ません。私は憲法の人権保障に着目し、労働関係を問い直すことはできないかと考えています。

憲法は国家と個人の関係を定めたものであり、雇用主と労働者という私人どうしの間には適用されないという考え方が根強くあります。また、最高裁は、憲法が私人間に適用されないとはいわないものの、労働者の思想・良心の自由を認めないのと同じといえる判決を出しています。さらに現在は、企業活動の妨げになるという理由で、労働法の規制緩和が進んでいます。労働法の規定は労働者を保護する内容が多く、現在の規制緩和は格差社会化を助長するのではと懸念しています。労働関係の平等化のためにも、労働法の社会的な意義を再度確認すべきでしょう。

つまり、安心して働き、人間らしい生活をするために、憲法の理念を労働関係にも反映させる必要があると考えています。それには、労働者一人一人が憲法論や人権論を身に付けて、生かしていく必要があります。誰もがいずれは社会に出て、働くことになります。そこで、ただそこにあるものを受け入れるのではなく、自由や平等を求めて行動するためにも、法学部での学びを役立てて欲しいですね。