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- 法律で社会を変える研究者たち
- 労働者にも法律が必要?(吉田 美喜夫 教授)
会社は社会的な存在です。単に利潤を追求するだけではなく、社会の一員として、コンプライアンス(法令遵守)が求められます。そのために、会社自らが業務を公正に行うことのできるような内部統制の仕組みを設けることが大切であり、日本版SOX法と呼ばれる法律も2008年4月からスタートします。しかし一方で、会社自身の取り組みだけでは限界もあります。もちろん、会社は、会社の重要な構成員である労働者についての法律を守らなければなりませんが、経営者と労働者双方を結びつけるのは労働契約ですから、労働者自身も法律を知ることで、一人ひとりが自分にあった働き方を模索していけるようになるのではないでしょうか。さらに、会社の活動を実際に担っている労働者が、会社のあり方について発言していくことも重要であり、それが会社の発展にもつながります。将来どの様な職に就くとしてもより良い労働環境を生み出し、健全な社会づくりのために、法学部で法を学ぶ意義があるのだと思います。
- ヨーロッパでは労働組合の力によって労働者に有利な労働条件が定められています。なぜなら、ヨーロッパの労働組合は産業レベルで組織されており、日本の自動車産業で例えると、トヨタとホンダの労働者が同じ組合に加入しているということになります。そのため、組合が労働条件を規制すると、どの企業にも一斉に適用され、法律ができるのと同じ効力を持つからです。しかし、日本の場合は企業別に組合を持っているので、組合が労働条件を改善しようとしても、企業間の競争の方が優先されてしまうことが多くなってしまうのです。
- 【日本版SOX法】
- 会計不祥事を防止するため米国で施行されたサーベンス・オクスリー法(SOX法)にならい、日本で導入される法規制。上場企業およびその連結子会社に、財務報告に関わる開示と会計監査制度の信頼性向上を求めています。