在学生・修了生の声

政策やその背景を深く掘り下げることがソリューションを提案する仕事にも生きている

豊原 任 さん

政策科学研究科 博士課程後期課程 1回生

在学生

現在、情報通信業界のプラットフォーム企業で、ソリューションアーキテクトとして働きながら、博士課程後期課程で研究しています。

私の仕事は、事業をどのように拡大していくか、いかに人材を育成するかなどといったお客さまのビジネスの悩みをお聞きし、ITを通じて課題解決をお手伝いすることです。とりわけ近年、社内外のサステイナビリティに関わる仕事が増えてきました。例えばサーバを集積したデータセンターの消費電力を下げる方策を考えたり、お客さま企業のカーボンニュートラルの取り組みを支援するなど、さまざまな次元の提案が求められます。カーボンクレジット取引のプラットフォームをつくる上でも、GX(グリーントランスフォーメーション)などの政策や法律への理解が欠かせません。こうしたニーズに接するたびに、世界の動向や最新の政策に精通しておく必要性を強く感じ、大学院で体系的に知識を深め、実務的にも学術的も究めたいと考えるようになりました。

立命館大学大学院政策科学研究科を選んだ最大の理由は、よく読んでいた論文・書籍の著者で、かねてから学びたいと思っていた教授がいることです。

現在は、フルタイムで仕事をしつつ、夜間や土日を使って研究に取り組んでいます。研究テーマは、情報通信業界におけるカーボンニュートラルの早期実現について。IT業界では、自社の取り組みのレポートを出す企業は多いものの、学術的な分析や研究は少ない現状があります。そこで包括的な視点で業界の現状を分析し、業界全体で必要とされることを考察したいと考えています。

勉強になっているのが、「リサーチセミナー」です。自分の研究について発表したり、他の人の発表を聞いてディスカッションを行っています。多様な専門分野の先生や院生がいて、幅広い知見を得られるのが良いところです。他大学の研究者を招いて研究発表を聞いたり、プロジェクトで共同研究をすることもあります。多様な視点を学ぶことで、視野や知識の幅が大きく広がりました。

また学術的な環境に身を置くことで、政策に関わる情報をいち早くキャッチできること、さらには、なぜそうした政策がつくられるのかといった背景にある考え方にまで踏み込んで探究することが、仕事でお客さまに提案する上でも役立っています。何より海外との取引の多いグローバル企業では、博士の学位が高い評価の対象になることから、これからキャリアを築いていくにあたっても、博士号の取得は大きな強みになると考えています。

サステイナビリティ社会の実現は、一朝一夕に達成できるものではありません。政策科学研究科でITとサステイナビリティの両方に通じる力を蓄え、自社のビジネスに留まらず、10年先、20年先の情報通信業界のサステイナビリティの推進に貢献できる人材になることを目指しています。