教育内容 #03:サービス・ラーニング科目

地域活動を通じて学ぶ
サービス・ラーニング

人と関わり社会に貢献する
自覚と能力を育む

高度な知識とスキルを身につけただけでは社会で活躍することはできません。本当に求められているのは、一人の市民としての自覚と責任を持ち、他の人と力を合わせて地域や社会に貢献できる人。「サービスラーニング科目」では、地域に飛び出し、さまざまな地域活動を通じて、今そしてこれから社会を生きていく上で欠かせない「市民性」を豊かに育みます。

社会貢献活動に取り組みながら
「生きる力」「社会性」を培う
サービス・ラーニングの学び。

地域社会でボランタリーな活動や社会貢献活動に取り組み、それらの活動を通じて学ぶ「サービス・ラーニング」。現場での経験を大学で振り返り、学びを深めたり、新たな気づきを得る。そんな地域と大学の往復を通じて地域社会の一員として生きていく力や社会性を育むとともに、さまざまな人と協力し、社会課題を解決していく力を養うことを目的としています。

全学部に開かれた「サービスラーニング科目」として、まず導入から学ぶ「地域参加学習入門」「現代社会とボランティア」、より発展的な学びを体験する「現代社会のフィールドワーク」「シチズンシップ・スタディーズ」の4つの科目を用意し、段階的に学ぶのではなく、学生一人ひとりの経験・知識に応じて自らの関心に応じて、地域や他者と関わりを通じて自分を磨く機会を提供しています。

サービス・ラーニング科目の4つの科目群

地域参加学習入門
「サービス・ラーニング」へのファーストステップ。まず大学以外の場での「活動を通じた学び方」を学びます。なぜ「ボランティア」ではなく「サービス・ラーニング」なのかを問うところから学びをスタート。学生としてはもちろん、地域に暮らす「生活者」の視点で地域社会の課題を知り、地域活動に参加する意義を学びます。
現代社会とボランティア
授業時間内に教室内やキャンパス内外においてグループワークを行い、体験を自分の言葉で発表することで、ボランティア活動へのイメージを見つめ直し、現代社会の課題を捉え直します。学部・学年の異なる学生や地域の人々とのコミュニケーションを通じて、より模範的・倫理的な市民としてのふるまい方を学びます。
現代社会のフィールドワーク
身の回りや地域にある課題や疑問を自ら見つけ、フィールドワークを通じてその解決に挑戦します。「立命館大学周辺に学生街が形成されないのはなぜ?」「学部ごとに学生のファッションに違いはある?」そんな素朴な疑問を調べることから考察を深め、地域の社会課題や環境問題などに関心を広げていきます。
シチズンシップ・スタディーズ
伝統行事や祭り、地域活性化の取り組みなど、地域で行われる事業に参加し、運営を支えることを通じてそこに携わる人々や事業の役割、市民としての責務を体験的に学びます。また現場での体験を教室に持ち帰り、振り返りを通じて学びを深めるなど、地域社会の現場と教室を往復しながら学びます。

知識とスキルだけでは
21世紀を生き残れない。
地域に貢献しながら
一人の市民としての資質を磨く。

「知識やスキルが高いだけでは社会や会社の役に立ち、求められる人になることはできません。とりわけAI(人工知能)やICTが進展し、機械が人にとって代わろうとしている現代では、いっそう人と人との関わりの中で社会や地域に貢献する力が求められています。そこで問われるのは、人格的な成熟です」と山口洋典教授は言います。

「サービス・ラーニング」は、若者の社会参加を通じた学習法としてアメリカで生まれました。予め活動の受入先と大学との協働で設計されたプログラムにおいてボランティア活動に携わり、その体験を教室で言葉にしていくことで、市民性を育むことを目指すのが特徴です。

そのため、サービス・ラーニングにおけるボランティア活動は、単なる「社会奉仕」とも、また企業などで職業を体験するインターンシップとも異なります。いわばその間に位置する学び方。地域活動を中核としながら、大学での事前・事後学習で現場での活動で達成できたことやできなかったことを丁寧に見つめると共に、教育目標に沿って学びを深めて自らを磨いていく振り返りを重視します。

大学と地域を行き来しながら
ダイナミックに学ぶ。

2回生受講科目

シチズンシップ・スタディーズ:
時代祭応援プロジェクト

「シチズンシップ・スタディーズ」は正課内で地域活動に参加し、地域に貢献しながら一人の市民としての資質を高める科目です。2006年度に始まった「時代祭応援プロジェクト」では、京都三大祭の一つに数えられる時代祭に受講生がサポーターとして参加。明治時代から地域に根差し、京都市民に愛されてきた一大行事を支える活動に取り組みました。

時代祭とは

毎年10月22日に行われる平安神宮の大祭。明治維新から平安京が造営された延暦時代にさかのぼって、時代の風物を再現する大行列が特徴で、笛・太鼓の音色を先頭に各時代の衣装や祭具を身につけた約2000名が2kmにわたって京都の町を練り歩きます。千年にわたって培われてきた伝統工芸の技の粋が集められた「動く歴史風俗絵巻」は京都の秋を代表する風物詩となっています。

2019年度「時代祭応援プロジェクト」の本格始動は5月。まず大学の講義でこれからどのようにプロジェクトに参加し、どのように学んでいくのかを事前学習した後、平安神宮での現地オリエンテーションで説明を受けます。こうして大学と現場を行き来しながらダイナミックに学んでいくのが「サービス・ラーニング」の特長です。学生は事前学習で各自、そしてグループごとに活動目標を定め、地域活動に飛び込みます。

100年以上にわたって祭の運営を担ってきたのは京都市内各地の市民で組織された「平安講社」の方々。学生たちはそうした地域の人たちに教わりながら、平安神宮に保管されている祭の衣装を虫干しするなど祭の準備を手伝いました。また時代祭当日、笛や太鼓を打ち鳴らしながら行列を先導する「維新勤王隊」として行列にも参加するため、笛や太鼓の練習にも励みます。

地域の方々に交じって活動するのは楽しいことばかりではありません。学生たちは社会人としての礼儀や与えられた務めをきちんと果たすことの大切さを教わりながら地域の人と豊かな関係を築いていきます。

年齢もバックグラウンドも考え方も異なる地域の方々と会話することに最初は苦労しました。

平光 紗代さん
文学部 4回生
飯田 晃さん
法学部 2013年卒業

華やかに見えるお祭りも、それを支える地域の方々がいてこそ成り立っています。準備期間から関わることで、そのことに気づかされました。一方で、地域で関わる方が高齢化し、次代を担う若い人が少ないといった問題も知りました。

祭の準備の一方で、設定した目標に向けた活動にも取り組みます。「小学生に地域の行事に関心を持ってもらう」ことを目標に掲げたグループは、地域の小学校を訪問し、時代祭についての広報活動を行いました。

飯田 晃 飯田 晃さん
法学部 2013年卒業

地域の方々にとって学生は『生徒』でもなければ『お客様』でもないという自覚が必要でした。ただ指示されるがままに作業しても何も得ることはできません。何を学び取るかは自分次第。自ら率先して行動し、積極的に地域の方々と触れ合う中で、どんな場面でも『自分に何ができるのか』を探していく姿勢が身につきました。

時代祭に実際に関わる人から、祭を準備し、実行するご苦労など、実感のこもったお話とともに、祭や伝統に対する思いを伺いました。社会が変わっていく中で祭はどう変わっていくのか、あるいは何を変えずに残していくべきなのか。人によっても考えは違います。地域の方々の話を聞いて、深く考えさせられました。

平光 紗代 平光 紗代さん
文学部 4回生

そして迎えた時代祭当日。維新勤王隊の衣装に身を包み、笛や太鼓を手に京都御所を出発した学生たちは、行列の先頭を切って威風堂々と都大路を歩きました。さまざまな準備を重ねてこの日を迎えた学生たちの顔は充実感でいっぱいでした。

プロジェクトはここで終わりではありません。重要なのは活動を通じていかに成長できたか。時代祭の後、事後学習で活動を通じて学んだことを振り返ります。最後は12月の活動報告会。受講生だけでなく地域の方々にも公開し、プレゼンテーションで活動を総括しました。

受入団体:平安講社第八社 太田 興さん 受入団体:
平安講社第八社
太田 興さん

本プロジェクトは時代祭を切り口とした「学生と地域の出会いの場」です。2019年度には小学校児童の登下校時の見守りや消防団による夜回りなど、各種の活動にも参加する機会を設けました。高齢化の進む地域の現状を自ら確かめることで、地域活動の必要性について理解が深まったことを、受講生等の最終発表会で実感しました。2006年に始まったこのプロジェクトでは、受講経験が進路に影響を与えたり、卒業後も私たちの活動に関わり続けている先輩たちがいます。学生さんには参加を通じて、将来自分が過ごす地域の活動に関わる市民になってもらいたいですね。

このプロジェクトを機に、故郷の地域に対する見方も変わりました。大学進学とともに故郷を離れ、地元とは関係ない生活を送っていると思っていたけれど、自分自身も地域に支えられて今日があることに気づきました。故郷を離れても生まれ育った街や地域との関わりを大切にしていきたいと思うようになりました。

飯田 晃 法学部 2013年卒業

最後に秋吉 恵准教授は「サービス・ラーニング」の重要性をこう語りました。「地域社会の課題を解決する。それは口で言うほど簡単ではありません。現場に出た学生たちは、課題解決以前に地域の人とコミュニケーションをとれなかったり、指示されたことをできなかったり、社会人としての己の無力さや未熟さに気づきます。そして社会の課題を解決するためには、知識を蓄えるだけでなく、さまざまな経験を積むことで、それを『知恵』という糧に変えていく必要がある。まずは『人間力』を身につけることが重要なのだと自覚するのです」。

PROJECTS

シチズンシップ・スタディーズの全てのプロジェクトについては、
サービスラーニングセンターのWebサイトで詳しく紹介しています。

草津街あかり・華あかり・
夢あかりプロジェクト

11月初旬に立命館大学びわこ・くさつキャンパスのある草津市の市街地で住民手作りのろうそくや灯ろうを灯す住民参加型のイベントに参加。地域の方々と一緒にイベントの準備・運営に取り組むともに、草津市の魅力を知ってもらう企画を考案・実行し、地域活性化やまちづくりに挑戦しました。

茨木火起こしプロジェクト
~持続可能な地域づくり~

立命館大学いばらきキャンパスのある茨木市北部地域で、地域と社会を元気にし、地域の人の「心に火を灯す」、そんな「火起こし」のような地域活性化活動に取り組みました。食の循環や再生可能エネルギーの導入、コミュニティづくりなどを通して、高齢化や農業の担い手不足といった茨木市北部地域が抱える課題を解決するだけでなく、豊かな可能性を広げ、持続可能な地域づくりを目指しました。