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来年度から新しく進化する産業社会学部。そこで、子ども社会専攻の森田真樹助教授に子ども社会専攻についてお話を伺いました。
また、8/5(土)のオープンキャンパスで行った模擬授業もご紹介します。

産業社会学部
森田真樹 助教授

新しく子ども社会専攻を作ることになった経緯について教えて下さい。

まず一つ目に、小学校教員養成に対する要請があったことがあげられます。今まで立命館大学では、小学校教員の免許を取得することはできませんでした。そのため、小学校教員の免許を取得するためには文部科学省が実施している小学校教員の資格認定試験に合格して二種免許を取得し、他大学で単位を修得して一種免許を取得する、あるいは千葉の聖徳大学との連携プログラムで通信課程を利用して免許を取得する、といった方法が採られていました。その一方で、立命館大学の学生は全国の私立大学と比べても卒業後の進路として教員を選ぶ学生は多く、その半分は小学校の教員であるという現状がありました。そういった実績から、立命館大学でも小学校教員の免許を取得出来る課程を持ちたいと考えました。
また、現代社会の問題を考えた時、子ども、教育、学校に関する問題がクローズアップされています。今までも子どもに関連する授業は行なってきていましたが、それらを体系的にまとめて1つの専攻にしようと考え、子ども社会専攻が誕生しました。

教学の特徴やメリットについて教えて下さい。

やはり最大のメリットは、小学校の教員免許が取得できることです。また幅広い視点で、子どもやそれを取り巻く社会の問題について考えていけることもメリットの1つですね。
具体的な授業の例として、1回生では「子どもと社会」という授業があります。これはこれから4年間、子どもと社会についてどのように学習していけばよいのかを学びます。
2回生以上では、「子どもと世界」、「子どもと現代社会」、「子どもと発達」、「子どもと学校」、「子どもと学習指導」という5つの領域を置いています。「子どもと世界」では、世界の子どもの様子や国際化の中で日本の子どもと教育をどのように考えるべきかを学びます。また、「子どもと現代社会」では現代の変化が激しい社会の中で、子どもについてどのように考えていくべきか、「子どもと発達」では子どもが一生を過ごしていくライフサイクルの中で、子どもについて考えます。そして、「子どもと学校」では学校教育の最新の動きを捉えていきます。ここには、小学校での英語教育についての科目もあります。このように、子どもを軸とした幅広い教学内容を用意しています。同時に卒業単位に教職に関する授業が組み込まれていて、小学校教員の免許を取ることを前提にカリキュラムが組まれています。
また、この新しい専攻を立ち上げるにあたっては、新しく多くの先生に来ていただくことになっています。

どのような学生に育って欲しいですか?

まずは元気があり、子どもと積極的に関わっていけるような人に集まって欲しいですね。そして、私たちの生活の中で当たり前に起こっていることについて、疑問を持ち、問題として取り上げられる目を持って欲しいと思います。
この子ども社会専攻で学び、将来的には次世代の日本の社会を支える "人" を作る教員を目指して欲しいです。また、子どもに関わる職業や、青年海外協力隊のような世界の子どもを援助するような学生も出てきて欲しいですね。

*小学校教員養成課程は、2006年9月末に課程認定申請予定です。

産業社会学部模擬授業

8/5のオープンキャンパスにおいて行われた産業社会学部の模擬授業では、2007年度から子ども社会専攻の担当となる森田真樹先生の授業が行われました。まず、2007年度より現行の2学科制から1学科5専攻に再編される産業社会学部の概要の説明がされました。そして、産業社会学部では新たに小学校教員の免許も取得できるようになることから、小学校教員養成課程を開設する「子ども社会専攻」を中心に模擬授業が進められました。

講義では「世界の子供と学校」というテーマで授業が進められ、写真等を使用し、訪れた受講生へ質問をするなど活発な授業が展開されました。また、クイズ形式で授業を進める場面もあり、受講生たちも積極的に参加していました。世界の子どもをめぐる諸問題では「識字率・就学率・5歳未満の死亡率」や「開発途上国の学校数・諸費用・教師数」などの説明に、グラフや具体的な数字を挙げて説明がされ、受講生たちは真剣な表情で講義に聞き入っていました。
実際の大学の講義より30分短い60分の授業でしたが、学生たちはこの講義に満足した様子で、産業社会学部の受験へ意欲が高まったようでした。

最後に、森田先生は「日本の子ども・学校を相対化して考えるためにも、世界の子ども・現状・課題について考える必要がある。グローバル時代においては、開発途上国の子ども・学校についてその現状を知り、我々に何ができるか考えることも必要となる」とまとめました。

 
取材・文 高橋義紀(法学部3回生)、中井乃奈(経営学部1回生)
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