■ 公務研究科とは具体的にはどのような大学院ですか?
まず、この大学院の1番の狙いは政策力を身に付けた人材を育てることです。政策力とは状況判断ができ、それに対する企画力があることを指します。またその企画を人に納得させ、前に進めていくことができる、いわゆるリーダーシップのようなものでもあります。立命館大学は、公務員の合格率が昔から関西の私立大学の中ではずば抜けて優れています。このように立命館は公務員養成に高い評価を頂いているので、立命館の強みとして伸ばしていくべき所だと思います。
しかし、最近自治体の職員の方からは「最近、立命館の人は目立たないですね。元気がなくなったのでは」と言われることが多くなってきました。また、立命館大学では国家公務員T種の合格率は高いのですが、更に活躍する人材を増やすことも課題です。面接で様々な角度から質問されることに関して広い視野を持ち、分からないなりにもしっかりと対応できるようなタフさが必要となります。公務研究科はこのような課題を克服することを目指しています。
■ 公務研究科ができた背景を教えてください。
既存の大学院では、それぞれの学部の上に大学院が積み重なるというシステムが基本となっており、1つの分野における勉強はしっかりと行えるが、それ以外のことを学ぶのが難しいシステムになっていました。しかしながら、現在の社会における要求は多様化・高度化してきており、1つの分野における専門的知識だけでは対応できなくなりつつあります。ここで重要なキーワードとして挙げられるのが「幅を広げる」という事です。実際に公務員として働いていく中で、多種多様な問題に直面することは多いと思います。そういった時に、幅広い知識を持ち合わせていることが必要となります。また問題点を解決するにあたっても、ただ解決して終わるのではなく、新しくシステムを構築しないことには真の解決とは言えないと思います。こういった多様化・高度化した社会的要求に応えるべく、公務研究科の開設に至りました。
■ 公務研究科の特徴の1つである、リサーチ・プロジェクトについて教えてください。
このリサーチ・プロジェクトは、1つのゼミを専門分野の異なる複数の教員が担当します。既存のゼミナールでは限られた分野での勉強に偏りがちだったのですが、複数の異なる専門分野の教員が1つのクラスを担当することで、物事に対する複数の切り口、また複眼的な理論を組み立てる鍛錬の場になると思います。ここで求められるのは、教員にどれだけ痛いところを突っ込まれてもへこたれないタフさ、また多数の人たちの前で話す場もあることから、人を納得させるプレゼンテーション能力と論理的能力が必要とされます。このリサーチ・プロジェクトの成功の鍵を握る1つとして、教員同士が本気で議論できるかということも重要だと思います。また、このリサーチ・プロジェクト以外にも、「フィールドワーク実践論」という講義もお勧めです。これは簡単に言うとインターンシップのようなものですが、従来のインターンシップでは学生が就業体験をする時期によって、面白いやりがいのある仕事の有無など、どうしても差がでてしまっていました。そこで、フィールドワーク実践論では常に課題を抱えている、例えば地方のNPOなどと提携して、学生がいつ行っても何か得ることが可能であるように現在準備を進めています。
■ 在学生に向けてメッセージをお願いします。
公務研究科は、「自分ではそこそこやっているんだけど、自分には何か足りないところがある」と思っている学生に強くすすめたいですね。確かに、どの分野の大学院であっても勉強はしなくてはならないし、高い目的意識を持った学生でないとついていくことができないと考える学生もいるでしょう。しかし、この大学院には、ほんの少しのチャレンジ精神を持って入ってもらえばそれで十分です。私たち教員スタッフの中には大学教授だけでなく、人事院や一般企業の監査役など様々な分野の方がおられます。そういった教員により、学生をチャレンジ精神やタフな精神、そして政策力を持った人間へと鍛えていくサポートをしていきたいと思っています。この公務研究科で皆さんとお会いできる事を楽しみにしています。
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