2020.07.30 TOPICS

生存学研究所が東アジアの障害学国際セミナー2020を情報保障付きでオンライン開催

立命館大学生存学研究所は、2020年7月18日(土)に障害学国際セミナー2020として、「東アジアにおける新型コロナウイルス感染症と障害者」オンラインセミナーを開催しました。

障害学国際セミナーは、2010年に日韓の障害学の対話の場として開始され、現在は日本、韓国、中国、台湾にて持ち回りで毎年開催される東アジアで唯一の定期的な障害学の交流の場として機能しています。今年は、9月末に京都の朱雀キャンパスで開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインでの開催となりました。

冒頭で松原洋子副学長の開会挨拶があり、次に国連障害者権利委員会副委員長である石川准教授(静岡県立大学)から来賓挨拶がありました。その後、韓国、中国、台湾、日本の順で、それぞれの地域で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がどのように障害者に影響を与えているかについての貴重な報告がありました。日本からは大谷いづみ副所長が「ポスト・ポリオはビフォアー・コロナからポスト・コロナを生きる」、先端総合学術研究科院生の伊東香純さんが「日本における新型コロナウイルスの精神障害者への影響」という報告をそれぞれ行いました。質疑応答のファシリテーターは障害学国際セミナー2019のホストを務めた国立武漢大学張万洪教授が担当され、閉会挨拶は立岩真也所長が行いました。総合司会は研究所所属の長瀬修教授が務めました。

上:大谷副所長、下:長瀬教授、右:手話通訳者
上:大谷副所長、下:長瀬教授、右:手話通訳者
左:伊東さん、右:手話通訳者
左:伊東さん、右:手話通訳者

東アジアはコロナを感染者数、死者数共に国際的に見ると低水準で抑え込むことにこれまでは比較的成功しています。それでも、障害者の人権確保という観点から見ると、多くの共通の課題が本セミナーでは浮かび上がってきました。多くは、コロナ禍以前から存在していた課題が、コロナという新たな現象と結びついた時に深刻化しています。それは情報面・物理面(医療機関を含む)のバリアや施設・病院への収容、地域生活資源の不足、政策決定過程への参画の壁、障害者の生命の価値を低くみる考え方などです。そしてコロナが特に厄介なのは、視覚障害者や盲ろう者のように触覚を利用することが多い人や、介助を必要とする身体障害者のように、距離の確保が難しい人に特別の困難をもたらすためです。しかし、その困難の一部は、安全確保を大前提としてですが、障害者への必要な例外的対応を意味する「合理的配慮」の提供で解決できる可能性があることも明らかになりました。

特筆すべきは、この英語で開催されたセミナー(Skype Meet Now)の画面を①動画転送で日本の傍聴者向けにZoomで配信し、②日本語への同時通訳を行い、それをもとに③手話通訳、④日本語字幕を付すことに成功したことです。こうした技術的難度が高い最先端の取り組みを成功させたのは、生存学研究所の橋口昌治専門研究員率いるオンライン事務局による緻密な準備でした。詳細なプログラムや資料(日英バイリンガル)、写真は 会議サイトをご覧ください。また立命館アジア太平洋大学(APU)からも インクルーシブ・リーダーシップセンター(アルカンタラ ライラーニ教授)のご尽力で参加者があったことは学園内での展開として喜ばしいことでした。

生存学研究所は今年度、新型コロナウイルス感染症に最重点を置き、①緊急事態宣言下の5月8日に開催したオンラインセミナー「新型コロナウイルス感染症と生存学」 、②7月5日開催の 「ウィズコロナ/アフターコロナのアクセシビリティ」、そして、③この国際セミナーと、すべて新型コロナウイルス感染症をテーマに据えると共に情報保障(手話・文字通訳)をオンラインで行う取り組みを進めています。

新型コロナウイルス感染症は障害者差別主義(ableism)を含め、私たちの社会の既存の格差を拡大しかねない危機ですが、同時にたとえばオンラインでのアクセシビリティの確保など、ダイバーシティとインクルージョンを進めるうえでいずれにしても必要な取り組みを加速する契機ともなりうるし、またそうしなければならないことを明らかにした東アジアの国際セミナーでした。


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