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2021.12.24

第39回AJI研究最前線セミナー開催

 2021年12月14日、第39回AJI研究最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr. Muhammad Riza NURDIN(アジア日本研究所客員研究員)が“Islamic NGOs and Social Capital in Post-Disaster Indonesia: The Case of Dompet Dhuafa Charitable Organization in the Aftermath of the 2013 Gayo Earthquake”と題して発表を行いました。

 まず、Dr. Rizaは、インドネシアが世界で最も災害に見舞われやすい国の一つであり、かつ、市民社会が発展している世俗的な民主主義国家であると説明しつつ、災害が発生すると、宗教団体 (FBO) が真っ先に支援を提供するという興味深い事実に目を向けました。今回の発表では、この問題にたいして、FBOの復興プログラムが被災地域に与える影響についての調査報告がなされました。

 これらの団体のなかで、Dompet Dhuafa(「貧しい人々のための財布」を意味する)は、災害援助のために自発的かつ義務的なイスラムの施しを集め、それらを非常に効果的に分配している。

 Dr. Rizaは、主にコーヒー生産地であるセントラル・アチェ州のヤルク村(Jaluk village)に焦点を当て、政府やNGOとの垂直的な連携だけでなく、社会関係内のネットワークやコミュニティ同士の橋渡しを可能にする社会関係資本(social capital)がどのように災害にあった村の復興に寄与したのか、また、いかにDompet Dhuafaからの資金、復興計画、マーケティングなどの支援によって村の経済基盤がどれだけ改善されたのかを説明しました。Dr. Rizaは、FBOと社会関係資本の間に相乗効果が生まれることで、コミュニティの回復が早まり、レジリエンスを高めていると結論づけました。発表後は、社会関係資本の理論に関して多くの発表が寄せられました。また、Dompet Dhuafaは組織として社会関係資本に基づいた実践を行っているか、という点も重要な論点でした。その他にも、農村部と都市部の間での災害援助の違いや、FBOの資金調達や分配方法などについて多くの質問があり、Dr. Rizaはそれに対して一つ一つ明確に応答をしました。

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Dr. Riza delivering his presentation

過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/