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2022.04.19

第43回AJI研究最前線セミナー開催:Dr. Alpradita Malik(立命館大学)がインドネシアのスラムにおける居住環境と社会関係資本について発表(2022年4月12日)(参加自由)

 2022年4月12日 (火) 、第43回研究最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr. Alpradita Malik(立命館大学OIC研究機構専門研究員)が“The Influence of Architecture on Social Capital Development: A Literature Study on the Case of Slum Settlements During COVID-19 Pandemic”と題して、住宅政策がインドネシアの社会資本に与える影響について英語で発表を行いました。

 Dr. Malikは、社会関係資本(social capital)を社会的相互作用と協力の産物であると説明したうえで、スラム居住地を改修した事例において社会関係資本を育てることで近隣住民の満足度が高まったという研究結果を明らかにした。それと同時に、スラム住民は社会的な交流や絆を欠いているわけではないが、経済力を高めるために高い社会的地位への上昇につながる機会を欠いていることが分かった。また、Dr. Malikは、人間と非人間のアクターの関係に焦点を当てる社会建築は、空間、形態、技術、機能を統合する可能性を持ち合わせ、建築が社会資本に与える影響を測るうえで、彼の研究の基礎になることも指摘しました。さらに、コミュニティがその建築のプロセスに参加することができれば、コミュニティは帰属意識/所有意識を形成し、社会関係資本を増加させ、スラムの緩和プロジェクトにおける住宅と再定住のプログラムに対する満足度を高めることに結びつくことも示されました。しかし、こしたプログラムの成功のためには、空間のシーケンシングを含む構成の仕方が重要であるが、オープンスペースを提供することで、社会関係資本を育てるためには有効であるが、スラム居住者の習慣的な相互作用が過密状態を生み、COVID-19のパンデミックの下で感染率の増加を引き起こす可能性があるという懸念も論じられました。彼は、社会的相互作用は脅かされているが、スラム居住地の改善の際の設計プロセスにコミュニティが参加することで、社会関係資本を新たな形で改善することができると結論づけました。

 最後に、Q&Aセッションでは、なぜ住民が移転させられたのか、イスラム社会におけるコミュニティや文化的伝統の観点からの社会資本、住宅所有、西側の大都市の高層住宅に関連する社会問題の解決法などについての質問がなされた。Dr. Malikはすべての問いに丁寧に応答し、結果として、参加者全員がDr. Malikの非常に興味深いプレゼンテーションのテーマを共有することができました。

20220419
発表を行うDr. Malik

過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/