NEWS

2023.03.17

【レポート】第51回AJI研究最前線セミナーを開催しました!Dr. Nguyen Thi Thuongが“Use of Artificially Constructed Wetlands for Mine Drainage Treatment: A Lab-Scale Case Study Using Recycled Clamshells as the Substrate”について発表

 1月10日(火)、第51回AJI研究最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、ベトナム出身のDr. Nguyen Thi Thuong (立命館アジア・日本研究機構 専門研究員)が“Use of Artificially Constructed Wetlands for Mine Drainage Treatment: A Lab-Scale Case Study Using Recycled Clamshells as the Substrate”と題して、発表を行いました。

 Dr. Nguyenは、人工湿地(constructed wetlands)を利用することによる鉱山廃水に含まれる重金属の除去を研究テーマとしています。日本には7000を超える廃坑があり、そのうちの100ヶ所が重金属で汚染されています。重金属や硫酸塩を多く含む鉱山廃水は、帯水層や河川の水質を悪化させ、公衆衛生上のリスクや自然環境を脅かします。この排水は、厳格な排水基準に合わせて、健康被害を防ぐために浄化されなければなりません。従来は、薬品を使った凝集・濾過工程が採用され、年間数十億円ものコストがかかっていました。しかし、近年では、グリーン・テクノロジーとして、砂利を敷き詰めた人工湿地が導入され、それによって汚染水を濾過しています。Dr. Nguyenは、実験室での実験を通じて、貝殻で満たした人口湿地が、合成酸性鉱山排水から重金属を除去するのに高い効果を発揮することを発見しました。こうしたことから、貝殻の廃水除染への再利用が推奨されることで、容易で安価な環境に優しい方法で固形廃棄物の削減に貢献できる可能性が出てきます。

 Q&Aでは、会場から、健康や環境に対する脅威を減らすためにグリーンテクノロジーを採用することの重要性や、貝殻の回収とリサイクルの実用性、日本のような国での豪雨による流出への対応などに関して質問が相次ぎました。Dr. Nguyenは、研究の次のステップとして、このプロセスをフィールドで実用化するためのテストを行う必要性について説明しました。彼女の今後の研究の発展が大いに期待されます。

発表を行うDr. Nguyen
発表を行うDr. Nguyen

過去のフロンティアについてはこちら