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2023.03.17

【レポート】第52回AJI研究最前線セミナーを開催しました!Dr. Fahlesa Munabariが “The Gas and Brake Policy: Indonesia’s COVID-19 Securitization Dilemmas”について発表

 2月14日(火)、第52回AJI研究最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr. Fahlesa Munabari(ブディ・ルフール大学 専任講師)が“The Gas and Brake Policy: Indonesia’s COVID-19 Securitization Dilemmas”と題して発表を行いました。Dr. Munabariは、COVID-19のパンデミック時にインドネシア政府の安全保障プロセスがどのように機能したか、またそれが引き起こしたジレンマについて報告しました。コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには社会活動の規制を政策的に実施する必要がありましたが、それは人々の日常生活や経済に大きな困難をもたらしました。当初は政府の対応が遅れ、ウイルスが急速に拡大したため、市民団体(CSO)や活動家から感染症に関する情報開示の透明性を求める声が上がりました。そのため、軍が「コロナとの戦い(War on Covid)」と称した厳格な秩序維持=安全保障化(securitization)を実施し、それによって、ウイルスの封じ込めには効果を発揮しましたが、経済は壊滅的な打撃を受けました。これにより、ジョコウィ政権は厳格な規制の見直しを迫られ、COVID-19の拡散をより的を絞って封じ込めるためには、より小規模な社会的規制が必要であると判断しました。この「アクセルとブレーキ(Gas and Brake)」政策が功を奏し、地域によっては感染が急増しても、他の地域は通常通り機能するように、政府にゆとりを持たせることができたのです。

 Q& Aでは、参加者もさまざまな規制を経験したことがあるだけに、Dr. Munabariの報告に対する関心は非常に高く、会場からは他のアジア諸国の規制強化策との比較、インドネシアでの流行状況の把握、他の東南アジア諸国のパンデミックへの対応に「アクセルとブレーキ」政策は適しているかなどの質問がありました。今回の報告は、今後、感染症が急増した場合、世界各国の政府がこのような戦略的な方法を適用し、一律に封鎖することによって生じる社会的なジレンマを回避するために大きな助けとなるでしょう。

52thフロンティア写真
発表を行うDr. Munabari

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