文字サイズ

学部長挨拶

深川 良一 立命館大学 理工学部長

科学技術のイノベーションを先導する
理工学部をめざして

経済・社会のグローバル化はインターネットよって加速し、更にIoTや人工知能(AI)などを活用する「第4次産業革命」の動きが活発化しています。文明は歴史的に見れば人が水や食料を求めて集まり、情報を交換することから産まれて来ました。こうした人々の繋がりは空間的に離れているもの同士でもインターネットによって瞬時に可能となり、科学技術はかって経験したことのないようなスピードで急速に進化しています。その中で革新的な科学技術を世界に先駆けて創出し、持続的発展が可能なスマート社会を如何に実現していくかが課題となっています。 関西の総合大学の中で、最も長い歴史を誇る当理工学部は、「数学物理系」、「電子システム系」、「機械システム系」、「都市システム系」の4分野、8学科より構成 されています。これらの学科では学問領域の枠を超えて連携し、世界の大学と一体となって新たな時代を切り開くためのイノベーション創出に取り組んでいます。電気自動車へのシフトや自動運転・コネクティドカーの実現にはモーター・インバーター・制御回路、軽量かつ強靱な機械材料、GPSやインターネットによる情報通信、AIといった様々な技術のコラボレーションが不可欠です。また、ビッグデータ解析に基づく高度な道路交通システムの構築も不可欠です。それが可能なのが理工学部の強みです。技術の基盤となる数学や物理科学、新規な再生可能エネルギーや材料技術、次世代高速大容量通信技術、人に限りなく近い能力を持ったロボット、頑健な社会インフラの構築・地球環境を維持するための技術や建築など、理工学部はスマート社会実現の鍵となる諸問題に向かって取り組んでいます。

理工学部の教育理念は理学と工学の融合による独自の教育研究を通じて確固たる基礎学力や基礎能力を高め、国際化・情報化に対応した能力を持った人材を育成す ることにあります。絶え間なく変化する市場ニーズに柔軟に対応していくためには、揺るぎない基礎学力の修得が土台として必須です。また論理的思考力や主体性、コミュニケーション能力といった基礎能力は学力を補完し、総合力を押し上げます。グローバル化の進展に伴って英語等の語学力の重要性が増していることは言を俟ちません。技術や社会の変化を察知し、その中にある本質を理解し、新しい価値を創造していくにはこうした力を醸成・育成させていくことが基本となります。そして、こうした力を十分に身につけるためにも学部と大学院である理工学研究科での学びを一体的に捉え、一貫的なカリキュラムを組んでいます。

このような理念を実現させるために理工学部では以下のような取り組み を進めています。入学時の学力レベルは近年、多様化しています。理工学部ではこうした状況を鑑み、個に応じたテーラーメードな教育システムの構築を推進しています。その一例は授業外に設けている数学や物理等での学修相談会です。専任の教員の他に学生も教える側に加わることで学べ、多くの学生が利用しています。IoTやAI等のデジタル・トランスフォーメーションの時代にはハードウェアとソフトウェアの垣根がなくなり、ハードウェア設計にも高いソフトウェアの知識が必要な時代になってきています。そこでハード、ソフトを一体的に捉え、新価値創造に向けての意識付けや創造力・統合力を初年次から育成する場も授業外で設けています。また、学科の専門領域の枠を超えて学ぶ授業も設けています。イノベーションは従来の技術の延長だけでは難しくなってきており、自身の専門と異なる技術分野を眺める機会を持つことは、新価値創造に向けての目を養う訓練にもなります。それが出来るのも理学から工学まで幅広く学問分野を持っている理工学部の特徴です。国際化・英語能力向上への対応では学部としての海外派遣プログラムの他に、学ぶ専門を意識した学科単位でのプログラムも設けており、多くの学生が世界に挑戦しています。

理工学部は更には教育・研究を進めるに必要な実験機器や設備、機器やネットワーク環境が充実している点も特徴です。こうした恵まれた環境をフルに活用し、自ら選んだ研究テーマを存分に推進させることができます。社会との連携を強化し、国や企業との共同研究を積極的に推進しており、このような場の中で先端領域 の技術開発に直接的に触れることができます。こうした教育・研究での取り組みを通じて、個人個人が自信を持ち、産業のパラダイム・シフトに果敢に挑戦し、世界に情報を発信し、活躍していけるような人材が多数、輩出されることを目指しています。

立命館大学 理工学部長
深川 良一