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AMBASSADOR

障害があることを価値に変え、
自らの色を描ける未来、
自らの路を歩める未来をつくる

#07
2012年 経営学部 卒
垣内 俊哉
KAKIUCHI Toshiya
株式会社ミライロ

PROFILE

立命館大学経営学部経営学科卒業。株式会社ミライロ代表。2010年、立命館大学在学中に株式会社ミライロを設立。障害者や高齢者のサポート方法などを伝える「ユニバーサルマナー検定」や、障害者手帳をデジタル化した「ミライロID」など、障害者をはじめ多様な方々に向けたサービスを展開している。2022年には財界「経営者賞」を受賞。国家戦略特別区域諮問会議へ参画し、ユニバーサルデザインの推進に関する提言を行う。テレビ東京「ガイアの夜明け」「モーニングサテライト」やNHK総合「おはよう日本」などのメディア出演も多数。

病気により幼少期から車いすで過ごし、立命館大学在学中に、現在副社長を務める民野剛郎さんと共に株式会社ミライロを立ち上げた垣内俊哉さん。ミライロでは、障害を価値に変える「バリアバリュー」の視点で企業や自治体、教育機関におけるユニバーサルデザインのコンサルティングを手掛けています。そんな垣内さんがなぜ立命館大学を選び、起業の道を志したのか。また、事業やサービス作りにおいて大切にしていること、これからの社会や立命館大学に期待していることなどを伺いました。

障害のある自分にも開かれた門戸
そこで生まれた、今に繋がる出会い

―大学生活を通して学んだことはどんなことですか?

垣内さん:4年間を通して特にこれを打ち込んだというものはないのですが、現在の自分自身やミライロがあるのは、多くの大切なご縁に恵まれた学生時代があったからこそだと感じます。まず何よりも、民野と出会ったことは大きいですね。よくお話しするエピソードがあって、学食で友人と食事をすると、みんな私のお盆を運ぼうと声をかけてくれます。でも、民野は「はい、じゃんけん。」と、じゃんけんに負けた人がお盆を運ぼうと提案してくれたんです。それまで周りの方にサポートいただくことが多かった中で、フラットに向き合うってこういうことかと自分の中で驚きと発見があった出来事でした。出会ったことのないタイプの人だなと感じましたね。また立命館大学の理工系の先生から繋いでいただき、龍谷大学の村井先生と出会えたことも大きなことでした。在学中、当時の主力サービスであるバリアフリーマップの作成をあちこちの大学に提案していた時、ことごとく断られていた中で村井先生は「そのアイデアいいね!どんどん広げよう!」と励ましてくださり、本当に心強かったことを覚えています。

―そもそもなぜ立命館大学を選んだのでしょう?

垣内さん:元々、義肢装具士になろうと考え、新潟の学校に通うつもりでいました。ところが、いざ見学に行くと、設備面などにおいて車いすで学ぶには十分な環境が整っていないことがわかりました。そのあと東京のIT系の学部なども検討したもののそこも環境面が合わず……。そんな中、立命館大学の後期試験がまだ受験可能であることを知って。将来的に起業を考えていたのですが、立命館では経営を学べると知り、出願しました。ただ問題はそのあとで、試験の1~2週間前に転倒して骨折し、入院を余儀なくされたのです。それでもどうしても受験を諦められずにいたところ、滋賀の試験会場にまで来てもらえたらできる限り配慮してくださると立命館の職員の方に言っていただいて。最終的に入院先から民間の救急車でBKC(びわこ・くさつキャンパス)に向かい受験することができました。私のような障害のある学生にも門戸を閉ざすことなく柔軟に対応してくださった大学の姿勢に、心から感謝しています。

「自分だからできることがある」
起業の道を後押しした、
思わぬ気付き

―起業しようという思いはいつ頃から?

垣内さん:立命館大学の学内に起業家支援のインキュベーション施設があるんですが、そこを利用していたIT企業でアルバイトをさせてもらっていました。私は営業を担当したのですが、車いすに乗っていることで印象に残りやすかったのか、お客さまに覚えてもらえることが多く、営業成績でもトップを取ることができました。病気によって「障害を克服し歩きたい」という夢が絶たれてネガティブになっていた中で、車いすだからこそできることがあると気付いて。それがきっかけで、自分にしかできない事業を生み出していこうと起業の道へ進む決意が固まりました。ミライロの理念である、障害を価値に変えるという「バリアバリュー」の原点となった体験でもあります。

―起業家として歩んで来られた中で、起業家にはどんなことが必要だと感じますか?

垣内さん:私みたいに向こう見ずで、えいや!と動けるタイプの人が多い印象はありますね(笑)。あとは背中を押してくれる誰かに出会えるかも大切な気がします。一昨年、立命館大学の後輩で現在某企業の副社長を務める知人と久々に食事をする機会があったんです。その際に、かつてその知人が起業するか悩んでいた時期に私のところに相談に来てくれた時の話になって。そこで私は「こんなもん早くやった方がいい!」と言ったそうで。私自身はまったく覚えていなかったのですが、今では大きく成長している企業の副社長に対して、よくそんなこと言ったなぁと思いますよね。でも彼から、「あの時、垣内さんから背中を押されたから今がある」と言ってもらえて、一歩踏み出して進んできた自分が彼の新しい一歩を後押ししていたんだなと嬉しくなりましたね。

言葉選びにこだわって、
誰もが受け取りやすく、
共感しやすいサービスを

―今後、障害者支援に関して、社会にどんな変化を起こしていきたいですか?

垣内さん:小学生の頃に印象的だった出来事があります。昼休みにみんなが外に遊びに行く中、外で遊べない私を見た担任の先生が「今日、垣内くんと遊んであげる人は誰?」と言ったんです。その時、「ああ、僕の友達はそういうふうに強いられないといけないのか」と気付いて。クラスのみんなにとって、私は“助けてあげなくちゃいけない存在”になっていたんですよね。それ以来、私なりの抵抗としてみんなが率先して遊びたいと思う人になろうと心に決めました。障害者支援においても、道徳的に大切だからみんなで手伝うといった考え方で押し付けてしまうと仕方なくやる形になってしまうと思うんです。そうではなく自発的にやりたいと思えるようにした方がいい。「それをやることってかっこいいよね」と思える人が増えないと、この先の福祉の担い手も増えていかないですから。

―自発的にやりたいと思ってもらうため、事業やサービス作りにおいて心掛けていることはありますか?

垣内さん:言葉選びに気を遣っていますね。例えば弊社で主催・運営している「ユニバーサルマナー検定」にしても、これがバリアフリーテストという名前だったらハードルが上がって自分ごと化しづらい感じがする。でも「マナー」だと知識を身に付けることが自分にとってもプラスなことに感じられると思うんです。受け取りやすく、共感しやすいということは大切にしていますね。

―最後に、校友の方々へのエールと立命館大学に期待することをお願いします!

垣内さん:正直、私は毎日きちんと大学に通うような真面目な学生ではありませんでした。でも、そんな自分でも、こうしてここまでやってくることができました。だからこそ、「垣内でもここまでできるなら、自分にもできる!」と思ってもらえたら嬉しいです。それが一番のエールになるんじゃないかと思っています。あとは、立命館ってビジネスフィールドで活躍されている卒業生がすごく多いので、校友同士で繋がり、そこから新しい何かを生み出していけたらいいですね。素晴らしいところがたくさんある学校なので、これからもどんどんチャレンジして関西の私大を牽引してもらいたいです!

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