守 政毅教授

MESSAGE

世の中で起こっていることへの「なぜ?」を掘り下げて
知的好奇心を満たすことができるのが研究の世界

華人ビジネスと
人的ネットワークとの絡みを研究

私は、華人とよばれる中国系の移民が海外でビジネスを行う時、人的ネットワークとビジネスがどう絡みあっているのかということをテーマに研究をしています。
世界中で4700万人ともいわれる華人は、移民先でビジネスを起こした後、言語、文化習慣、物事の考え方、ビジネスルールなどを共通項に結束することによって大きなビジネスを生み出し、ダイナミックな展開につなげているのが特徴です。法律ではなく、関係性の中で守られるので、コミュニティーの秩序が常に保たれているという点でも興味深いものがあります。
チャンスを求めて色々な国に行った先人がコミュニティーを作っているので、後から来てもスムーズにビジネスができる基盤があります。そのコミュニティー・ネットワークがグローバルにも連結することで、華人のビジネスが世界に広がります。日本でも新華僑とよばれる高学歴のビジネスマンが、母国の経済発展と結びつきながらビジネスを大きく展開させています。日本もグローバル展開が必要な今、各国の華人と組むことによって不十分な部分を補い、良い展開につなげることのできる可能性も大いにあると思います。

学問が複合的に重なり合いながら
新しい知見が生み出されるのが経営学の面白さの一つ

世の中で起こっていることに対し「なぜそうなっているのか?」という疑問を掘り下げ、知的好奇心を満たすことができるのが研究の世界です。時間と機会を与えていただくことによって、つきつめて考え、言葉にして発信する機会が保障されているのです。学会や論文を通して、同じような関心を持って研究する人と出会い、仲間を得ることもできます。真剣に疑問をぶつけ合い、批判し合いながら研究を深められるのも魅力だと思います。
経営学は、経済学、社会学、心理学などの研究手法をお借りしながら発展してきた学問です。それぞれの学問が複合的に重なり合って新しい知見が生み出されることが、経営学の面白さの一つだと思います。

ビジネスに関する日本の知見と
中国の現状との間で有意義な対話も可能

研究者は、自分と向き合い、社会と向き合いながら、自らつきつめるものと、社会が求めているものをうまくマッチングさせていかなければなりません。そのようなことに喜びや達成感を見出してくれる院生が出てきて、博士課程後期課程へ進み、研究者になることにチャレンジしてほしいと思います。
中国を中心に海外からも進学者も多いですが、学位取得を主な目的にするのではなく、日本に留学して企業の経営管理を研究する課題や目的をしっかり持つことが、大学院での研究活動を豊かにしてくれると思います。ビジネスの世界では日本が先に色々な経験をしています。その知見と、中国の現状との間で有意義な対話もできるでしょう。そこから何をアウトプットするかという目的を持てば、とても有意義な研究活動に取り組めるはずです。