
留学先のフランスで様々な人たちに支えられたことで「誰かのために行動できる人間でありたい」と強く思うように。卒業後は困っている人を支える仕事を選びたいと思います。
林 駿佑 さん
国際関係学専攻 3回生
3回生の林さんに学部での学生生活やフランスでの長期留学の経験についてお話を伺いました。
国際関係学部を志望した理由を教えてください。
林「世界中で生活に困っている人を助けたい」と考え、国際関係学部を志望しました。
大学受験の際、本当にやりたいことを決めきれず、成り行きで合格した大学に進学しましたが、明確な目標もなく、ただ日々を過ごすだけで「自分は何のために大学へ進学したのだろう」と疑問を抱くようになりました。「親に生活を頼りながら、目標も持たずに大学に通うのは申し訳ない」という思いが3ヶ月ほど続く中で、目標もなく大学に通えている自分の環境が実はとても恵まれていると気づきました。同時に中高生の頃に政治経済で学んだ途上国の人々の暮らしが思い浮かびました。
私はもともと人のために何かをすることが好きで、規模の大きなことに挑戦したいという性格があります。そのため、途上国に限らず、世界中で生活に困っている人々を助け、多くの人の役に立ちたいという明確な目標を持つようになり、大学の再受験を決意しました。
特に発展途上国の開発に強い関心を持っていたため、国際協力開発の分野を学ぶことができる立命館大学の国際関係学部を志望しました。
入学してみて国際関係学部のイメージはどう変わりましたか。
林入学前は、英語がとてもできる人ばかりで、みんな勉強一筋。海外志向が強く、ついていくだけで精いっぱいの勉強漬けの生活になるのではないかと考えていました。
実際に2年間学部で生活する中で、その印象は大きく変わりました。友人たちは確かに英語が得意で勉強好き、留学を希望する人も多いですが、そのおかげで一緒に勉強して助けてもらえたり、幅広い話題を通して新しい知識を得られたり、留学に向けて切磋琢磨できたりと、非常に恵まれた環境だと感じています。
学業だけではなく、アルバイトやサークル活動の時間も十分に取れるため、学外での経験も充実させることができます。思ったよりも勉強一色ではなく、多様な経験を積むことができる点もこの学部の大きな魅力だと思います。
どのような学生生活を送ってこられましたか?
林1回生の時は、野球サークルでの活動や、留学に向けた英語能力の向上(IELTSのスコア取得)に力を入れていました。幸運にも、サークルや授業で一緒になる仲間に留学を目指す人が多く、一緒に切磋琢磨しながら目標点数を目指すことができました。
2回生になってからは、オリター(新入生を支援する学生団体)に所属し、1回生向けの交流会の企画や、大学生活に必要なレポート作成・履修登録のサポート、さらに留学に関する相談対応などを行いました。新入生を支える中で、自分自身も大きく成長できた貴重な経験となりました。
2回生の秋からは1年間の交換留学に参加し、帰国して3回生の現在に至ります。
サークルやオリターで出会った仲間は、学生生活の大切な思い出を一緒に作る存在になっています。
留学に行くまでにどのような準備をされましたか。
林長期留学を考え始めたのは、前の大学に通っていた頃で、再受験を決意する半年前のことでした。当時、自身の将来の目標や成長について真剣に考える中で、留学という選択肢が浮かびました。もともと英語は好きでしたが、スピーキング力はほとんどなく「外国人と話せるようになりたい」という思いが生まれ、さらに「海外の異なる価値観を持つ人々と交流したい」という願いへと広がっていきました。
立命館大学に入学した後、すぐに留学に関する情報収集と準備を始めました。留学プログラムの種類や交換留学の提携校、出願要件などを調べ、その上で必要な英語能力要件の取得を目標に英語を勉強しました。1回生の6月から約3ヵ月間は集中的に学習に取り組み、夏休みには立命館大学が提供するIELTS対策講座を受講する等、英語漬けの日々を送りました。サークルの仲間や同じコミュニティの仲間と、夜遅くまで一緒に勉強した経験は特に印象に残っています。
必要な英語能力スコアを獲得した後は、オンライン英会話を始めたり、留学先で訪れたい場所を調べたりと、実際の留学生活に向けた準備を進めました。
留学先としてフランスのボルドー政治学院を希望した理由を教えてください。
林1つ目は英語を話しやすい環境で学びたいと思ったからです。過去の留学体験記から、「ネイティブスピーカーでない人は英語を学ぶ難しさを理解しているので、英語を話す際に間違えても助けてくれる人が多い」という情報を得ました。英語を話すことに苦手意識を持っていた私にとって、そのような環境であるフランスはまさに理想的だと感じました。
2つ目はアフリカに関する知識を学べる環境があることです。ボルドー政治学院ではアフリカ政治に関する授業が開講されており、途上国、特にアフリカの課題に強い関心を持つ私にとって、自分の興味を深める絶好の機会になると考えました。
この2点に加え、私は第2外国語としてフランス語を学んでおり、実際に現地でフランス語に触れてみたいという思いもありました。また、移民が多いフランス社会の暮らしを体験できることにも強い関心を持ち、ボルドー政治学院を留学先として選びました。
留学先の大学ではどのようなことを学びましたか。
林南北問題、アフリカ政治史、フランス政治史、アメリカ政治史、国際経済、パンデミック、EU統合、グローバリゼーションなど、幅広い分野を学びました。毎学期20種類近くの授業から、自分の関心に合わせて科目を選べるのが特徴で、とても自由度の高い学びの場でした。
特に印象に残っているのは「南北問題」に関する授業です。授業では「先進国からの支援を受けすぎるのは将来的に良くない」という結論が提示され、クラス内でも意見が大きく分かれて議論になりました。
一見すると、アフリカ諸国は先進国や中国からの援助によって経済や産業が発展し、プラスの面しかないように見えます。しかし実際には「債務の罠」や「労働市場の独占」といった課題が存在することを学びました。
例えば、不透明な条件で返済不能な融資を受けた結果、重要なインフラを譲渡せざるを得なくなったり、地元住民ではなく中国人労働者が工場で雇用されることで失業率が改善しないなど、援助が真の成長につながらない現実があるのです。こうした状況は長期的に見れば経済的主権の喪失につながる危険性があります。
この授業を通して私は、物事を評価するときには表面的な成果だけを見るのではなく、その背景や長期的な影響まで踏まえて考える必要があることを強く学びました。
留学中、授業以外ではどのような活動をされましたか?
林最も印象に残っているのは現地の日本語授業にボランティアとして参加した経験です。もともと「留学中に自分の力で海外の人に日本の良さを伝えたい」という目標を立てていたため、現地でできた友人に紹介してもらい、日本語の授業に参加することになりました。
授業では、日本に良い印象を持ってくださっている方ばかりで、初日から温かく迎えてもらえました。最初は質問攻めにあったことを今でも覚えています。学習者は、日本語をスラスラ話せる人から学び始めたばかりの人までレベルが様々で、多くの人と関わることができました。私が日本語を教えるだけでなく、逆に英語やフランス語を教えてもらえることもあり、語学学習の面でも大変有意義な時間となりました。
授業をきっかけに交流が広がり、家に招かれてフランス料理をごちそうになったり、一緒にキャッチボールをしたり、個別に日本語を教えたりと、授業の枠を超えた体験もできました。こうした経験を通じて、単なる言語の学び合いだけでなく、人と人とのつながりの大切さを実感することができました。この日本語授業への参加は、私のフランス留学生活を形作った大変貴重な経験の一つです。
留学の経験や学びを、今後の学生生活や卒業後の仕事にどのように活かしたいですか。
林留学中に出会った多くの人々が、自分の人生に正直で、「やりたいから・楽しいから」という理由で躊躇なく行動している姿を目の当たりにしました。中には、大学を複数回変えて学んでいる人、飛び級をして世界各地で学んでいる人、卒業後に再度大学に入学して学び直している人など、多様な学び方をしている人がいました。その行動力や学びに対する姿勢に触れ、私も自分の学びにより主体的に向き合いたいと思うようになりました。
また、留学先では授業中でも学生同士が積極的に議論し合い、先生以上に学生が授業をリードすることもありました。こうした「学ぶ姿勢」は大変刺激的で、今後の大学での授業参加においても活かしていきたいと考えています。
フランスでの現地の人々の親切心も強く印象に残っています。バディ制度を通して丁寧に生活を支えてくれた友人や、街中でのちょっとした出会いで助けてくれる人たちに触れ、「人のために行動することの価値」を実感しました。ベーカリーで拙いフランス語でも笑顔で対応してくれた人、スーパーで何気ない会話をして励ましてくれた人、駅で困っていた時にすぐ助けてくれた人など、留学中は肌の色や文化が異なる人々の温かさに支えられました。
こうした経験から、今後は自分の成長のためだけでなく、誰かのために行動できる人間でありたいと強く思うようになりました。卒業後も国際的な環境で、人々の暮らしに寄り添い、困っている人を支える仕事を選びたいと考えています。
国際関係学部を志望する受験生に対してメッセージをお願いします。
林国際関係学部は、「自分の学びたい」を実現できる場所です。学びの選択肢が幅広いのはもちろん、人の多様性にも富んでいるため、さまざまな価値観や知識を吸収できることは間違いありません。
実際、私の周りの友人たちは、政治問題や国際活動、ワーキングホリデー、異文化など、本当に多様な分野に関心を持っています。そのため、一つの話題について話し合うだけでも多角的な意見が出てきて、他学部にはない面白さを実感できます。また、この学部の学生は勉強熱心でありながら、しっかりメリハリをつけて生活している人が多いと感じます。こうした多様な仲間と学べることが、国際関係学部の大きな魅力だと思います。
留学生の比率が高く、実際に外国人と交流する機会が多いのも特徴です。日本にいながらも、自分で留学したかのような環境をつくることができます。例えば、英語で開講されるグローバル・スタディーズ専攻の授業を履修すれば、英語環境に身を置くことができ、留学生とのつながりも自然に生まれます。
私はまだ2年間しかこの学部で学んでいませんが、それでも「この学部に出会わなければ、今の自分はなかった」と断言できます。ぜひ国際関係学部に入り、「自分の学び」を実現し、夢に向かって突き進んでください!
2025年9月更新
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