スウェーデンへの交換留学。世界中の国から学生が集まる寮や友好会を通して、今までにない「コミュニティ感」と「多様性」を身をもって感じました。

東 侑希 さん
国際関係学部 4回生

交換留学制度を利用してスウェーデンでも特に学生活動が盛んなルンド大学で学ばれた国際関係学専攻の東さん。周りの人たちとだけでなく自分自身とも向き合い、改めて知った大事なこと、今とこれからについてお話を伺いました。

立命館大学 国際関係学部を志望した理由や入学前に学ぼうと思っていたことを教えてください。

高校生の時から英語を使って様々な社会問題について議論してきた経験から、より幅広い視野を持って多角的に世界の情勢を見ることはできないかと考えていました。課題研究の分野で特にジェンダーについて勉強していたこともあり、文化、差別や分断といった概念をさらに探求できると考え、国際関係学部を志望しました。またグローバル・スタディーズ専攻と志望を迷いましたが、三回次にプログラムに分かれ、自分の興味のある分野をさらに探求できるという国際関係学専攻により惹かれました。クロス履修制度があったことにも国際関係学専攻を選んだ理由の一つです。

入学前から考えていたのは、国際文化理解プログラムでの学びです。自分はもとより文化や「人」に興味を抱いていたので、ジェンダーやカルチュラル・スタディーズ、地域研究などの分野に富んだプログラム構成は非常に楽しみにしていました。

ルンド大学(スウェーデン)を交換留学先として選んだ理由はどんなところにありましたか。

まずスウェーデンを選んだ理由として、最初は超福祉国家の在り方としてどのように社会をインクルーシブに作っているのかを知りたいと思ったところからでしたが、コロナの影響で一度交換留学がキャンセルになってしまいました。二度目の応募の時に選んだ理由としては「素敵な国」スウェーデンの「裏側」を知ることと、分断と共存のはざまに居る国としてとても興味深く映ったことにありました。

ルンド大学を選んだのは、スウェーデンで最も古い大学の一つであること、そしてジェンダー学だけの学部があること、そして「スウェーデンらしい」学生生活が送れるのではないかと考えたからです。学生数も多く、国際学生の割合も多いこと、そして社会学の学びを北欧で経験しようと思いました。デンマークやオランダの大学、また隣のマルメ市にあるマルメ大学にも希望を出していましたが、ルンド大学で、かつスウェーデン有数の学生の街で生活できたのはとても良かったと思っています。

留学中、印象に残った出来事についてお聞かせください

一つ目は、天候や日照時間に左右されるスウェーデン(北欧)では、やはり体を第一にどう過ごすのかが重要になってきます。太陽が出ないと嫌でも人間は元気がなくなってしまうもので、季節鬱などと言われたりもしますが、ここまで人間は太陽と生きているのだと身をもって知りました。冬の間は特に大変で、少しでも太陽が出る日はレジャーシートを持って急いで仲間と公園に行ったりしました。そういった中で自分のヘルスケアをより重要視する人が周囲に多く、自然の影響力が強い環境下で勉強できたことは自分の身を鑑みる良い機会となりました。今は、日本でどうしても日常のスピード感に抗えなかった過去の自分や「セルフケア」という部分を怠っていた自分に気づきました。自分の時間を大切に過ごすこと、相手のリフレッシュ時間を尊重すること、そしてコミュニケーションの中でそんな時間を持つことを互いに否定しないことが重要でした。全体的にスウェーデンの暮らしでは季節の移ろいを楽しみ、どのように過ごすのか、リラックスして日常生活を送る初歩に立ち返ってみることができました。

二つ目はスウェーデンでも特に学生活動が盛んなルンドでの生活は刺激的でした。世界中の国から学生が集まり、寮やNationと呼ばれる学校外の友好会を通して交流を深めていくことは、今まで経験したことの無い「コミュニティ感」と「多様性」を感じました。自分が所属していた寮はスウェーデン人と国際学生が半分ずつでした。お互いにスウェーデン語やスウェーデンでの日常を教えてもらったり、逆に自分の国の料理を作って皆に振舞ったりと互いに「文化交流」を盛んに行いました。寮であったことで、常に色々な人とコミュニケーションが取れ、また様々な食文化に触れる事もできました。一方ではNationの活動では、ジャズバンドに参加していました。バンドでは最終的にはコンサートを行い、たくさんの人が応援に来てくれ、会場は超満員でした。異文化の環境でも音楽を通じて言葉以上に人々と繋がれたことがとても嬉しかったです。またNationでおにぎりを作って出したこともあり、仲間が皆気に入ってくれたこともありました。限られた道具と材料でおにぎりを作ることは難しかったですが、一緒になって握るおにぎりは格別においしかったのを覚えています。もちろんNationの活動の中で対面した「マイノリティ」であることの問題もありますが、自分がどのように「異文化」の環境でコミュニケーションを築いていくのかを身をもって知りました。コミュニケーション不足によって起こる誤解や、自分の持っていた考え方が受け入れられないときの自身の対応など、対話の大切さと自分の気持ちの伝えることの重要性を学びました。

留学での経験や学びを今後どのように活かしたいとお考えですか。

留学中にNationでEquality Agentとしてさまざまな差別に対応した経験は、自分の人生観に大きな影響を与えてくれました。またもう一つの影響として、コミュニケーションの分野やジェンダーを勉強したことで、より「包括的な社会」を目指すことのできるコミュニティづくりに興味を持つようになりました。帰国後はCross-Cultural Encountersという授業でTAをしながら異文化間共生や異文化間コミュニケーションについても勉強しています。将来は争いや矛盾に対応する上で必要なスキルを身につけ、今後同じようなことが起きても自分で対処できるような人間になりたいと考えています。

交換留学を考えている在学生、立命館大学国際関係学部を志望する受験生に対してメッセージをお願いします。

特に国際関係学部は様々なバックグラウンドを持っている人がいます。交流を通じて、自分が今まで持っていた「当たり前」は当たり前ではなくなります。その感覚はとても大切なもので、国際関係学部はひとりひとりの持つ「異文化」に接することができる場所です。唯一無二のあなたに入ってもらいたいです。

立命館大学には手を伸ばせば挑戦できる環境がいくらでもあります。留学という、自分の新しい側面に気づくことのできる機会や、一度立命館というホームを出て自分を省みるチャンスを使わない手はありません。何かあったときに頼れる国際教育センターのバックアップと、帰ってくるところがある安心感に変えられるものもないと思います。今のうちに、迷っていたらぜひ一度交換留学に応募してみてほしいです。

2024年1月更新

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