クロス履修制度を利用して、英語で受けた専門科目の授業。自身の関心、議論できる仲間が見つかりサークルも立ち上げました。

佐藤 風花 さん
国際関係学専攻 3回生

日本語基準の国際関係学専攻に所属しながらも、グローバル・スタディーズ専攻が開講する英語基準の授業をクロス履修してきた佐藤風花さん。そこでは、英語による専門的な知識だけでなく、自分が真に突き詰めたいこと、一緒に学べる友人も得られたと話します。

立命館大学 国際関係学部を志望した理由や入学前に学ぼうと思っていたことを教えてください。

佐藤中学生の時に、地元の教育委員会が企画する国際派遣プログラムに参加し、「幸せとは何か」を模索するためにタイへ行きました。ある日は孤児院を訪問したり、また違う日は山中で少数民族の方と同じ生活をしたり、ある日はバンコクのとても豪華なホテルに泊まるなど、日をめぐるごとに一つの国の中での貧富の格差を痛感していきました。経済的に恵まれない地域では、物乞いの方がお金を求めて必死に私にすがってくることもありました。彼の眼の暗さと自分の無力さが、たった1週間という短い派遣期間でありながら忘れられない記憶となりました。

その後も留学プログラムのある高校に進学し、約1年を海外で過ごしました。コロナ禍で2ヶ月間外出禁止など厳しいロックダウンを経験したり、差別的な扱いを受けたりと、つらいことは尽きませんでしたが、現地校に通う上で、多様な教育のあり方やネガティブな事柄に対する捉え方・向き合う姿勢に感銘を受けました。一方で、自身が経験した人種差別を含め、どこの国にも存在した格差を前に、ここでもまた私は無力でした。元々留学は語学目的でしたが、私が取り組みたいことは英語そのものではないように感じていたので、帰国した後も高校卒業後の進路は特に決まっていませんでした。

そんな時、国際関係学部を知り、ここなら単なる英語学習ではなく幅広く自分の興味から学び始め、自分が選択したプログラムの専門科目でさらに深く突き詰めていけるのではと感じたので志望しました。

入学してみて国際関係学部のイメージはどう変わりましたか。

佐藤想像以上に留学経験者や帰国子女の方が多く、柔軟な考えや新しい視点を持っているように感じました。とても堅い内容を学ぶイメージだったので、教授から知識を享受するような一方通行的な授業を想像していたのですが、実際にはディスカッションやグループワークもあり、他の学生との関わりを通じて相互に学び合う部分が、国際的な「関係」を掘り下げる上で重視されているのだろうと感じました。

佐藤さんは国際関係学専攻でありながら、クロス履修制度を利用してグローバル・スタディーズ専攻の英語による授業も数多く履修されていますね。

佐藤一例を挙げれば、「Introduction to Gender Studies」や「Special Lecture: The Politics of Peacebuilding」「Japanese Society」「Topics in Identity」などの授業を履修しました。海外からの留学生との交流はとても新鮮で、ディスカッションなどを通して積極的に意見交換をすることで、自分にはなかった価値観やアイデアを知ることができました。授業自体はとても専門的な内容を英語で行い、課題も難しく、事前に文献を読んだり予備知識がないとついていけないようなことも多かったですが、最終的に得たものは大きかったです。

たとえばジェンダーについての授業を通して知り合ったグローバル・スタディーズ専攻の方と、図書館で何時間も授業内容や実際の社会問題について話し合ったり、一緒にサークルを立ち上げて今でも地道に活動を続けたりしています。さらにここでジェンダーに興味を持ったことが今のゼミを選んだきっかけにもつながっています。また、グローバル・スタディーズ専攻の授業を通じて知り合った人と集まってパーティーをしたことも、とてもよい思い出です。

国際関係学部を志望する受験生に対してメッセージをお願いします。

佐藤「国際関係」と聞くと、難しく足が遠のくかもしれませんが、ジェンダーや文化人類学、社会学、メディア学、言語学、平和学など、国際的な関係を分析する上での視点は本当に多岐に渡ります。どの分野から、どの立場で見るかによって、国と国、機関や組織、集団との関係性は全く異なって見えます。その視点の多角さを、ここでは学ぶことができます。

授業を履修していく上で、特にグローバル・スタディーズ専攻の方は英語が流暢な方が多く、自分との知識量や経験の差、見てきた世界の広さに圧倒されることも打ちのめされることもありますが、そうした経験を通してこそ、自分と他者との関係性、社会の至るところにある関係の輪、ひいては国際的な関係性を理解していくことができます。さまざまな視点を得てこそ、世界はおもしろく見えると思います。

2024年7月更新

MORE INTERVIEWS