立命館大学 法科大学院 法務研究科 法曹養成専攻

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進路について不安な方へ

1.もし司法試験に合格しなかったら、私はどうなってしまうの?

そんな不安は誰もが抱くものです。法科大学院ですので、絶対に法曹になって欲しい。私たちは強く願っており、徹底した指導とサポートを行なっています。それでも、万一の選択肢を知っておくことは、自身のリスク管理とメンタル面での安定、安心のために決して無駄ではありません。
立命館大学法科大学院では「法科大学院キャリアサポートルーム」を設置し、徹底した進路・キャリアのサポートを展開しています。

法科大学院キャリアサポートルーム

法科大学院・法曹業界・民間企業(法務部門)に精通した専門のキャリアコンサルタントが、入学後から継続的にキャリア相談を実施しています。相談は予約制でプライバシーは厳守されます。

2.法科大学院生の就職

法科大学院制度が開始になって10年以上が経過し、就職市場における法科大学院修了生の認識が広がっています。従来は大学卒業者を総合職として採用し、人事異動の中で法務部門に配属していた企業も、法科大学院出身者を法務部門担当として直接採用する動きが活発になっています。このように、法科大学院修了生(すなわち「法務博士」の学位を有する者)は、幅広い法律を身に付けた者として、自分がこれまでに培ってきた法的知識や事案解決能力を社会で活かすことができます。
その一方で、新卒一括採用を続けている日本企業もまだ多くあり、学部生と同じ感覚の就職活動では、自分が思うようなキャリアの実現は難しいかもしれません。法科大学院生の特性に合わせた就職活動が必須となります。

3.未合格の場合、どのような進路があるの?

民間企業(法務部門)

意外に思われる方もいらっしゃいますが、民間企業の法務部門で働くのに必ずしも法曹資格を必要とされていない企業も多くあります。ただし、そのような法務部門の求人の多くは、一般的な求人サイトやホームページで公開されていません。法科大学院生のキャリア支援サイト「ジュリナビ」や同社のセミナー、オムロンエキスパートリンク社主催の法科大学院合同企業説明会などで知ることができます。

また本学には毎年求人票が送られてきます。これらは学内のシステムを通じてWeb上で情報提供しています。近年、在職しながら司法試験への再チャレンジに好意的な企業も増えつつあります。

公務員

公務員の仕事は法律にもとづく行政運営ですので、法科大学院で学んだ知識を活かすことができます。国家公務員だけでなく、多くの地方自治体で法律の素養のある方が求められています。

裁判所事務官(総合職/一般職)

法科大学院修了者が最も活躍できる公務員職種の一つです。試験内容は司法試験対策でほぼカバーできると言われており、採用後は裁判官や弁護士と一緒に仕事をすることになります。裁判の円滑な進行を実現するのが業務ですから、高度の法律的な知識を必要とします。
経験を積み内部試験に合格すると「裁判所書記官」への道が拓けます。さらに簡易裁判所判事や執行官、副検事などへ進むことも可能です。

国家公務員(総合職/一般職)

外務省や総務省などの中央省庁、その出先機関だけでなく、内閣法制局あるいは衆議院や参議院事務局など、立法に関わる機関もあります。
例えば、国家公務員採用総合職試験では「院卒者試験」が設けられており、法科大学院修了者の受験が想定されているほか、その他の国家公務員専門職(国税調査官、労働基準監督官、法務教官など)でも法科大学院のカリキュラムと採用試験の内容と一致するなど、最初からこれらの試験準備をする場合に比べて少ない労力で対策が取れます。

地方公務員(都道府県/市町村)

特に中小規模の市町村については、法律知識のある職員がまだ圧倒的に少なく、今後大いに活躍が期待されます。

パラリーガル(弁護士事務所での勤務)

弁護士事務所でパラリーガルとして勤務する方法もあります。いわゆる事務職ではなく、相談依頼者の第一次対応行い弁護士業務を積極的に支えるパラリーガルは、近年、認識が広がっている職業の一つです。当然ながら法科大学院で身に付けた法律の知識を活かす機会も多くなります。

弁護士事務所の中には、司法試験受験に理解があり、パラリーガルとして勤務しながら司法試験の受験を推奨してくれるところがあります。法科大学院修了後、1~2回目の受験で合格できなかった場合は、働きながら残りの受験に取組む方法もあります。

法律系資格による就職・開業

「社会保険労務士」「税理士」など法律系資格を取得して法律隣接職として働く、あるいは開業される方もいます。受験科目が司法試験と重複しない部分もありますので、計画的に受験対策を進める必要があります。

4.どのようにサポートを受けるの?

法科大学院キャリアサポートルームは、単に就職活動のテクニックを伝えたり、大学に寄せられた求人を紹介するだけの場所ではありません。また、司法試験を断念した方専用の“駆け込み寺”でもありません。在学中から専門のキャリアコンサルタントと定期的に相談しならが、自身のキャリアについて分析・理解・計画をたて、最終的に各個人の希望に沿った進路を実現するところです。もちろん法曹進路へ進む方も対象としており、利用対象は法科大学院生・法務専修生の在籍者全員です。

本学では本人の意向に沿わない形で、法曹以外の進路を勧めることはありません

結局、法科大学院進学はリスクの高い選択なの?

法科大学院に進学し、法曹を目指すこと自体はリスクのある選択ではありません。

入学した後、キャリア対策・万一の備えをしないまま、2~3年後の司法試験を漠然と迎えることにこそリスクがあります。

併願戦略など進路変更に備える「リスクヘッジ」を行いつつ、司法試験合格までの全体スケジュールを視野に入れ、最短での合格戦略を練ることが大切です。

日々の学習で精一杯の中、自分自身でこれを考え、実行するのは相当困難です。

ぜひ専門のキャリアコンサルタントと二人三脚で取組んでください。